ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc
これが私の生まれてきた意味 「W.W.D」3万字インタビュー
この曲が6人の公開リハビリ
──これは新曲がいかにリアルなのか伝わるインタビューになったと思いますよ。
古川 大丈夫かな?
──なぜかいまピンキーが泣いてますけど。
藤咲 いや、なんか……人の話を聞いてくれないとか。
──聞きますよ、いくらでも!
夢眠 豪さんがいつでもね。
──いくらでも聞きます!
藤咲 そうか……。
──ホントものすごくいいグループですよ!
藤咲 うれしい……。
夢眠 これ以外ないっていうか。例えば未鈴ちゃんはアイドルしかできないから、アイドルがなかったら死ぬしかないぐらいの覚悟でアイドルやってるんですけど。
──言ってましたね、アイドルとゲームしかないっていう。
古川 はい。
夢眠 それまで私とかは全然美術やりたいとか、でんぱ組以外のことにも興味あったし。それがこの6人になってから、でんぱ組しかないなって思えてきて。腹がくくれて。
──2012年にいろいろあったことで。
夢眠 そうそうそう。それが全員腹をくくった今この曲を出せるっていうのが、ホントにデカいんです。これはウチらの公開リハビリでもあるんですけど、私たちを通じて一緒にリハビリをしてくれる人の多いことといったら。それが私たちの救いにもなるし。気持ちを共有してくれる人が私たちを作ってくれてたり救ってくれてたりするっていうのはデカいなっていうか。ただの引きこもりでも世界に行けるぞ、みたいなことをこの6人で伝えられたら、ちょっとぐらい世界を動かせるかもしれないなと思う。
相沢 まずは世界より人の心が大事だからね。私「なんでアイドルをやってるんですか?」っていう質問をされたことがあったんです。なんでだろうってすごい考えたときに、さっき3次元は裏切るなんて言ったけど、みんなすごく助けてくれるっていうのに気付いて。こういうふうに助けてくれる人はたくさんいたのに、自分が勝手に拒否をして、そこに向きあってなかったのはたいへん申し訳なかったことだなと思って反省したんですよ。
夢眠 それすごいわかる。学生のときもごはんに誘ってくれるんですよ、友達とか。「お昼一緒に食べよう」みたいな。でも「ちょっと用事があるから」って言って1人で「友達がいない」って泣きながらごはん食べてたの。ひどいよね。
相沢 ひどいよ!
──それで学食で1人メシして(笑)。
相沢 誘っても「あ、大丈夫」って。
成瀬 誘っても断るくせに、仲間がいないって。
夢眠 最悪だよね!
相沢 ホントにひどい。
成瀬 ウチらがひどいんですよね。
でんぱ組をやめるときは更生が終わってるとき
相沢 でも、そういうの申し訳なかったなと思いつつ、なんでアイドルをやってるのかっていったら、私たちが作ったものを私たちはすごく好きなんですよ。その好きなものを誰かが好きになってくれることによって気持ちが通じ合うというか。その気持ちって絶対変わらないし、なくなるものじゃないと思うから、その瞬間を増やしていってなんとか生きていこう、みたいな。
藤咲 命をつないでる(笑)。もがちゃんが、「でんぱ組がなかったらぼくまた引きこもるよ」みたいなことを言ってて、これは絶対やめられないと思ったり。
──やめたら大変ですよ!
藤咲 だから全員の人生も乗っかってるし。アイドルだからいつか絶対やめるときが来るとは思うんですけど、そのときはきっと更生が終わってる頃だと思うんですね。
──1人で生きていける状況になってる。
藤咲 でもまだまだ全然6人でも足りないぐらいなんで。
相沢 1人じゃ生きていけないんです、でんぱ組は。
夢眠 そのくせ、1人で生きていけると思ってたっていうのが厄介じゃない?
相沢 なんとかなるだろうって。
最上 思ってた。
藤咲 1人で全然イケるし、誰の協力もいらないし。
夢眠 協力したり助けてもらうっていうことがすごいダサいと思ってたんだけど、私は。「助けてください」って言えるようになった。
藤咲 こんな私を助けなくていいし、そんな価値がないってずっと思ってたから……。自分でなんでもできると思ってた。
古川 すげえ。
藤咲 でもそれが全然ダメってわかったから。いろんな意味で……すごいよね。
──よくできてますよ、でんぱ組は。
夢眠 ホントですか? これを誰か本にしてください。
最上 お願いします!
──マンガでもアニメでもなんでもできますよ、これ。
夢眠 アニメになりたいっていうのはずっと言ってて。
成瀬 アニメになりたーい!
夢眠 私たちのイメージでは、「プリキュア」とか「セーラームーン」みたいなアニメだったんだけど、これを話したあと、そんなポップでかわいいものにならないんじゃないかって。
やり返すともっとやり返されると思う
──しかし、本当にマイナスからのスタートな人たちが集まったわけですよね。いじめられて引きこもっていた未鈴さんを筆頭に。
古川 大変だもんね、いじめられるの。
夢眠 みんな無視とかは経験してるもんね。
古川 でも大人になれば変わるんですよ。
相沢 私、やられたら10倍にして返してた。
夢眠 わかる!
古川 怖い。あのね、やり返せないんだよ。
相沢 やり返さないんです、この人たちは。
成瀬 自分の中でフツフツと思って終わっちゃうんだよね。
古川 やり返すと、もっとやり返されると思うんですよ。
相沢 「バカ!」って言われたら、「バカ!」って普通の人だったら言い返しちゃうじゃないですか。でも未鈴ちゃんからは悪口とかを聞いたことがない。そこがすごいなと思って。
最上 言わない、すごい! 未鈴ちゃんがすごい。
相沢 私なんて、ちょっとでもおせんべ欠けてようもんなら「このおせんべ欠けてる!」みたいな、それぐらい些細なことでも思っちゃったりするじゃないですか。
成瀬 それ、ただの嫌なおばあちゃんだよ!
