歌に思いを込めるとかできない人だけど

──ねむきゅんが特に気に入ってるナンバーはどれですか？

夢眠　えいたそが挙げてくれてたアッパーな曲は私もやっぱりすごく好きで、特にライブでやってると「最高かよ！」ってなるんですけど、純粋にアルバム通して聴いて、素直に今いいなって思うのは「あした地球がこなごなになっても」なんですよね。

成瀬　うんうん！

夢眠　最後15曲目、この曲でアルバム終わる感じめっちゃいいやんって。「なんやかんややってきましたけども、でんぱ組.incが言いたいことは結局これなんですわ」みたいな。浅野いにおさんが歌詞を書いてくれたんですけど「最低！ってそう言って死んでやる」とかって、これをこの曲調でさらっと言える感じ？ しかもでんぱ組.incだから嘘でもないし、冗談にも聞こえるし、でもホントにちょっと思ってる感じもあるし。これはすごいなっていう気持ちになっております。

──みりんさんはどうでしょう？

古川　私は「破！to the Future」か「ユメ射す明日へ」で今すごい悩んでて、でもピンキーとかぶるけど、あえて「ユメ射す明日へ」を選びます。私あんまり応援歌って好きじゃなくて「人を応援するよりも自分ががんばれ」とか思っちゃうタイプなんですけど。

夢眠　わかる（笑）。

成瀬　わかるよー。

古川　でもこの曲の「だからどうか今を 諦めないでいてね」っていうのは、私自身のことだなって思って、このフレーズがすごい引っかかってしまって。

藤咲　最高なんですよ、みりんちゃんが「諦めないでいてねー」って歌ってるとこ。

夢眠　うん、ここ大好き。メイド時代のみりんが走馬灯のように。

成瀬　あきらめないでよかったねえ。

古川　私もいろいろあったけど、確かにあきらめはしなかったなって。それだけでここまで来たなって思うから。私あんまり歌に思いを込めるとかできない人なんですけど、ここはすごくがんばって歌ってみました。

いい歌詞だけど歌ってる奴はダメ人間ですよ

──でもひねくれた見方をすれば「諦めないで」とか「明日はもっと素敵になる」といったフレーズは、でんぱ組.incにしてはちょっとストレートすぎるのでは、という気もします。今の皆さんがこの歌詞をまっすぐ歌えているのはなぜなんでしょうか？

古川　それで言うと、私もひねくれてるから「ふーん？」とか思っちゃうみたいなところもあるっちゃあるんですけど（笑）。

夢眠　うん、私もアルバム曲の“いい歌群”みたいなのを見て「これ大丈夫なのかな？」みたいに思ったり。「こんなにいい歌詞だけど、歌ってる奴はダメ人間ですよ？」みたいな気持ちもあって。でもそれがライブでやってるとね……。

──印象が変わる？

夢眠　例えば「ファンファーレは僕らのために」で「やれる やれる キミならやれるはずさ」っていう歌詞があるんですけど、ライブで目の前に人がいると普通に「お前とお前とお前はやれる！」みたいな気持ちで歌えるんです。ちゃんと人の顔を見て歌えた瞬間に「あっ！ 伝えたいことあるわ」って素直に思える。

相沢　聴いてるみんながピュアに受け取ってくれるから歌えるんだよね。私たちは人のそういう言葉を受け入れず、はねのけて生きてきた経験のほうが多いから「そんなこと言ったってどうせ」ってなりがちなんだけど。今は自分がこういう歌を歌うことで、逆に癒される感じがあるっていうか。

夢眠　伝えたら響くんだっていうのがうれしいよね。

──そこにでんぱ組.incならではのマジックがある気がしますね。

夢眠　ピュアなアイドルが歌ったら「あ、今回の曲もいいね」ぐらいで普通に済んじゃうのかもしんないけど、でんぱ組.incの場合はみんなのバックボーンが歌声と一緒に押し寄せてきて、結果尊い！みたいな（笑）。

成瀬　うん、私さっき「STAR☆ット」大好きって言ったんですけど、実は「ユメ射す明日へ」が一番好きで、でもこの曲が一番っていうのは若干恥ずかしいところもあって。

夢眠　めっちゃわかる。

成瀬　この曲の私のパートが全部希望にあふれた歌詞で、レコーディングのときも完全に“えいたそスイッチ”を入れて、楽しくキラキラな感じで歌ったんですよ。でも数日後すごくボロボロで、体調もよくなくて「もうこれは死んだほうがいい」ってときがあって。そのときに家でこの曲を聴いてたら自分のパートがあまりにキラキラしすぎて、そのギャップに押しつぶされそうになったっていう（笑）。そこで心が死にかけたんで、この曲には特別な思い入れがありますね。