感謝の思いを伝える47都道府県ツアー

──DEENは3月にデビュー25周年のアニバーサリーイヤーに突入しましたね。

池森秀一（Vo）　毎回大きな節目を迎えるにあたって、47都道府県を回るツアーを行っていて、それにあたり昨年から準備をし、来るべきアニバーサリーイヤーを迎えるという感じですので、大それた感慨みたいなものはないですね。ただ、これまで続けられたことに対してのファンの皆さんやスタッフの方々への感謝の思いはあります。

──以前のインタビューでDEENはそもそも曲ありきで結成したとおっしゃっているのを見かけました。それから25年、ずっと第一線で活躍し続けられた秘訣はなんだと思いますか？

山根公路（Key）　おっしゃる通り、僕らは学校の同級生だったわけでもなく、楽曲を通して知り合ったメンバー。だから、純粋に音楽の関係性だけが重要で、プライベートにまで入り込んだりしないんです。そこが長く続けられる秘訣なのかもしれないですね。また、メンバーそれぞれがお互いのことを尊敬しあっている部分もあるし。

──DEENはこの25年の間でライブのスタイルに変化がありましたか？

田川伸治（G）　最初は一方的にステージを見せるエンタテインメント性の高い構成でしたが、徐々にリゾート地を回るツアーや、Billboard Liveやブルーノートといったジャズスタイルの会場でも演奏する機会が増えたことで、ファンの皆さんからさまざまなレスポンスをいただくことが楽しくなってきました。楽曲の反応をダイレクトに感じることができるし、MCでは会話のキャッチボールを楽しんだりして、皆さんと空間を作り上げている感じがいいんですよね。

池森　今回の47都道府県ツアーは、サポートのバンドメンバーを呼ばずに3人だけで演奏しているんです。お客さんとの距離を近くに感じられる会場で、1曲1曲丁寧に披露し、これまでの感謝の思いを伝えるのがテーマですね。

今の自分たちにしか表現できないことを詰め込んだ1枚に

──そんなツアーの最中に、アルバム「PARADE」を発表しました。

池森　今年5月にシングル「君へのパレード♪」をリリースしたのですが、これが今回のツアーのテーマ曲。僕らが皆さんへ音楽を通して夢や希望を届けにパレードしているようなイメージの楽曲で、この曲に続く世界観を表現できればいいなと思い完成させたのがこのアルバムです。「君へのパレード♪」を完成させた時点で、次のアルバムタイトルは「PARADE」だって自然に思っていましたね。

──今回のアルバム制作でこだわったことはなんですか？

山根　最初はツアー同様3人で、アコースティック編成で演奏できるものにするつもりだったのですが、それによって表現できる音楽の幅を限定させてしまうのはどうなんだろう？と思ったんです。だから最終的には枠にとらわれず、自分たちが表現したい音で作ろうと。自分たちらしさが出た1枚になっていると思います。

──冒頭を飾る「君へのパレード♪」は山根さんのアレンジによるストリングスをイントロに加えたアルバムバージョンになっています。シングルの持っていたパレード感がさらにドラマティックに進化していますね。

山根　シングルバージョンにも入っているストリングスの音色から派生させた音をイントロにして、そこからアルバムを始めようということになりました。

──では田川さんは、今回のアルバムに対してどういう思いを持って制作に臨まれましたか？

田川　この作品に限らずアルバム制作でいつも思っているのは、そのときの自分たちがいいと思えるもの、今じゃなきゃできないと思えるものを残しておきたいということですね。それは流行を追うという意味ではなく、現段階で自分たちが表現できることを、ちゃんと注入したいということなんです。今回のアルバムでも今の自分たちにしかできないことを表現できた気がします。

デモを聴いた翌日に歌詞が閃いた

──そんなアルバムの収録曲についても話を聞かせてください。まずは「ミステリーなガール」。こちらは懐かしい雰囲気の楽曲ですね。

山根　サビはいなたい感じというか、1990年代の雰囲気がする楽曲ですね。

──そこにギターのアルペジオとか、タンゴの要素も加わって。

池森　歌謡曲テイストな歌はラテンのリズムに合うんですよ。

──また歌詞がユニークで、人気テレビアニメ番組を彷彿とさせるフレーズが散りばめられています。

池森　以前にアニメのテーマソングも担当させてもらってますからね。「ミステリーなガール」って普段出てくる言葉ではないけど、デモを聴いた翌日にはパッと歌詞が閃いたんですよね。曲の世界観に引き込まれて、すぐに完成するものって毎回アルバムにあって、これは本作で唯一ですかね。

──DEENはこれまでいろいろなテーマ曲を歌ってきましたが、アニメソングはどういう思いを込めて作っているんですか？

池森　僕らはこれまで3曲のアニメのテーマ曲を担当させていただきましたが、ほかの楽曲に比べて広がり方が違うなって。この前も20歳前後の人から「DEENの楽曲はアニメ主題歌になっていましたよね」と言われて。リアルタイムで聴いていなかった人たちにもちゃんと届く力があるものなんだって、改めてアニメテーマ曲のすごさを感じました。また機会があれば楽曲提供したいですね。