でんぱ組.incインタビュー|アップデートを繰り返して最強グループへ、幅広い音楽性で魅せる「DEMPARK!!!」 (2/2)

今はもう「W.W.D」の場所にはいないんです

──今回のツアーで実感しましたが、新体制での1年半を経て歌やダンスのクオリティが格段にレベルアップしていますよね。今のでんぱ組.incは「W.W.D」的なストーリーやオタクキャラをアピールしなくても、純粋にステージパフォーマンスだけで観客を圧倒できる強さを獲得した気がします。

藤咲 うん、自分の中の陰のパワーも大事だけど、ライブ中は「そんなの知ったこっちゃねえ!」と思ってやってます。この手足があればなんでもできる。ここにいるみんなとともにこのステージを作りたい。今の私たちを見ろ!という気持ちしかないです。

空野 こいつらと一緒なら最強だ!みたいな。

天沢 わかる。みんなのことが好き。ライブ中も隙あらばメンバーの顔を見てしまう(笑)。

相沢 「W.W.D」ででんぱ組.incを知ってくれたファンの人も多いし、それはすごくいいきっかけだったけど、今のでんぱ組.incはもうその場所にはいないんですよね。「W.W.D」的なものに囚われたままだと今いるメンバーのよさが出ないなって実は以前から思ってて、でもこのツアーを経たことでそんな心配もなくなったかも。本当に感じていることを素直にお客さんに投げかけていけば大丈夫なんだな、みんなのよさも伝わるなって今はそう思ってます。

藤咲 新メンバー5人は最初に入ってきたとき「自分でいいのかな」なんて泣いたりしてたんですよね。でも今回のツアーを通して1人ひとりの覚悟や自信が見えてきて、ライブをやるたびにちょっとずつ余裕が生まれてきてるんです。だから今やっと新しいスタートラインに立ててるのかなって。同志が集まってここにいる感覚です。

新体制初のシングル「プリンセスでんぱパワー!シャインオン! / 千秋万歳!電波一座!」リリース時のでんぱ組.incのアーティスト写真。

新体制初のシングル「プリンセスでんぱパワー!シャインオン! / 千秋万歳!電波一座!」リリース時のでんぱ組.incのアーティスト写真。

──以前はグループを「学校みたい」とたとえていたこともありますが(参照:10人組になったでんぱ組.incに聞く、新体制初シングルの秘話や変わりゆくメンバーの関係性)、今は“同志”になったんですね。

空野 確かに学校じゃなくなったね。

鹿目 これだけ人数がいるのにみんながちゃんと1つにまとまってる。

──1人ひとりの中にはネガティブな部分もまだあるでしょうけど、全員でステージに立ったときの最強感は確実に増してますよね。

小鳩 それはそうなんですけど、でもネガティブだからこそのでんぱ組.incらしさっていうのもあると思うから、私はそこは大事にしてあげたいなと思ってます。

藤咲 そういえば最近ぺろりんがりあちゃんに失礼なんですよ。そのたびにりあちゃんが「は!?」って言ってピリつく瞬間がある(笑)。

──え、ぺろりんはどんな失礼なことを?

鹿目 この前はりあぴが豚の絵? たぶん豚の絵を描いてたんですけど、その丸の線がガタガタで丸になってなくて。

藤咲 そういうの見つけて煽るんです。

小鳩 「りあちゃん丸書いてみて!」とか唐突に言ってくるんで、そういうときは私も怒る(笑)。怒るのは心を開いた結果なんですけど。

鹿目 言葉を選ばず言い合える関係? 信頼感? りあぴとちょっとずつそういう仲になれてるのかなと思って私はうれしいです(笑)。

鹿目凛

鹿目凛

愛川こずえ

愛川こずえ

天沢璃人

天沢璃人

みりんの復帰でグループに嵐が起きる

──ところで古川未鈴さんが産休・育休に入ってから1年強が経ちました。今はライブ活動もファンクラブイベントなどから徐々に再開しているようで完全復帰が待ち遠しいです。

空野 私はみりんさんが戻ってくることによってグループに嵐が起きると思ってて、それがすごく楽しみです。今のメンバーはみんなそれぞれ強い意志は持ってるけど、あんまり自分の意見を言うタイプじゃないから。でもみりんさんってホントにズバズバ言うじゃないですか。

藤咲 たぶん大変なことになるよね(笑)。みりんちゃんがいた時代と休んでる時代はかなり違うし、特に今はツアーで結束力が生まれてるから、ここに入ってきたらめっちゃ面白いと思う。

高咲 そういえば、あおにゃんがみりんさんに近付くたびにみりんさん「ふへへー」ってよけるんですよね。

空野 遠のいていく。

藤咲 みりんちゃん、もともと人と距離近いの苦手だから。

──パーソナルスペースが広いんですよね。

相沢 そこは変わってない。「今の子たちすごい触るよね」って言ってた。

──今の8人体制でのライブも強力ですが、みりんさんが加わるとまたすごいことになりそうです。

相沢 みりんちゃんはこだわりが強いからライブが締まると思います。誰かに合わせるのもいいけどやっぱりアイドルって自分の中のこだわりが大事だから。みりんちゃんは野生の勘でいい悪いを本能的に判断できるタイプ。今までもこれからもその点は信頼してます。

