電波少女がライブDVD「OWARI NO HAJIMARI 2018.07.01 @TSUTAYA O-EAST」を11月14日にリリースした。
2018年3月に新メンバーとしてNIHA-Cが加入し、ハシシ、nicecreamと併せて3人体制となった電波少女。ライブDVDに収められるのは7月に東京・TSUTAYA O-EASTで行われた新体制初となるワンマンライブの映像で、彼らはこの公演のあとリメイク曲の5カ月連続配信企画をスタートしたり、11月18日には新曲「忌々-yuyu-」の配信リリースを控えていたりと、精力的な活動を行っている。
音楽ナタリーでは、メンバー3人にインタビューを実施。NIHA-C加入からの半年間を振り返りつつ、今後の電波少女のビジョンについても語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / moco.(kilioffice)
電波少女を壊される
──NIHA-Cさんが加入し、3人体制となってから半年以上が経ちました。ライブ、リメイク曲のリリースと精力的な活動が続いていますが、ここまでの手応えはどうですか?
ハシシ 徐々に慣れてきたかな、という感じですね。ライブを3人構成に変更するところから始めたんですけど、まだまだ改善しないといけないところもあって。例えばライブの間に挟むMCのことで言うと、電波少女はユルい感じでやってきた一方、加入前のNIHA-Cは“ザ・ラッパー”みたいなまっすぐな感じだったんです。でも、NIHA-Cは電波少女に入ってきたら、こっちの雰囲気に合わせざるをえなくなってしまって。お互いに持ち味が減少している気もしたので、もうちょっと考えないとダメだなと。最初はライブをしっかりやることで精一杯で、MCのことまで考える余裕がなかったんですよ。
NIHA-C 客演として電波少女のライブに出演させてもらうときは、100%自分を出せばよかったんですよ。でも、正式にメンバーになってからは3人のバランスを気にするようになって。ちょっとすり寄りすぎてるところがあったかもしれないですね。
nicecream 確かに難しいところではありますね。例えばMCでハシシが話すときは僕とNIHA-Cが2人で相槌を打ってるんですけど、「2人で同じことをやってるな」と思ったり(笑)。NIHA-Cが1人でガーッとしゃべることもあるし、そのあたりのバランスはまだまだこれからかなと。
──ライブDVD「OWARI NO HAJIMARI 2018.07.01 @TSUTAYA O-EAST」には、7月にTSUTAYA O-EASTで行われた新体制初のワンマンライブの模様が収録されています。このライブはいかがでしたか?
ハシシ このときのライブもけっこうボロボロでしたねー……。
nicecream 俺とNIHA-Cがテンパっちゃって。最初からビートを出すボタンを押し間違えちゃったんですよ。
NIHA-C 俺も緊張してました。加入したのは3月の末で、何度かライブは経験したんですが、ワンマンは初めてだったので。「電波少女の新しい形を見せないといけない」「絶対に失敗できない」という気持ちがグルグルしちゃってました。
nicecream ライブの規模も大きかったからね。
ハシシ 振り返れば自分自身の反省点もたくさんあるんですけど、当日はnicecreamとNIHA-Cのミスにイライラしちゃって(笑)。「俺が作り上げてきた電波少女をこの2人に壊される……!」みたいな(笑)。
nicecream・NIHA-C はははは(笑)。
スタイルの異なる2MC
──ハシシさんとしては、これまでの電波少女をしっかり引き継ぎながら進んでいきたいという気持ちがあった?
ハシシ はい。ちゃんと電波少女の色を出して、そのうえで新しい要素を加えたいと思っているので。既存の曲をリメイクしてリリースしているのも、そういうことだし。
──なるほど。それにしてもハシシさんとNIHA-CさんはMCとしてのスタイルがまったく違いますよね。新体制初ワンマンでNIHA-Cさんは観客に向かって「みんなの幸せを願う」とハッキリ告げて、ハシシさんはライブの終盤で呪いをテーマにした曲を歌うっていう。
ハシシ 偽善者と性格悪いヤツですね。
NIHA-C 最悪じゃないですか(笑)。
──ハシシさん、NIHA-Cさんがソロで歌うコーナーもあるので、余計に2人のキャラの違いが際立っていて。
ハシシ そういうところはこれからも押し出していきたいですね。NIHA-Cが入って2MC、1DJになりましたけど、それぞれの担当やパートを取っ払って、もっと自由にいろんなことをやりたいので。違う脳みそ、違う声の人が増えただけで、見え方も全然違うじゃないですか。
──確かにそうですね。NIHA-Cさんが客演として参加していた頃より3人の距離もさらに縮まったと思いますが、関係性に変化はありましたか?
