DearDream|サイコーを超えた大舞台へ!

2次元のキャラクターと3次元のキャストによる5次元アイドル応援プロジェクト「ドリフェス!」で活動するユニット・DearDreamが、10月20日と21日の2日間、東京・日本武道館でラストライブ「ドリフェス! Presents FINAL STAGE at NIPPON BUDOKAN 『ALL FOR TOMORROW!!!!!!!』」を行う。

2016年3月にデビューシングル「NEW STAR EVOLUTION」をリリースして以来、「ドリフェス!」シリーズのアニメやゲームで声優に挑戦し、全国各地でライブをはじめとするイベントを行うなど、精力的に活動してきた彼ら。音楽ナタリーでは武道館公演を控えたDearDreamに、これまでのさまざまな活動から得たものや、同じく「ドリフェス!」より誕生した2人組ユニット・KUROFUNEと共に迎える「FINAL STAGE」についての意気込みを聞いた。

取材・文 / 熊瀬哲子

「FINAL STAGE」ではあるけど、プラスしかない

──皆さんは10月20日と21日に日本武道館で開催される「ドリフェス! Presents FINAL STAGE at NIPPON BUDOKAN 『ALL FOR TOMORROW!!!!!!!』」で、タイトルの通りDearDreamとしてのファイナルステージを迎えます。開催が決まったときはどんな心境でしたか?

富田健太郎 みんなもそうだと思うんだけど、武道館でライブができるなんてホントに夢のようだなって思いました。

溝口琢矢正木郁 そうだね。

富田 まさか人生で武道館に立てる日が来るとは思っていなかったので。

太田将熙

太田将熙 武道館って、それこそ子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、日本中の誰もが知ってるくらいの場所だもんね。

石原壮馬 The Beatlesもライブをやった場所だしね。僕らが初めてのイベント(「ドリフェス!ファンミーティング01」)をやったのが、日本武道館の隣にあるサイエンスホールだったんです。そのときにもMCで「いつか武道館に立ちたい」と話していたんですが、それがまさか本当に実現するとは思わなかったので、最初はびっくりしました。

太田 壮馬が言った「いつか武道館に立ちたい」っていうのも、けっこう強気な発言だったと思うんです。そのときはみんな必死に歌ったり踊ったりしてるだけの5人だった。でも、俺はこの5人だったら本当に行けるって、バカかもしれないけどそのときに思ったんですよ。それは活動していく中でも変わらなかったですし、ワンマンライブやツアーのときもファンの方からのすさまじいくらいの熱量を感じていたので、その気持ちは揺るがなくて。だから武道館公演が決まったときは「ついに来たか」と思いましたし、ファンの皆さんにも早く伝えたいなと思いました。

石原 しかもそのあとに追加公演も決まって、2DAYSでやらせていただくことになって。「FINAL STAGE」にはなりますが、失速するわけじゃなく、そこに向けてさらに加速していけるっていう状況がうれしかったですね。

──武道館って大きな会場ではありますけど、実際にライブを観てみると、意外とステージとお客さんとの距離が近い印象があります。

富田 近いですよね。

溝口 ファンの皆さんとの距離感というのは、僕らがライブをやるときに一番に考えていることなんです。ツアーをやらせてもらったときも、セットリストを見ながら「触れ合えるところがない」と気付いて、せっかくいろんな都市を回らせてもらうんだから、みんなとの距離を近くに感じられるフリーな時間をもうちょっと作ったほうがいいんじゃないかって、その議題を中心とした話し合いを行うくらい大切に思っていて。なので今回の武道館でもより近くに皆さんを感じられないかなと考えているところです。

──武道館という大きなステージでDearDreamのライブを観られるという喜びと共に、正直なところ、「FINAL STAGE」であることに寂しい気持ちを抱いているファンの方もいらっしゃると思います。

富田 今回のライブと8月にリリースしたアルバムのタイトルは「ALL FOR TOMORROW!!!!!!!」で、アルバムに収録されている楽曲の歌詞も、明日や未来に向けたものが多いんです。もちろん寂しい気持ちもあるんですけど、それ以上に前向きに感謝を伝えていきたいですし、その日の思い出は僕らにとっても人生の宝物になると思うので、皆さんと一緒に盛り上がって同じ時間を共有できたらなという気持ちが強いですね。

石原壮馬

石原 僕も、このライブは「FINAL」ではあるけど、プラスしかないと思うんですよ。もともとゼロだったものが「ドリフェス!」というプロジェクトが発足して、DearDreamとKUROFUNEが生まれて、武道館でライブができるまで成長したっていう、それだけでもプラスだなと。3年間のプロジェクトでしたけど、舞台やドラマだったら数カ月で公演や撮影が終わることを考えたら、めちゃめちゃ長いなとも思うんです。僕らはこの3年の中で3枚のシングルと、ミニアルバムとアルバムを2枚ずつリリースさせていただいて。いろんなイベントも出させていただきましたし、ワンマンライブもツアーもやらせてもらって、最後に武道館でライブができる。何もマイナスなことはないなって思うんです。これまで通り、1つのライブとして楽しんでいただけたらいいなと考えています。