空野 新体制の曲を一緒にやりたいって言ってくれてて、それも楽しみなんですよね。この前みりんさんもレッスン場で踊ってて若干合ってるけど基本的に違うみたいな(笑)。

藤咲 みりんバージョンの「衝動的S/K/S/D」いいんだよね。

鹿目 みりんちゃんが1人で踊り始めるから私とひなちゃんが横についてブルゾンちえみ with Bみたいになってたもんね。

「らしくない」とか言われても意味がわかんない

──待望のニューアルバムも完成し、ここから新体制での快進撃が楽しみです。最後に今の皆さんにとっての課題や目標などがあれば教えてください。

藤咲 私は今回のツアーをやりながら「“でんぱ組.incらしさ”ってなんだろう」ってずっと考えてて、そのたどり着いた先がこの「DEMPARK!!!」だと思ってるんです。バラエティパックじゃないけど、幅広くいろんな曲ができるのがでんぱらしさなのかなと思ったり。あとは目の前の人を救いたい、でんぱ組.incに関わってる人たちを幸せにしたいって気持ちはずっと変わってなくて。その思いをこのアルバムが示してくれてると思います。

鹿目 「愛が地球救うんさ!」とか歌ってるし、私もやっぱりでんぱ組.incで人を救いたいんです。愛で包み込んで自分のことも人のことも救いたい。それが今の私たちならできるかなって。私は自分がアイドルとしてがんばることで「ぺろりんががんばってるなら私もがんばろう」と思ってもらいたいし、まだ模索中だけど今はそういう気持ちです。

小鳩 私はこれまで1年半でんぱ組.incでやってきて「でんぱっぽくない」とか「らしくない」とか言われることがたくさんあって、そのたびに「今のでんぱ組.incは私たちが当事者で、私たちが一番でんぱ組.incらしいはずなのに」と思ってすごく悔しかったんです。

小鳩りあ

小鳩りあ

空野青空

空野青空

高咲陽菜

高咲陽菜

相沢 それで言うと私なんかずっと当事者で、それなのに「らしくない」とか言われても意味がわかんないし「何言ってるの?」って感じなんですけど(笑)。勝手に昔にしないでほしい。今もでんぱ組.incは生きてるんだから。

小鳩 そうなんですよね。私もそう思いながらがんばってきて、ここまで歌ってきた曲をアルバムにまとめてみたらなんだかすごくゴチャゴチャしてて(笑)、これがでんぱ組.incらしいってことなのかなと今は思ってます。そういう1年半を歩んできたんだなって。

天沢 以前のでんぱ組.incのほうがいいって言う人はいると思うんですけど、忘れろとか言うつもりもないし実際最高だったんだろうし、それはそれでいいんです。だから今いる自分たちは今やれることをがんばっていけばいいんだなって。このツアーをやりながらそう思うようになりました。

相沢 うん、これからみんなが身に付けなきゃいけないのはたぶん嫌われることを「どうでもいいや」と思える強さなんだと思う。好きなことをやってたら誰かに何か言われたとしても「でもまあ私好きなことやってるしな」と思えるんですよ。だからみんなが「別に嫌われてもいいか、好きな人もいてくれるし」ぐらいの気持ちを持てたらでんぱ組.incはもっとヤバいことになると思ってます。これもただの予感ですけどね(笑)。

ツアー情報

でんぱ組.inc全国ツアー2022 「電電電電電電電電電!!!!!!!!!」

  • 2022年10月1日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2022年10月29日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2022年11月3日(木・祝)宮崎県 LAZARUS
  • 2022年11月4日(金)鹿児島県 CAPARVO HALL
  • 2022年11月5日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2022年11月6日(日)長崎県 DRUM Be-7
  • 2022年11月11日(金)京都府 KYOTO MUSE
  • 2022年11月12日(土)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2022年11月13日(日)和歌山県 SHELTER
  • 2022年11月27日(日)東京都 ステラボール
  • 2022年12月4日(日)北海道 札幌PENNY LANE24

プロフィール

でんぱ組.inc(デンパグミインク)

古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、愛川こずえ、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜からなる女性アイドルユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも話題を集める。2011年にシングル「Future Diver」でメジャーデビュー。2014年5月に初の日本武道館公演を行い、2016年12月にはベストアルバム「WWDBEST ~電波良好!~」をリリースした。その後もコンスタントに作品を発表し、最新作は2022年7月リリースのアルバム「DEMPARK!!!」。今年10月から12月にかけて全国ツアー「電電電電電電電電電!!!!!!!!!」を行う。