DESURABBITS|「本気の解散ですよ」

思春期、反抗期、酒で荒れたBUCHO

──迷いはないと言いつつ、いろいろと思い悩むこともあったわけですよね。

YUZU 私は辞めたいって思ったことがなくて、ほかのメンバーの「辞めたい」って話を聞く側だったんですよね。

EMI おはようって言うみたいに「辞めたい」ってすぐ言っちゃうときがありました(笑)。

KARIN 私の場合はワンマン前にすごい“病み期”が来てたんですよ。なんであんな病んでたんだろう(笑)。今となってはわからないんですけど、「もう行きたくないー」みたいな。つらかったんだと思うけど、ワンマン前になるとEMIちゃんと一緒に病んじゃってました。

KARIN

EMI ワンマン前に病むのは、お客さんをたくさん呼ばなきゃいけないのにチケットの売れ行きがそんなによくなくてどうしようみたいな。でもライブが始まっちゃったら、やっぱり楽しいが勝つんです。

YUZU それこそEMIちゃんに関しては反抗期だったんだと思うんですよね。

BUCHO え、その視点!?(笑)

EMI うん、あれは反抗期だったと自分でも思う。

BUCHO ええ? 僕はてっきり大舞台の前の緊張から逃避したいという繊細なアーティスト感情の表れかなと思ってたんですよ。それが反抗期!? それでイヤイヤって? 赤ちゃんじゃん!

EMI 私、反抗期来るの遅かったもん。遅めのイヤイヤ期でした(笑)。でももうだいぶ大人になりましたよ。

BUCHO そうかあ。確かに思春期のメンバーは難しかったですよ。活動を通して、メンバーとは常にアーティストとして対等な目線で話ができたからすごく救われたし、僕も助けられたことがいっぱいありました。でも男性目線で「拳で語ろうぜ」みたいなことはできないので、どう接したらいいか難しい部分もありました。BUCHOがいることで苦労をかけたなと思うところもあるし。BUCHOは運営サイドの人間でもあり、数字的な目標とか今後の展開などをスタッフと日々話し合ってたんですね。その話を3人にどこまで落としていいのか、どこまで相談するべきなのか、そして3人の考えをどこまで汲み取るのかは一番悩みました。酒で荒れた夜もありました(笑)。

YUZU 私はリーダーだったんでみんなから話を聞くけど、BUCHOが言ってることも、EMIちゃんたちが言っていることも正しいと思ったので折り合いを付けるのは大変でした。

BUCHO リーダーがYUZUじゃなかったら崩壊してましたね。

EMI 私たちが思いをぶつけるところがなかっただろうからね。リーダーはすごいんですよ。

BUCHO YUZUは本をすごく読むから多角的な角度で物事も考えられるし、3人の中で一番頭いいと思うんですよね。

YUZU 褒められてばっかりで超うれしい(笑)。

EMI

EMI でも本当だよ。YUZUちゃんがいればEMIとKARINが「?」になったときにこっそり教えてくれるし。話しかけたらなんでも答えてくれるから“Hey! YUZU”みたいな感じです。

KARIN 辞書みたい。

YUZU そんなに知ってるわけじゃないから(笑)。

──知識もあればMCも上手だし、大事なところで毎回噛むというかわいらしいところもあって。

YUZU そうなんですよねー! ツッコまれるんですよ、みんなに。

EMI でもそこがいいんですよね。しっかりしてるのに、抜けてるところがあるってちょうどよくないですか? 完全に締まってると絶対つまんないのよ。だから抜けてるところが魅力的(笑)。

YUZU ありがとうございます(笑)。

DESURABBITSの集大成

──5年ぶりのアルバムにしてラストを飾る作品「JUMP!」には2ndアルバム「第二次うさぎ大戦」(2016年5月発表)以降の楽曲が収録されています。

YUZU 今のDESURABBITSの名刺代わりにして、深みのある面白い作品になったと思います。

KARIN これを聴けばDESURABBITSの今までのことがわかるみたいな、DESURABBITSの集大成のようなアルバムになってます。

EMI 形態がType-AとType-Bの2種類あって、Aはカッコいい感じ、Bはアイドルらしいかわいい感じの選曲になっています。もちろん楽曲にしてもそうだし、写真も歌詞カードも中身も全部含めて。同じアルバムではあるけど、AとBで2つの顔があるみたいな感じで、すごく自信を持ってみんなに「買って! 聴いて!」と言える作品になりました。

BUCHO これ以上のアーティスト、バンドは絶対に出ないというと我々が自負できるくらい最高の楽曲が入っていることが、アルバムを聴いてもらえたらわかるかと思います。

YUZU アルバムをリリースするにあたって、デビュー曲の「アイドル STAR WARS」と、2作目の収録曲「恋する季節」を録り直しました。昔は歌詞の意味をそんなに考えて歌ってなかったけど、ちゃんと意味を噛み締めて歌えるようになったのでよかったです。

──DESURABBITSはいろんな側面で響く曲がありますよね。アルバムに入っている「ですまスプリング~そろそろ敬語を使ってみませんか~」(2017年発表)は春になると聴きたくなります。

YUZU 私もこの曲、好きなんです!

