電波少女|生き残るために選んだ3人体制

誰でも毎日ちょっとずつイヤなことがある

──NIHA-Cさんは電波少女の音楽性に対して、どんな印象を持ってたんですか?

NIHA-C すごく独特だし、“尖ってる人たち”というイメージがありましたね。音楽もそうだし、ヒッチハイクとか(電波少女がメジャーデビューをかけて行ったヒッチハイク企画「“電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR」※参照:電波少女メジャーデビュー決定記念インタビュー)。

nicecream そこか(笑)。

NIHA-C (笑)。ハシシさんの書く曲にはトゲがあって、いい意味で毒々しいと思うんですよ。自分が入ったことで、そこが少なくならないようにしたいなと。あと、MCでもすげえいいこと言うんですよ、ときどき。

NIHA-C

ハシシ そう?

NIHA-C はい。ハシシさんが1人でしゃべるときは、僕はDJブースにいることが多いんですけど、後ろで聞いてて「いいこと言うなあ」って。つい最近のライブでも、「すごくイヤなことは少ないけど、誰でも毎日ちょっとずつイヤなことがあって、僕たちはその微熱にずっとうなされてる」みたいなことを言ってて、秀逸だなと。

ハシシ ……なんか恥ずかしい(笑)。

無理して前向きに考えようとしなくていい

──ものすごく悲しいこと、ヒドいことはあまりないけど、毎日のように心にダメージを受けることはあって、それはそれでキツいっていう。それは新曲の「忌々-yuyu-」にも共通しているテーマですよね。

NIHA-C 電波少女らしいテーマだと思いますね、確かに。「忌々-yuyu-」はハシシさんから「こういうテーマで曲を作りたい」というハッキリした提案があって、そこから作り始めたんです。俺としては、ウソをつかない、無理をしない範囲で、そのテーマに沿いたいと思ってました。電波少女のカラーは出したいですからね、やっぱり。

──中心になるテーマはなんだったんですか?

NIHA-C 最初に聞いたのは「縁起が悪いワードを集めて曲にしたい」という話でしたね。それを骨にして歌詞を考えて。

ハシシ 縁起が悪い言葉って、時代によって意味が変わるじゃないですか。例えば、昔は「北枕はダメ」と言われていたのに、いつの間にか「いや、逆に北枕のほうがいい」ということになってたり。神社のおみくじも「凶は凶で逆にいい」というわけわかんないのもありますからね。地域にもよるのかもしれないですけど。

──すべては捉え方次第なんだから、深刻に考えない方がいい、ということですか?

ハシシ それもありますし。「鈍色の生活でもいいじゃん」という開き直りだったり、自己陶酔だったり。サラリーマンでも学生でもなんでもいいんですけど、自分の生活をポジティブに捉えられない人って割と多いと思うんですよ。自分たちもまったく同じで。例えば自分たちの場合、ファンの方々はステージの上やMVの中の俺たちしか見てないし、もしかしたら華やかなイメージを持っているかもしれないけど、それ以外の時間は本当に制作ばかりで引きこもりみたいな生活ですからね。

nicecream うん。

ハシシ でも、無理して前向きに考えようとしなくていいと思うんです。どんよりとしてて怠惰な日々が続いていても、それも1つのドラマだと思っちゃえば、美しく見えることもあるだろうし……そういう視点で制作した曲ですね、「忌々-yuyu-」は。まあ、後付けですけど。

nicecream (笑)。俺は制作には関わってないですけど、電波少女にとっても新しい感じの曲になったと思います。まだ完成形は聴いてないんですけどね。1回ライブでやって、そのあと、また少しアレンジが変わったみたいなので。

nicecream

ハシシNIHA-C はははは(笑)。

nicecream 音数が少なくて、ちょっとR&Bチックと言うか。ライブのリハーサルときも、ダンサーの反応がすごくよかったんですよ。みんな「いい曲だね」と言ってたし、休憩時間に口ずさんでたりして。

ハシシ サウンド面でもこの音数っていうのは逆に電波少女的に攻めた感じはありますね、確かに。歌詞のテーマは電波少女らしいし、キャッチーなところも今まで通りなんだけど、音を詰め込み過ぎずに歌がしっかり抜けて聞こえるようにしているので。あと、「朝に聴いてほしい」というのもあったんですよ。電波少女の曲は夜とか帰り道に聴くような曲が多かったから、たまには出かける前に聴ける曲も作りたいなと。そこも新しいところかもしれないですね。

電波少女「OWARI NO HAJIMARI 2018.07.01 @TSUTAYA O-EAST」
2018年11月14日発売 / アリオラジャパン
電波少女「OWARI NO HAJIMARI 2018.07.01 @TSUTAYA O-EAST」

[DVD] 4000円
BVBL-141

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収録内容
  1. INTRO
  2. オーバードーズ
  3. 21世紀難民
  4. GXXD MEDICINE
  5. MO
  6. モナリザ
  7. Good Night
  8. ME
  9. 夜光虫
  10. FOOTPRINZ
  11. Take My Hand
  12. 笑えるように
  13. NO NAME.
  14. Earphone feat. Jinmenusagi
  15. MONE¥CLIP feat. Jinmenusagi
  16. A BONE feat. Jinmenusagi
  17. COMPLEX feat. Jinmenusagi
  18. SKIT2
  19. Munchii Bear Cookiis 2018
電波少女「忌々-yuyu-」
2018年11月18日配信開始 / アリオラジャパン
電波少女「忌々-yuyu-」
収録曲
  1. 忌々-yuyu-
電波少女(デンパガール)
電波少女
2009年に複数のMCおよびトラックメーカーで結成されたユニット。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はラップ担当のハシシとNIHA-C、DJ&パフォーマンス担当のnicecreamという3人で活動している。2013年7月に1stアルバム「BIOS」を、2015年7月に全曲フィーチャリングゲストを迎えた2ndアルバム「WHO」を発表した。12月にリリースしたiTunes Store限定シングル「COMPLEX REMIX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」がiTunes Storeのヒップホップ / ラップのシングルチャートで1位を獲得する。2016年5月に7曲入りCD「パラノイア」をリリースし、11月よりヒッチハイク企画「“電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR」を実施。2017年1月にヒッチハイクの旅を完遂し、夏にメジャーデビューを果たすことが決定した。6月より3カ月連続で配信シングルを発表したのち、9月にメジャーデビューアルバム「HEALTH」をアリオラジャパンからリリース。2018年3月に新メンバーとしてNIHA-Cを迎え、7月に東京・TSUTAYA O-EASTで新体制初のワンマンライブ「OWARI NO HAJIMARI」を行った。