DEEN|これ1枚で世界中をひとっ飛び!新しいDEENと音楽の旅の始まり

 DEEN インタビュー

新しい未来に向けて一歩踏み出した

──昨年より池森さん、山根さんの2人体制となりましたが、変化はありましたか?

左から山根公路(Key)、池森秀一(Vo)。

池森 以前までは作曲者が2人いたので、楽曲によって作り方に違いがありましたが、現在は作詞は僕、作曲は山根と、役割分担がしっかりできたような気がしますね。

山根 これまで以上に2人でしっかり話し合いをするようになりました。お題がないとそれぞれ勝手に楽曲を制作する部分もあるので(笑)。2人体制になってからはどういう楽曲を制作したいのか、アイデアや方向性をキャッチボールのように会話する機会が増えました。

──昨年末から今年1月にかけて、新体制では初となるツアーも行われましたが、そこでの手ごたえは?

池森 ギタリストが変わると必然的にこれまでと同じ形でのパフォーマンスではなくなるわけですから、練習を積み重ねてツアーに臨みました。そのステージを観てくださった方々が、どう感じていただけたのかが大切だと思っていて。見える景色は確実に違ったと思うけど、満足いただけるものであったらいいなと思います。

山根 人数が減ったということをネガティブにとらえる方もいらっしゃるかもしれませんが、新体制になってもいい音楽を作り続けているんだなという印象をこれから積み重ねていくのが課題なのかなと。新しい未来に向けて一歩踏み出したという感じです。

池森お気に入りの機長風のアナウンス

──そんなお二人の現在を詰め込んだのが、最新アルバム「NEWJOURNEY」ですね。タイトル通り、DEENのお二人と共に世界を旅しているような感覚になれる、とてもエキサイティングで楽しい仕上がりの作品でした。

山根公路(Key)

山根 アルバム制作の最初の段階から、今回は「旅」をテーマにしたものにしようということになって、自分たちの表現の中にある、多様な国の音楽要素を取り入れながら完成させたアルバムです。

──ベスト盤などを含めると通算31作目となるアルバムですが、これまでの作品と異なるアプローチで制作した部分はありますか?

山根 サウンド的なことを言いますと、今までは作詞、作曲からアレンジまで、自分たちで制作してきた楽曲が多かったんです。今回はDEENの音楽に新しい風を吹き込ませようと気鋭のアレンジャーさんやゲストミュージシャンの方々を招いて制作しました。

池森 参加してくださった方々は僕らの音楽に関われることに対して、その意義を感じてくださり制作に取り組んでいただいたので、一切妥協がなかったんですよ。アイデアの出し惜しみがないんですよね。だから僕らが想像した以上に素晴らしいアレンジや演奏で、楽曲をよりよくしていただきました。

──確かにいろんなアイデアやサウンド要素が、出し惜しみなく散らばっている印象がします。でもアルバム全体には統一感があって、特にオープニングの「Departure」とエンディングの「Arrival」での、池森さんの機長風のナレーションが旅情感やアルバムのストーリー性を高めてくれます。

池森 機長のアナウンス風のオープニングとエンディングにしたのは、これから2人体制になってデビュー30周年に向かって、DEENの新しい未来への「旅」がスタートするという思いを伝えたかったからです。またいろんな地域や国の音楽を取り入れた楽曲ばかりが収録されているので、そういったアナウンスが入っているとさらに楽しめる内容になるのかなって。実はこのナレーションは英語にする予定だったんですけど、僕はネイティブじゃないからやめたんです。いざ日本語でナレーションしたら不思議とアルバムとしてまとまりが生まれたというか、説得力のあるものになった気がして……けっこう気に入ってます(笑)。

80'sカルチャーを詰め込んだ「1985」

池森秀一(Vo)

──「Departure」に続くのは先行シングルとして発表されている「ミライからの光」ですね。これから始まる音楽、そしてDEENの旅が、素晴らしいものになりそうな予感を与える楽曲だと思いました。

池森 これはアルバムのオープニングにふさわしい楽曲だと思います。J-POPっぽさがあるから日本を出発して、今回の音楽の旅が始まるというイメージがあるし。

──これはお二人が20年近く音楽で関わっているゲーム「テイルズ オブ」シリーズのテーマソングでもありますよね。

山根 過去に提供した2曲とは異なるテンポにしたいなと思い、スピード感のあるロックサウンドにしました。結果、これから攻めて活動していく僕らの心境も示せたのかなと思っています。

池森 このゲームが描いている物語が深いんですよね。ラブソングのようでもあり、地球や宇宙などの壮大な世界を連想させる部分もある。そういう物語があるからこそ、普段の自分たちの楽曲では表現できない部分もあって。この楽曲に関しても同様でした。タイアップをいただいて制作するものは、どれも普段引き出せない部分を表現できるから楽しいです。

──続く「1985」は、アメリカ西海岸のカラッとした雰囲気を感じさせながらも、80年代にタイムトリップしたような感覚も味わえる、ユニークな1曲です。

池森 ちょっとやり過ぎ?ってくらい80年代テイストな歌詞ですよね(笑)。そもそもこれはアメリカのウエストコーストサウンドをイメージして制作していたもので、雰囲気に合う言葉を探していったら、そのサウンドが支持を集めていた80年代の風景が浮かんでこういう歌詞になったんです。80年代と言えば、僕らが最も音楽的に影響を受けた時代でもありますからね。

山根 ちょっと年代は異なるかもしれませんが、アメリカの広くて長い道をオープンカーで走るみたいな印象がウエストコーストの音楽にはありますよね。そういう雰囲気を自分たちらしく表現してみたらどうなるのか、試しながら制作しました。

池森 作詞をしていて、改めて80年代って出し惜しみのない時代だったなと思ったんです。いろんな表現があって、それぞれに独自性が存在しているなと感じました。

山根 僕らのようにあの時代をリアルタイムで体感したことのある方は、この曲で当時の記憶を蘇らせていただけたらうれしいですよね。

池森 また当時を知らない人でも、最近は80年代のカルチャーを面白がっている方が多いみたいなので、その雰囲気を少しでも楽しんでもらえたら。