ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc
これが私の生まれてきた意味 「W.W.D」3万字インタビュー
メンバーが欠けたことで気付いたもの
夢眠 でんぱ組って初期はステージと客席の一体化みたいな感じで見せてたんですけど、「でんぱれーどJAPAN」から……。
──あそこで完全にシフトが変わりましたね。
夢眠 客席も盛り上げるけど、ウチらの世界観をパッケージして観てもらうようになって、今回「W.W.D」になったとき、あのときはホントに目の前にいるみんなを世界に連れていくぞ、みたいな気持ちになって。
──2012年は最上さんが長期休業したわけですけど、そういう現実も踏まえたワンマンの小芝居があってからの新曲披露だったから、あれはヤラれるに決まってるんですよね。
夢眠 メンバーの中で、それぞれいろんなことを考えたっていうか。
藤咲 ワンマンのお芝居のシナリオ考えたのはねむちゃんなんですけど。
──最上さんが休業中、ステージに等身大パネルを置いていたわけですけど、メンバーが次々と等身大パネルになっていっちゃうという。
夢眠 あれ書いたんですけど、自分もパネルになんないとわかんなかったこととかあって。
藤咲 うん、めっちゃあるかも。
最上 健康ってホントに大事だなって改めて思うし。
夢眠 ホントそうだよね。
最上 しかも、こうやって普通に過ごしててごはん食べれてっていうこと自体、すごいことなんだなって改めて実感して。
古川 欠けたり失ったりしないとわからないものってたくさんあるんだなっていうことが、もがちゃんとかえいちゃんとかパネルになって気付いて。当たり前になるって怖いなって思いました。
──最上さんが復帰したら、えいたそが休業したから。
最上 ぼくの場合、えいちゃんがいないところも経験してるから、こんな感じなんだってすごい思って。
成瀬 今までごめんねって感じだよね。
夢眠 もがちゃんが休んでグッチャグチャになっちゃったんですよ。声の感じもガチャガチャになって。もがちゃんが淡々と歌ってくれてたり、カチッカチッとやってくれてたからなんとかなってたところが抜けちゃって。で、えいたそがいなくなったとき、めっちゃ暗くなったんですよ。
──ダハハハハ! やっぱりえいたそ効果があった(笑)。
夢眠 えいたそは「でんぱ組の太陽」って言われてるんですけど、太陽がいなくなっただけで最初のテンションが落ちるのかって。ライブも「Future Diver」で始まることが多かったんですけど、最初の「行っくぞー!」が聞こえないだけで、行けない……みたいな。
成瀬 そうだよね、ホント申し訳ないことをしたなって。
夢眠 それで、えいたそがいない最初のライブが終わってから、みんな「……ダメだったね」みたいな。
相沢 サビが全然違うんですよ。
夢眠 明るくないっていうか。そもそも元気を与えられていないっていうか、えいたそから元気をもらってみんなで出してたんだ、みたいなのを経験しちゃって。これ、1人ずつのことを改めて考えていったときに、ホントに6人じゃないと無理なバランスなんだっていうのが実感としてあって、それであのお芝居が書けたっていうのがあって。
不在のメンバーが見えた瞬間
──ライブでの振り付けが複雑化してきてたから、メンバーが欠けると欠けてる感がすごい伝わるんですよね。
相沢 そう、すごいんですよ! みんなわかんなくなっちゃうんだよね。
──それが余計に不在感が伝わって泣けるんですよ。
夢眠 ほかのアイドルさんとかは結構フォーメーションを埋めたりすると思うんですけど、いないから埋めるってことに疑問を持って……。
──いなくてもよしにしちゃうのはよくない。
夢眠 それはどうしても嫌で。
──絶対あれは欠けたままにしたのがよかったんですよ。
夢眠 事務所の方とかが「埋めるバージョン考える?」って言ってくださったんですけど、ウチらは「空けときたいです」って言って。
──空いてるまま組体操的なものをやっていることにグッとくるんですよ。
夢眠 さも、もがちゃんがいるようにっていうのを心がけて。そのままにするのもちょっと冷たく見えたりするかなと思ったんですけど、もがちゃんがいつ帰ってきても、「ごめん、もがちゃんいないとき変えちゃったんだ」っていうのが嫌だったんですよ。
最上 ……今の発言ですごいジワッときた(涙声で)。
夢眠 泣いてる!
成瀬 ……私も。
最上 えいちゃんがいないときに普通に振りをしてて。ぼく、えいちゃんとの掛け合いが曲の中で結構あって。いないけど、いるように見えた瞬間にヤバイと思いました。
成瀬 私も、もがちゃんがいないとき、「強い気持ち・強い愛」で掛け合いのとき、ホントに見えた気がしたんだよね。
──感動的な話じゃないですか!
