丸くなるのは悪くない

──「Q」というタイトルにはどういう意味があるんでしょうか？

ハシシ　さっきも言いましたけど、全体のテーマがなかったから、制作の途中で考えたんです。「“Q”って文字のカタチ、カッコよくない？」から入って（笑）、自分が何をやりたいのかって自問自答していたから“Question”という意味も込めつつ。もう1つは……これは「ローリングストーン」の歌詞でもちょっと触れてるんですけど、最近「丸くなった」と言われることが増えたことも関係していて。「昔より尖ってないよね」とか言われるんですよ。自分的には今回も大分こじらせてるんですけど、確かに尖り方がわかりづらいというか、ネジれてネジれて、結果的に正面を向いているように見えるのかもしれないなと。そこから球体の“球”という意味を後付けしたんですけど、自分の中では、「丸くなるのは別に悪くない」という持論があって。以前は子供っぽい暴言を吐くこともあったし、それがヘンにウケたりもしていたけど、自分たちの真髄はそこではなくて。ミュージシャンでも芸人でもそうですけど、最初は尖ってた人が丸くなっていく過程も好きなんですよね、人間味があって。悟ってる感じというか、人間に厚みが出ていると思うんですよ。そう思うと丸くないのは別に悪くないし、それをわかりやすく伝えないとダメだなと。

──なるほど。「昔は尖ってましたよね」と言われると、「その頃の曲だけ聴いてろ」とは思わないですか？

ハシシ　思います（笑）。「何言われてもほっとけばいいか」と考えてますけど、ずっと好き放題言われてますからね、電波少女は。まあでもそれがリスナーの特権なんでね。

2MCで役割を分けた「GXXD MEDICINE」

──6曲目に収録されている「忌々-yuyu-」は前回のインタビュー（参照：電波少女新体制初ワンマン「OWARI NO HAJIMARI」DVD発売記念インタビュー）でも話してもらったので、今回はそのほかの曲について聞かせてください。まず1曲目の「GXXD MEDICINE」は電波少女のポップサイドを示す楽曲なのかなと。

NIHA-C　ハシシさんの歌がある程度乗った状態で聴かせてもらったんですが、派手でキラキラしてるなと思いましたね。電波少女の曲は大きく2通りあると思っていて、1つはキラキラしてるパターン、もう1つは落ち着いたトラックでドロドロしたことを歌ってるパターンで。「GXXD MEDICINE」はキラキラのほうだなと。歌詞は「市販薬を間違った使い方をしている人っているよね」という話をもとに書いて。まあ、自分で書いたのは8小節くらいなんですけど（笑）。

ハシシ　NIHA-Cのパートまでほとんど自分で書いちゃったんですよ。自分の周りに市販薬でOD（オーバードーズ）しちゃう人がけっこういたから、そのことについて書こうかなと。けっこう自分の実体験だったりするので、感情の部分は自分が歌って、NIHA-Cにはナレーター役というか、第三者視点で歌ってもらって。テーマが広いときは同じ視点で歌ってもいいと思うんだけど、「GXXD MEDICINE」みたいに狭い範囲のことを歌う場合は、主人公と語り部で役割を分けるのがいいのかなと。曲によっては、立場が逆になることもあるだろうし。

──それは2MCの利点ですね。この曲、ライブで盛り上がりそうじゃないですか？

ハシシ　いや、あんまり（笑）。客が大人しいので。「GXXD MEDICINE」はバックダンサーに参加してもらってるんですよ。

nicecream　テレビでパフォーマンスしたときは、大サビのところで僕もちょっと踊りました。

ハシシ　そうでしたっけ？

nicecream　うん（笑）。ダンサーの振り付けもストーリー性があるから、盛り上がるというより、しっかり観てもらってる感じですね。

入隊前のSKOLORが最先端のラップ披露する「CUFFS」

──2曲目の「CUFFS feat. SKOLOR」では、韓国のラッパー・SKOLORさんが客演で参加しています。

ハシシ　SKOLORくんは日本でもときどきライブをやっていて、友達の友達みたいな感じでつながって、ちょこちょこ遊ぶようになって。去年の11月に自分たちのツアーにも出てもらったんですけど、今年SKOLORくんが入隊するから、その前に1曲一緒にレコーディングしない？って。この作品で唯一、若干今っぽい曲ですかね。

NIHA-C　現行のヒップホップのノリというか。SKOLORくんはその最先端にいる人だし、彼のよさが出るといいなと思って。