NIHA-C 人となりは知っていたし、印象は変わらないですけどね。メンバーになって変わったことは、上下関係と言うか、先輩後輩の関係が明確になったことかな。やっぱり、2人とも年上なので。
nicecream え、そう?(笑)
NIHA-C 日常的なことでは気遣いができるようになりたいなと思ってて。活動の中で「ここは譲れない」ということはハッキリ言いますけど。
ハシシ まあ、こっちも遠慮しないで言いたい放題言わせてもらってます。特に楽曲制作に関しては、電波少女のいいところは受け継いでほしいと思っていて。今までのNIHA-Cのスタイルは、楽曲をパン!と作って、そのまま出す感じだったんですよ。どっちがいいという話ではないんですけど、俺はけっこう作り込むタイプなんです。意図して作った“アラ”ならいんだけど、単に荒いだけなのは好きじゃないし、「もっと丁寧にやろう」というのは口を酸っぱくして言ってますね。実際、NIHA-Cは以前よりも制作に時間をかけるようになっていると思います。
NIHA-C そうですね。制作はハシシさんと2人でやることが多いんですが、どちらかがラフで、どちらかが作り込んでいると、1曲になったときのまとまりがよくないし、聴き心地も悪くなるんですよね。丁寧にやればそれだけよくなるし、そこはハシシさんを見習いたいなと。完成度を下げたくないのは俺もハシシさんも同じなので。
ハシシ 歌詞もそうですね。それぞれ自分が歌うパートを書いてきて、それをすり合わせたときに「ここは筋が通らなくない?」というところがあれば直すようにしてるんですよ。お互いに好きなことを書くというやり方もあるけど、曲の中で筋を通したいときや、同じゴールに向かっていきたいときは、やっぱり軌道修正が必要なので。ゲストとして参加してもらうんだったら、そこまでは言わないです。でも、メンバーとして一緒に曲を作るときは、電波少女として同じ方向を向いてないといけないし、言うべきことは言わないとダメだと思ってます。
──そのバランスの取り方も難しそうですね。NIHA-Cさんがもともと持っていたいい部分は生かすべきだろうし。
NIHA-C そこは大丈夫です。ハシシさんはお互いの個性を抑えるようなことはしないし、俺がパッと出した表現も、それがいいと思えば生かしてくれるので。
ハシシ うまく洗脳できてますね(笑)。
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誰でも毎日ちょっとずつイヤなことがある
- 電波少女「OWARI NO HAJIMARI 2018.07.01 @TSUTAYA O-EAST」
- 2018年11月14日発売 / アリオラジャパン
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[DVD] 4000円
BVBL-141
- 収録内容
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- INTRO
- オーバードーズ
- 21世紀難民
- GXXD MEDICINE
- MO
- モナリザ
- Good Night
- ME
- 夜光虫
- FOOTPRINZ
- Take My Hand
- 笑えるように
- NO NAME.
- Earphone feat. Jinmenusagi
- MONE¥CLIP feat. Jinmenusagi
- A BONE feat. Jinmenusagi
- COMPLEX feat. Jinmenusagi
- SKIT2
- Munchii Bear Cookiis 2018
- 電波少女「忌々-yuyu-」
- 2018年11月18日配信開始 / アリオラジャパン
- 収録曲
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- 忌々-yuyu-
- 電波少女(デンパガール)
- 2009年に複数のMCおよびトラックメーカーで結成されたユニット。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はラップ担当のハシシとNIHA-C、DJ&パフォーマンス担当のnicecreamという3人で活動している。2013年7月に1stアルバム「BIOS」を、2015年7月に全曲フィーチャリングゲストを迎えた2ndアルバム「WHO」を発表した。12月にリリースしたiTunes Store限定シングル「COMPLEX REMIX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」がiTunes Storeのヒップホップ / ラップのシングルチャートで1位を獲得する。2016年5月に7曲入りCD「パラノイア」をリリースし、11月よりヒッチハイク企画「“電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR」を実施。2017年1月にヒッチハイクの旅を完遂し、夏にメジャーデビューを果たすことが決定した。6月より3カ月連続で配信シングルを発表したのち、9月にメジャーデビューアルバム「HEALTH」をアリオラジャパンからリリース。2018年3月に新メンバーとしてNIHA-Cを迎え、7月に東京・TSUTAYA O-EASTで新体制初のワンマンライブ「OWARI NO HAJIMARI」を行った。