溝口 確かにアーティストとして考えたら3年はあっと言う間なのかなとも思います。でもこのプロジェクトをひと区切りさせるときに、何もしないで終わらせたり、イベントを行うにしても別の会場でやる可能性もあったと思うんですよね。その中で「ドリフェス!」としての集大成を武道館でやらせていただくっていうのは、本当にポジティブなことだと思うし、感謝しかないなと。その感謝を伝えるには十二分のステージだと思いますし、あとは僕らがどういう気持ちで臨むかにかかっていると思うので、今はこれで終わりだという寂しさよりも、楽しみな気持ちのほうが強いです。

ファンが数人しか集まらないこともあった全国行脚

──DearDreamとして活動を始めて、歌やダンス、アニメのアフレコなど初めての経験も多かったと思います。特に大変だったことはなんでしょうか。

石原 2016年に池袋サンシャインシティの噴水広場でミニライブ(「Miracle☆Greeting! 02」)をやらせてもらったんですけど、ミニライブと言いつつ、1分半くらいのショートバージョンを詰め込んで、30分の間に13曲もパフォーマンスしたんです。しかもほぼ踊ったことのない曲だったので、短期間で10曲以上の振りを覚えて、そのときはホントに死ぬかと思いましたね。体力的にもそうだし、ライブ自体慣れてないのにそれだけ詰め込むステージをやって。あのときはマジでがんばったよね。

富田 もう鼻の穴広がりまくりだったもんね、ライブ中ずっと。

正木 それはトミーだけだよ(笑)。

溝口 僕は至って冷静だったよ。

正木郁

正木 「大変だった」とはちょっと違うかもしれないんですけど、今となってすごいなって思うのは、2016年に行ったイベント「全国行脚の旅」の新潟編。

石原太田 ああ。

正木 デビューシングルの「NEW STAR EVOLUTION」のお渡し会だったんですけど、そのときは僕ら自身ですらまだ「ドリフェス!」の全貌が見えていないときでもあって。僕らを知らない方も多いし、イベントに参加してくださった方も本当に少人数だったんです。だから、お渡し会のときも時間に余裕があったから、1人のお客さんに対して僕と壮馬と将熙の3対1で5分くらい話すことになって。僕らとしては楽しくトークしていたけど、お客さんのほうが大変だったんじゃないかなって(笑)。

太田 確かにね(笑)。

富田 お客さんもビックリだよね。「いやー、どれぐらい話せるのかな?」と思って並んだら、「ここまではキツい……!」みたいな(笑)。

一同 あはは(笑)。

正木 お客さんのほうも「まだいていいの?」みたいな雰囲気はあったよね(笑)。

太田 「もう飽きたよー」って思ってたかもしれない(笑)。

──でもきっと一生の思い出になってるんじゃないですか? 今では皆さん武道館アーティストなわけですし。

富田 わー、その言い方めっちゃいいですね! 武道館アーティスト!

溝口 あ、すみません。ちょっとうぬぼれる人がいるのでやめてもらってもいいですか(笑)。

富田 俺、二つ名それにしよう。

溝口琢矢

溝口 でも、それこそ最初の「全国行脚の旅」では、100人くらい入れる会場に10人くらいしか集まらないことがざらだったんです。それに対してみんなが「悔しかった」ではなく、「だからもっと広めていかなきゃ」と言っていたのを聞いて、自分も「そうだな」と感じましたし、その時点でネガティブな感覚を持っているメンバーが集まってたら今こうはなってないんだろうなと思います。大変なことはたくさんあったんですけど、それをバネに変えられてきたから今は全部が楽しい思い出になっているのかなと。

──お話を聞いてると、皆さんどんな状況でもポジティブに活動されてきた印象があります。それはもともとポジティブな性格の人たちが集まったからなのか、それともこの5人だったからそういう気持ちになれたのか、どうなんでしょう。

溝口 いやあ……僕はネガティブですよ。

富田 (自らを指しながら)まあ、たぶん激ポジティブがいるから周りにうつったんじゃないかな。

正木 うつってはいないな……。

溝口 うつってはいないね……。

太田 僕はさっきも言ったんですけど、本当にこのメンバーだったからですね。このメンバーじゃなかったら、たぶんその感覚にはならなかった。

富田健太郎

富田 でも将熙、俺もめっちゃネガティブで、壮馬もネガで、琢矢も郁もネガネガだったらどうする?

太田 そしたら……僕もネガになっちゃうかもしれないけど。

富田 でしょ? だからやっぱ激ポジのおかげよ。

溝口 たぶん、みんな何もわからなかったから、とにかくやるしかなかったんだよ。

石原太田正木 そうだね。

富田 ちょっと、いいじゃん! 俺だってマジで言ってないんだから、スルーしないで1回くらい飲み込んでくれてもいいじゃん!(笑)

石原 でも2人になったとき泣いてたこともあったけどな。

太田 闇が深いなー(笑)。

富田 それは違うじゃん! ……まあ、それもいい思い出だな(笑)。

正木 でも本当に、1つひとつのことに対して覚悟があったよね。ファンミーティングもそうだし、何かのイベントにゲストで出演させてもらうときもそうですけど、「お客さんがこれだけ来てくれるなんて、俺らすごい!」とかではなく、どんなに少ないお客さんでも1人ひとりにちゃんと思いを伝えていこうねというのを最初からそれぞれが考えていたから、それがポジティブな空気を作っていったのかなって思います。