でんぱ組.incインタビュー|萌えキュンソングで時代に逆行、魔改造が加速する!?新作EP (3/3)

ちゃんとアイドルをやらなくちゃ

──ではここからは新作の話題に限らず、皆さんが今考えていること、気になっていることもいろいろ聞かせてもらえたらと思うんですが。

古川 じゃあこれ、個人的な話なんですけど、私はもっとちゃんとアイドルをやらねばと思ってまして。結婚してからたぶんみんなに「みりんちゃんはそういうアイドルじゃない」「違うフィールドにいる人だよね」と思われてて、私自身も今までの土俵ではもう戦えないんだなって勝手に考えてたんですけど。

──ガチ恋対象じゃなくなったみたいな?

古川 うん。そう思ってたし、正直あきらめてたんです。でも結婚してるのは事実としても今のままじゃよくないな、もっとアイドルとしてがんばらないと人気も出ないよなって最近ふと思って。貪欲さみたいなものがここ数年の私はちょっと足りなかったんじゃないかなって思ったんです。

鹿目 うれしい(笑)。私はもともとみりんちゃんの貪欲さとか人柄にあこがれてアイドルになったから。

古川 ありがとう(笑)。

小鳩 それで言うと、私はツアー(「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」)のラストのライブ中に寂しくなって泣いちゃったんですよ。

古川 えっ、なんで?

小鳩 みりんさんが「ギラメタスでんぱスターズ」で袖にはけたとき、お母さんになってからのみりんさんは以前とは違うんだなって感じて、それで寂しくなっちゃって。でも今またちゃんと戦うみたいなことを宣言してくれたんで、でんぱ組.incは大丈夫だと思いました。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

──後輩たちへのみりんさんの影響力は大きいですね。

古川 うれしいです。恥ずかしいけど(笑)。

それぞれの反抗期

天沢 わしはいろいろあって、なんか反抗期みたいなの来てるんです(笑)。もともと明るい曲とか苦手でスカートも履きたくないしって感じで加入して、最近はまあいろいろ順応してきたんですけど、突然「やっぱり無理かも」って思うときもあって。もちろんみんなが嫌いとかではないけど……自分の中にそういう感情があるのは事実で……(泣きながら)。

藤咲 あー、でも私もめっちゃ反抗期だったときあったな。

相沢 ピンキーの反抗期はわかりやすかったよ。

藤咲 ねむさん(夢眠ねむ)に怒られたとき「ムカつく!」とか思ってたもん(笑)。

高咲 私もこれから反抗期来るかな?

相沢 ひなちゃんは賢いから反抗期めんどくさそう。

高咲 「それは違うんじゃないですか?」(クイッ)って(笑)。

空野 すでにそういうときあるじゃん、ぺろりんとかに。

鹿目 あるよ! 私にめっちゃ反抗してくる!(笑)

相沢 でもね、りとくんの気持ちがそんなふうに動くのは、やっぱりここにいたいとか、一緒にいるのが好きだと思える時間をみんなと共有できてるからなんだと思うよ。どうでもよかったらたぶん流れ作業でやれる。でもそこでいちいち心のパワーを使って、真剣に考えてる。だからりとくんを見てると私もがんばらなきゃと思って背筋がスッとなるもん。

古川 ね、りとくんは、すごくいいっすよね。

藤咲 語彙(笑)。

古川 りとくんは加入当初「自分には何もないんです」みたいなことを言ってたんですよ。私は全然そんなことないと思ってて、自分がやりたいこと、やりたくないことがわかって、それを言えるのは人として、アイドルとしてめちゃくちゃすごいことなんです。りとくんの熱さは人を惹きつける。私にないものをすごく持ってるなって思うんです。

相沢 みりんちゃんも私も、あおにゃんとかも冷静なタイプだから、感情ブルブルさせてる人が横にいてくれたほうがやりやすいよね。

空野 ホントにそう。長年やっているとアイドルロボットにもなれちゃうじゃないですか。でもちゃんとこだわりがあって、いつも心を揺さぶりながら活動しているりとくんはすごいと思う。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

──りとくん、みんなこう言ってますけど。

天沢 本当にありがたいです。がんばって役に立ちたい。

相沢 もう立ってるよ! みんなそれぞれに役割があるから。

──ところでちょっと気になったんですが、りさちーはさっき「自分は冷静なタイプ」って言ってました?

相沢 あはは。違いました? おかしいな?

古川 相沢さんはだいぶ感情豊かなタイプですよね。

藤咲 突然爆発が起こるんだよね。

相沢 あんまり自分のことで怒ったりはないですけどね。自分の周りの人たち、メンバーやでんぱ組.incの大切な人たちが攻撃されてたら、そのときはブチギレてるかもしれないです(笑)。

空野 たまに心配になります。仲間だけじゃなく自分のことも大事にしてねって。

相沢 みんながいないとやっていけないのでね。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の舞台裏(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の舞台裏(撮影:チェリーマン)。

とにかくライブがしたい

──今後、皆さんがやりたいことなどはありますか?

藤咲 私はとにかくライブがしたいです! フェスにも出たい。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

──でんぱ組.incの真骨頂はやはりライブですしね。

小鳩 私は武道館でライブしたいです。

高咲 私も今こそでんぱ組.incのライブを生で観てほしいと思ってて。この前のツアーで声出し解禁になったのも大きいし、ヲタクとアイドルが作るこの世界観をみんなに体感してほしい。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

鹿目 今はライブの完成度も上がってるし、自分自身パフォーマンスに余裕が出てきて、歌とかダンスにも自分の気持ちを乗せられるようになったなと思ってるんです。

空野 うん、でんぱ組.incはもっとこの時代のアイドル業界を騒がせてもいいと思う。パフォーマンスのよさもヲタクの熱さも、もっと世界に向けて発信していきたい。

鹿目 世界発信っていう点については、あの、2月にタイで海外ライブをやったんですよね。私は海外ライブが初めてだったから行く前はすごく不安だったんですけど。

古川 ぺろりん最初は「ホントに海外無理……どうにかして行かない方法はないかな」って言ってたよね(笑)。

鹿目 でも実際タイに行ったら待ってくれてる人がたくさんいて、私もしかしたら日本よりもタイのほうが売れるんじゃないかと思って! タイに行って本当によかったです!

空野 すごい手応え感じてるじゃん(笑)。

相沢 みんなそれぞれに売れる国があると思うから。

鹿目 そう! その国を見つけたい。もっといろんな国に行きたいって私は思った。

──お話を聞いてると、これからの活動がますます楽しみになってきますね。

古川 もふくちゃんが「でんぱぁかしっくれこーど」のときに3部作を想定してるって言ってたからもう1枚EPが来るのかな?

相沢 まだ表現したいことがあるって言ってたもんね。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

「ONE NATION UNDER THE DEMPA TOUR」東京・J:COMホール八王子公演の様子(撮影:チェリーマン)。

プロフィール

でんぱ組.inc(デンパグミインク)

古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜からなる女性アイドルユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも話題を集める。2011年にシングル「Future Diver」でメジャーデビュー。2014年5月に初の日本武道館公演を行い、2016年12月にはベストアルバム「WWDBEST ~電波良好!~」を発売した。その後もコンスタントに作品を発表しており、2022年12月にミニアルバム「でんぱぁかしっくれこーど」を、2023年3月に配信限定シングル「古代アキバ伝説」をリリース。6月には新作EP「ONE NATION UNDER THE DEMPA」を発表した。