夢眠 でもみんな倒れてたとき、私は全然倒れる気配なくて。
──ホント健康そうですよね(笑)。
夢眠 倒れるってかわいいじゃないですか。
──女の子な感じしますよね。
最上 つらかったよ。
夢眠 つらいのもわかるんですけど、朝礼とかで貧血で倒れるのって憧れだったんですよ。だから元気なのはいいんだけど、ちょっとだけうらやましかった。
相沢 ちょっとね。パネルいいな、みたいな。
最上 でも、ワンマンでみんなパネルにしてもらえたんで。グッズにもなったんですよ、パネルのちっちゃいキーホルダー。
夢眠 ファンの人もそういうことを受け入れて、グッズとかにしても楽しんでくれる。私たちより強かったっていうか。もがちゃん推しが、本人がいないときも「せーの」ってちゃんと言ってくれてたんですよね。
古川 来てくれるのがうれしいですよね、もがちゃんのファンの方も。
夢眠 来ないこともあると思うのに、「もがちゃんがいないのに俺がいなかったらどうすんだ、もがのパートは」みたいな。でんぱ組のファンの方はそういう方が多いんで。
成瀬 パネルと2ショット撮ってくださってる人とかいたよね。メンバーを選べるのに、「じゃあもがちゃんで」みたいな。パネルがフラッシュで反射しちゃって見えないのに(笑)。
最上 リプライでその写真とか送られてきて、すごいと思って。
夢眠 「待ってるよ」みたいなね。ヘコんでたとは思うんですけど、それで帰らなきゃって思ったんじゃないですか?
古川 それで、より結束力は増したよね。
8年ネトゲで体が強いわけがない
最上 健康でいようと思ってすごい気を付けるようになりました。なったのにもう1回休んだんですけど。
夢眠 あれはしょうがない。
──もともと体が弱いんですよね。
最上 そうなんですよ。それを全然自覚してなかったんですけど。
藤咲 8年もネトゲしかしてなくて強いわけないよね。
最上 生まれたときから未熟児で、体調もすごい崩してたらしくて。大きい病とかはあんまりないんですけど、1回風邪とかひくと長期ずっとかかったまんまみたいなのが多かったっていうのを母から聞いて。最近こうやって休んでて、「調子悪い、なんか体弱くなったのかな?」って言ったら、「おめえは最初から弱かったわ!」って言われて。
古川 ネトゲとか体調は気を使わないしね。悪ければ悪いほどはかどる、みたいなね。
夢眠 ピンキーもライブが終わったら毎回過呼吸で倒れてたんですよ。
藤咲 倒れてたんです。
夢眠 で、寝ちゃうんですよ。
最上 ヤバかった! 終わったあとホント子鹿みたいになってて。
夢眠 「握手会あるんですけど……」みたいな。
藤咲 「ああ……はい」みたいにヨロヨロと。
相沢 「はい脚冷やす! はいOK!」みたいな。
全員バスガイド、ピンキーはリアル制服
──ちなみに「W.W.D」を聴いて思ったのが、ピンキーだけバックボーンに影がそんなに入ってないじゃないですか。ひとりだけ呑気なモードっていうか。
古川 人生まだ短いですしね。
夢眠 生まれたてだから(笑)。
藤咲 ホントは(影も)ちょっとあるんですけど……。
夢眠 出せないっていうか、リアルタイムで学校に行ってるから、例えば「学校に居場所がない」って歌っちゃうと……。私たちは過去だから言えるけど、彼女だけ現在進行形なんで。
──なるほど。
夢眠 それに影じゃないけど、でんぱ組の活動があるから球技大会とか修学旅行とか行かせてあげられてなくて。いろんな芸能人の人もそうだと思うんで。ピンキーはわかってるんですけど、なんとかこのメンバーで修学旅行に行きたいね、制服を着て。
相沢 行きたいね。
最上 無理がある!
成瀬 まだ着れるかしら?
最上 もうダメじゃない?
相沢 絶対ダメだよね(笑)。
成瀬 でも似合っちゃうから困る!
夢眠 似合っちゃうとか言って調子乗ってるんだけど! じゃあ全員バスガイドね。ピンキーはリアル制服で。
古川 超豪華なバスツアーですね。
夢眠 だからそういうところでピンキーはウチらを居場所と思ってくれてるところがあるから。
最上 あそこの歌詞パッと見だけじゃわからないかもしれないですけど、ピンキーも相当動画サイトで叩かれたりもしていて、ぼくたちはそれを知ってるから。みんなは知らないかもしれないけど、これ結構深いんだぞっていうのが込められてる歌詞なんですよ。
- ニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」 / 2013年1月16日発売 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
- 初回限定盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
- 初回限定盤B[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
- 通常盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89416
CD収録曲
- W.W.D
- 冬へと走りだすお!
- W.W.D(Off vocal)
- 冬へと走りだすお!(Off vocal)
初回限定盤A DVD収録内容
- W.W.D(Music Clip)
- W.W.D(Music Clip メイキング映像)
- 第1回でんぱ組.inc 台湾観光案内
初回限定盤B DVD収録内容
- 冬へと走りだすお!(Music Clip)
- 冬へと走りだすお!(Music Clip メイキング映像)
- W.W.D(Music Clip Dance shot ver.)
でんぱ組.inc (でんぱぐみいんく)
古川未鈴(みりんちゃん)、相沢梨紗(りさちー)、夢眠ねむ(ねむきゅん)、成瀬瑛美(えいたそ)、最上もが(もが)、藤咲彩音(ピンキー)からなる6人組アイドルユニット。2008年の結成後、秋葉原のライブ&バー「秋葉原ディアステージ」をホームグラウンドに精力的なライブ活動を展開する。2011年11月からはTOY'S FACTORYともふくちゃんの共同設立によるレーベル「MEME TOKYO」に所属。同年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリースし話題を集める。メンバーはそれぞれゲーム、アニメ、コスプレなど秋葉原オタクカルチャーに造詣が深く、趣味を生かした課外活動でも知られる。2013年1月16日にニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」をリリース。