夢眠 私も梨紗と近くて、私は直接言わないんですけど、3日後に傷つくようなことを言う、みたいな。でも未鈴はホントやり返さないですよね、偉い。
相沢 ある意味それはすごく強いんだなって思う。ちっちゃい犬は吠えるじゃないですか。私なんかたぶんキャンキャン言っちゃうんですよ。
最上 すぐ怒るから。
夢眠 「おせんべいが欠けてる!」。
成瀬 なんだその例え。
夢眠 嫌だよね、欠けてるのね。ちゃんとしたおせんべがいいよね。
「冬へと走りだすお!」の話してない
──アイドルやってる人はいじめられっ子タイプかいじめっ子タイプかどっちかなんですよね。
成瀬 私わかんないなあ。
相沢 えいちゃんはたぶんいじめられてもわからないタイプ。
夢眠 特殊部隊(笑)。
成瀬 太陽なんで。
最上 人気者タイプじゃない?
成瀬 私、今までそこまで素でクラスの子たちと接してなかったんで。
夢眠 うわべだ!
成瀬 結構うわべだったりしたかもしれない。でんぱ組では今はうわべじゃない。今はね。
──やっと心が開けるように。
夢眠 メイド時代のうわべっぷり半端なかった。
──ダハハハハ! そうなんですか(笑)。
夢眠 全員になんですよ。だから部屋で1人になるときだけだったと思うんですよ、素になるのは。家を出るときに“えいたそ”になってるから、それは平等なんです。彼女にとっては平等が一番美しいものだから、それが美学なんですけど、こっちからしたら、えいたそは何食べてるかもわかんないよね、みたいな。
成瀬 実はちょっと嫌な人なんじゃないかっていう噂?
夢眠 メイド時代、「えいたそはすごい平等だけど、裏ではヤバいよ」みたいな噂がすごい立ったときに「怖い人なんだ」みたいな。私、ディアステに薦める前に、でも悪い人っていうのも聞いたことあるなって頭をよぎったんですけど。
──悪いから何度も落ちてんのかな、みたいな。
夢眠 そう! 社長は見抜いてんのかな、みたいな。素を出さないし、弱みも何も見せないからこそ、結構完璧すぎてやっかまれてて。
成瀬 言うほどじゃないけど……。
夢眠 でも当時人気メイドだったし、弱点がなかったからそういうこと言う人もいて。でもウチらには弱点を見せるように、それも未鈴がもがちゃんにしゃべりだした頃ぐらい、6人になる寸前ぐらいの頃から、やっと私生活のこととかを話すようになって。
──そこまで隠してたんですか!
古川 わりと。
夢眠 今と全然違った。だから、みぅと私がしゃべっててもニコニコしながら見てるみたいな感じだったり。ホントにすごかった。だからホント何食べてるかもわかんなかったよね。
相沢 でもウチらもツッコめるようになったんじゃない? その頃なら「ウフフじゃねえよ!」って言わなかったから。
夢眠 そうかもしれないね。どこに住んでるかも教えてくれないし。
相沢 iPhoneと携帯で、「こっちだけ仕事用でみんなとのヤツだから」とか、すごい決まりがあるんですよ、自分の中に。それがすごくハードルが高くて。
夢眠 しかも怪しい感じの携帯ではなく、ホントに自分の好きな画像とか趣味のためにそこにでんぱ組とか仕事を入れないっていう、聖なるオタク携帯なんですよ。成瀬瑛美と家での瑛美をホントに分けているっていう意味での線引きがすごくて。
相沢 しっかりしてるなと思うよね。
古川 えいちゃん、かわいくてよかったね。
成瀬 えーーーっ、何?
古川 これが男の子でさ……。
夢眠 かまってくれる人もいなかったら。
古川 大変だったなって。
夢眠 全員女でよかったよ。
──みんなそうだと思いますよ。そんな感じで時間なので、ありがとうございました。
夢眠 あ! 「冬へと走りだすお!」の話してない!
──「冬へと走りだすお!」も素晴らしい曲です!
全員 ありがとうございます!
【世界初かも!?】でんぱ組.inc「冬へと走りだすお!」Full ver.
- ニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」 / 2013年1月16日発売 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
- 初回限定盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
- 初回限定盤B[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
- 通常盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89416
CD収録曲
- W.W.D
- 冬へと走りだすお!
- W.W.D(Off vocal)
- 冬へと走りだすお!(Off vocal)
初回限定盤A DVD収録内容
- W.W.D(Music Clip)
- W.W.D(Music Clip メイキング映像)
- 第1回でんぱ組.inc 台湾観光案内
初回限定盤B DVD収録内容
- 冬へと走りだすお!(Music Clip)
- 冬へと走りだすお!(Music Clip メイキング映像)
- W.W.D(Music Clip Dance shot ver.)
でんぱ組.inc (でんぱぐみいんく)
古川未鈴(みりんちゃん)、相沢梨紗(りさちー)、夢眠ねむ(ねむきゅん)、成瀬瑛美(えいたそ)、最上もが(もが)、藤咲彩音(ピンキー)からなる6人組アイドルユニット。2008年の結成後、秋葉原のライブ&バー「秋葉原ディアステージ」をホームグラウンドに精力的なライブ活動を展開する。2011年11月からはTOY'S FACTORYともふくちゃんの共同設立によるレーベル「MEME TOKYO」に所属。同年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリースし話題を集める。メンバーはそれぞれゲーム、アニメ、コスプレなど秋葉原オタクカルチャーに造詣が深く、趣味を生かした課外活動でも知られる。2013年1月16日にニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」をリリース。