でんぱ組.incが、約11カ月ぶりとなるワンマンライブを12月30日に大阪・大阪城ホールにて行うことが決定した。その翌日の12月31日には「COUNTDOWN JAPAN 17/18」にも出演し、ファンの前でひさびさに本格的なライブパフォーマンスを披露することとなる。
彼女たちは今年1月に行われた東京・日本武道館公演のステージ上で今後ライブの予定がないことを涙ながらにファンに報告(参照:「でんぱ組.incを諦めません」でんぱ2度目の武道館で未来への決意)。さらに8月にはメンバーの最上もががグループ脱退を発表するなど、その動向に注目が集まっていた。
決して順風満帆とは言えない状況に見えた2017年のでんぱ組.incだったが、実際のところはどうだったのか。再始動ライブを間近に控えたこのタイミングで、グループのセンターを務める古川未鈴にその胸中をじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 大山卓也
“友達”ではなく“戦友”として
──今年1月20日の日本武道館公演から約10カ月が経ちました。この1年を振り返ってみてどうですか?
どうせ休むなら150%有効活用してやろうと思ってたけど、あんまりできなかったですね。結局めちゃくちゃ引きこもってて、仕事ない日は家からほとんど出てないです(笑)。
──武道館公演のMCでみりんさんは「何があってもでんぱ組.incをあきらめません」と話していましたが、あの発言は逆に見れば「あきらめ」を意識せざるを得ないほどの問題がグループ内にあることを感じさせるものでした。あの時期のでんぱ組.incはいったいどんな状況だったんでしょうか?
うーん、やっぱりすごく個性が強い6人が集まったグループなので……なんと言うか、みんなそれぞれ違う意見や方向性を持っていて、私は別にそれでいいと思うし、以前から言ってるけどバラバラなくらいのほうがグループとしては面白いと思っていて。ただそういう感じで何年もやってきて、まとまりきらなくなってきたのがたぶんあの時期だったのかなって。
──6人で一致団結してやっていくぞ、といった雰囲気ではなかったわけですね。
まあそうですね。でもメンバー全員やっぱりでんぱ組.incのことは大好きで、絶対でんぱ組.incを有名にしたいんだっていう気持ちはありました。目標は一緒なはずなんです。だから話し合いもたくさんしました。私自身は「腹を割って話し合おうよ」とかそういうの大嫌いで(笑)、「細かいことはいいじゃん! とりあえずやろうよ!」っていうタイプなんですけど、珍しく話し合いにも参加して。でも結局泣いちゃったりしてうまく伝えられない部分もあったので、あのときもっと何か言ってたら何か変わったのかな、なんてことも思いつつ。
──事情を知らない人からは不仲説みたいなことも言われたと思うんですが。
すごく言われましたね。でも私はでんぱ組.incが超仲良しだっていうふうにはもともと一切思ってなくて、なんか“友達”っていうより“戦友”っていう感覚のほうがしっくりくる。みんなが自分のビジョンを持って、そこに向かって連携して「6人の力が合わさったら何倍にもなる」みたいなことをたぶんみんなが思っていて。何年間もノンストップで共に現場を駆け抜けてきて、とにかくがむしゃらに「売れよう!」って言って、ときにはぶつかり合いながらもやってきたんです。もしそういう関係を不仲と呼ぶのなら不仲なのかもしれないですね。もしかしたらファンの皆さんが思っている仲良しイメージとは違うのかもしれない。でも6人みんな同じ目標に向かって進んできたっていうのは間違いないです。
「絶対にでんぱを終わらせないぞ」って
──武道館公演のMCでは、泣いていたメンバーがいたことも含め、会場内にどこか不穏な空気が漂っていた気がします。あのときのことは覚えていますか?
「え、何があるの?」「解散発表?」みたいな空気でしたよね。でも実際にあのライブがでんぱ組.incとして最後になるかもしれないライブだったので、そうなっちゃうのも仕方ないかなって。
──先の予定がまったく見えていなかったということですよね。
はい。でも私は「絶対にでんぱを終わらせないぞ」っていう気持ちでやってました。ずっとそれを考えてた。だから次のライブを絶対やるっていう前提で「この先ライブの予定がない」ってことも言ったんです。
──みりんさんがその話をすることはメンバーには事前に伝えていたんですか?
ライブ活動休止のことは最初は言わないつもりでした。でも確かライブの2日前くらいに「もう休止は決まってるんだから、だったらちゃんとファンの皆さんに報告したい。次のライブを楽しみにしてもらうためにこの言葉を言おうと思うんだけどいいかな?」ってことを私からメンバーに相談して。で、みんなが「いいと思う。みりんちゃんよろしく」みたいになって。
──そのとき事務所のスタッフは何か言ってました?
話す内容はメンバーに任されてたんで、メンバーに話したあとでチーフマネージャーに「言いますね」って伝えて「わかりました」って、それだけです。
──MCでは「6人でステージに戻ってこれるようにがんばります」という言葉もありましたね。
そうなんです。私その言葉を守れなくて……うーん。それで、もがちゃんが脱退したときに「6人でのライブが叶わなくて申し訳ないです」ってTwitterに書いたんですよね。
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私ともがちゃんは似てる
ライブ情報
- JOYSOUND presents「ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」
- 2017年12月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- でんぱ組.inc(デンパグミインク)
- ディアステージ所属の女性アイドルユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも注目を集めている。2013年1月には、メンバー自身の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。同年10月には主演映画「白魔女学園」の主題歌を収めた「W.W.D II」を発売し、12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリースした。2014年5月には1万人を動員した初の東京・日本武道館単独ライブを成功させ、翌2015年2月には東京・国立代々木競技場第一体育館での2DAYSライブを実施し、夏には初のワールドツアーを開催した。2016年7月より2度目の対バンツアー「はやぶさかがやきツアー2016」を開催し、同年12月にグループ初のベストアルバム「WWDBEST ~電波良好!~」をリリース。2017年1月にはアリーナツアー「でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!」および追加公演「でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 in 日本武道館 ~またまたここから夢がはじまるよっ!~」を開催した。8月6日をもってメンバーの最上もがが脱退。現在は古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、藤咲彩音の5人体制で活動している。