EMI YUZUちゃんの激推し曲だよね。

YUZU 「ですまスプリング」は歌詞がいいんですよ。「悪い言葉にはきっと 悪い人が集まって 怒ったり泣いたりしたり大変ね」とか。今になってすごく響く言葉がたくさん詰まってて。MVもかわいいし、振り付けはうさぎっぽさがありつつ、ちょっとおしとやかな感じ。メンバーの髪の分け目で“つむじ文字”を作ったんですけど、撮影の次の日、頭皮が痛くなったもんね。

EMI 超大変だったけど、メイクさんが一番大変だったと思う(笑)。

──EMIさんとKARINさんはどうですか?

EMI 私は「Magic of Butterfly -成蝶-」がすっごく好きです。歌ってて楽しいから「ライブで何やりたい?」って聞かれたとき答えるのはこの曲ですね。歌詞の内容がちょうど悩んでた時期の思いに重なることもあって、心に沁みるなって思って。お客さんからも「めっちゃいいね」って言ってもらえますし。歌うまくなったねとかもけっこう言われるし、この曲が一番好きと言ってくれるファンの人もいて、すごくうれしいです。

KARIN 私は「恋する季節」です。これは不動の1位で。ライブでも楽しいし、聴いてても面白いんです。なんかなかなか越えられない「恋する季節」の壁があるんですよ。本当にずっと好きで、それこそライブでやりたい曲を聞かれたら絶対「恋する季節」って答えます。

EMI 毎回セットリストに組み込もうとしてきますから(笑)。

KARIN うん。絶対やりたいの。歌ってて楽しいんですよ。最初しっとりしてるけど、途中でBUCHOのパートがあって激しくなって、最後は明るくなってみたいな! 楽しい!

──BUCHOの好きな曲は?

BUCHO 今回のアルバムで一番気に入っているのは「I'M ON MY WAY」なんですけど、ぜひ聴いてほしいのは「無視するな、君の色は君で決めればいい」です。この曲はSxun(ex. Fear, and Loathing in Las Vegas)さんにサウンドプロデュースしていただいたんですけど。

──どういった経緯で楽曲提供に至ったんですか?

BUCHO それがなんとSxunさんからオファーをいただきまして。転調を含めて、DESURABBITSらしさもありつつ、この4人のパートを生かした楽曲になってるのでぜひ聴いてほしいなと。

──疾走感やエモさや転調などDESURABBITSらしさが詰まった曲ですが、Sxunさんはグループのことをよく理解しているんだなと感じました。

BUCHO Sxunさんがアイドルに作品提供したのは、DESURABBITSが最初だったんですよ。コロナ禍で1年くらいリリースが遅れちゃったこともあって、歌は解散が決まったあとに録り直ししたバージョンになっています。

いい曲いっぱいDESURABBITS

──DESURABBITSの楽曲はYouTubeなどを通じて、世界中のリスナーから反響を呼んでますね。

YUZU そうなんですよ。YouTube Liveとかすると、日本よりメキシコからのコメントが多いんですよね。MVのコメント欄も英語が多くて読めない。でもとりあえず「Thank you」って(笑)。

──海外の音楽ファンに響いたのは、楽曲の強さも大きいですよね。

BUCHO 世界規模での基準なんですけど、世の中になかったものが新たに出るか、世の中で売れてるものが半額以下で市場に出回るか、どっちかが売れる要素として必要だと思うんです。某メタル系アイドルが売れたのは前者だと思うし、DESURABBITSも今まで世の中に存在しなかったコンセプトだからこそ火が付いたと思うんです。我々の場合は海外にすごく力を入れてたわけじゃなかったので、そこまで関連性はなかったんですけどね。でも海外から見ても面白いものとして見つけてもらえたのはよかったです。

──このアルバムに入らなかったけど好きな曲、というのはありますか?

BUCHO 「第二次うさぎ大戦」の中に入ってる「うちゅちゅ」なんですけど、今でも歌詞が響きます。忙しい現代社会だからいろいろあるかもしれないけど、それすらも宇宙から見たらちっちゃいことだよ? その勢いでがんばっていこうよっていうメッセージがちりばめられていて。それで僕は「うちゅちゅ」が好きですね。

YUZU

YUZU 私は「お祭りJAPAN!!告白Night」が好きですね。ライブと言えば!みたいな曲だし、初めてDESURABBITSのライブでフロアに平和なサークルが生まれた曲でもあるんです。

──サークルモッシュ?

YUZU 激しいのじゃなくて、お客さんがグルグル回るだけの平和なサークルです。この曲ではEMIちゃんが最後に歌う「大好きです」のあと、みんなが「オレモー!」って叫んでくれるんです。ライブの最後にやるのもいいけど、始めにやるのがとっても好きで(笑)。最初の歌詞が「祭りが始まる準備はいいかい?」だから1曲目から盛り上がれていいなって。

──お二人はどうですか?

EMI 私は「2nd Attack」かな。昔の私は歌詞の意味がよくわからない人だったので、雰囲気で好きみたいな曲が多いんです。「2nd Attack」は曲の入り方も好きだし、大人になった自分から見ると歌詞もすごくいい。DESURABBITSはウサギなのにネコが出てくるのはなんで?って疑問はあっても、ネコかわいいし、好きだからいいなって。

KARIN 私は「恋する季節」が一番好きだけど、「怪獣ANPONTAN」の何言ってんだろう?って感じが不思議とクセになってました。「大人なんてみーんなANPONTANだから」ってところがめっちゃ好きで。なんかいいよね?

YUZU 核心を突いてるメッセージの曲だよね?

KARIN そうそう。MVの尖った感じにも衝撃を受けました。

YUZU この機会に過去曲も余すことなく聴いていただきたいですね。

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