ナタリー PowerPush - DDTプロレスリング
DDT両国大会前哨戦!? オーケン、プロレスを語る
ポワーンとしてる人
大槻 DDTは後楽園ホールを2回観させていただいて。路上プロレスはまだ観たことないんだけど、あれは飯伏(幸太)さんとかがやってるんですよね。
高木 そうです。僕が太田出版さんから2008年に自伝を出したんですけども、その自伝のプロモーションで何かできないかって言われたとき、口八丁で「じゃあ本屋でプロレスやりますよ」って言ったら、太田出版さんがホントにできる本屋を探してくれたっていうのから始まったんです。そこで飯伏と僕がシングルマッチをやったのがきっかけですね。
大槻 飯伏選手は誰が見てもすごいですよね。
高木 スターですね、あいつは。こいつウチにいて大丈夫なのかなって思うんですよ。何回か「別に移籍していいよ」って言ったことあるんです。でも、アイツちょっと変わり者なんですね。「いや僕、連戦がダメなんです」って言い出して。
大槻 ハハハハハ!(笑) 連戦がダメ!
高木 「シリーズを通して参戦するのはダメなんです」と。
──DDTぐらいの試合ペースがちょうどいい。
高木 ちょうどいいんですよね。
大槻 実際、ヒザを壊すとかそういう部分もありますよね?
高木 どんな試合でもマックスでやっちゃうんでね。
大槻 そうだよなあ、あの場外ジャンプは毎日やったら確実にアウトだよね。
高木 あとはメジャー団体だと好きなことができないというのもあって。彼がホントにやりたいのは、ああいう路上プロレスとか、ちょっとおかしなプロレスだったりするんですよ。
──たまにメジャー団体に出るぐらいならいいけども、そこに完全に入れられちゃうと自分が出せなくなる。
高木 はい。飯伏がDDTのチャンピオンベルトを持ちたがらない理由は、チャンピオンになったら真面目な試合しなくちゃいけないじゃないですか。メジャーに出て真面目な試合をして、そのガス抜きがDDTの試合だったみたいで。やっぱりそれでバランスが取れてるんですよね。
大槻 俺がしばらく見てない間にレスラーの意識も変わったね。
高木 変わりましたね。僕もそう思います。
大槻 「週プロ」で何が驚くって「こうやってレスラーになった」みたいなページがあるじゃないですか。昔だったら「赤貧の家に生まれ、親は離別。人さらい同然で相撲取りにされて……」みたいなのが多かったけど、今は全然そうじゃなくて。「高校時代はプロレスとかたまに観たぐらいで、部活もテニスとかやってたんですけどー」みたいな感じになってて。レスラーになったきっかけも「なんか募集してたんで入りました」って、なんとなくそこにたどり着いたっていう感じで。
高木 今プロレスラーになる子たちっていうのは「プロレスファンでした」「プロレスマニアでした」って子たちなんですよ。だから不良がいないっていうのはそういうことで。けっこう裕福なご家庭の人が多かったりもするので。僕もたまに思うんですけどポワーンとしてる感じの人が多いですね。大丈夫なのかなと(笑)。
大槻 ポワーンとしてる人(笑)。
リック・フレアーが「これがプロレスだ!」って
大槻 あと、僕はDDTではヨシヒコ(ダッチワイフにしか見えないレスラー)が最高だなと思って。
高木 実はたまたまTAJIRIさんがヨシヒコのビデオを入手して、WWEのバックステージであれを観てたらしいんですよ。そしたらそれを観るスーパースターたちがみんな「これはすごい!」って言って。最後にリック・フレアーが来て、その映像を観ながら「おいおまえら、これがプロレスだ!」って言ったらしいんですよ。
大槻 ホントかなあ?
高木 ホントらしいです、TAJIRIさんから聞いたので。HHHも「うーん」って唸りながら観てたらしいですから。
大槻 あれはホント素晴らしいですよ。すごいと思った。
高木 最初は第2試合とか第3試合ぐらいでああいうことをやってるぶんにはいいのかなと思って一時期出してたんですけどね。もちろん飽きられるのも早かったんで姿を消してたんですよ。で、飯伏が両国でHARASIMAからチャンピオンベルトを獲ったとき、その最初の防衛戦の相手にヨシヒコを指名したんです。それで僕らもホントに頭を抱えちゃって。
──飯伏さんが勝手に指名しちゃったから。
高木 勝手に指名しちゃったんです。要するに、僕の団体の最高峰のベルトじゃないですか。ということは、後楽園ホールのメインでやらなきゃいけないわけですよ。メインでヨシヒコvs.飯伏で大丈夫なのかってホントに悩んで、飯伏に「なんてこと言うんだ!」って言ったら、「でも、やりたいです。やれます」って言うんで試合を組んだんですけど。それがすっごくいい試合で。あれでまたヨシヒコが再ブレイクしたんですね。
今の時代にそんなことしたら死にに行くようなもんです
高木 団体って結局、分裂したりとかそういうことの繰り返しで歴史が生まれるところってあるじゃないですか。DDTって過去5年間で辞めた人間とかいないんですよ。
大槻 居心地いいじゃないですか!
高木 居心地がすごくいいんですよ。引退した人間はいますけども。
──普通はプロレス界って、もっと下剋上的な世界ですよね。
高木 そうそう。僕がDDTを15年やって会社を始めたのは9年前なんです。9年前の段階ではいろんな人間が離れていったんです。「俺はこっち行って一旗上げる」みたいな。それぐらいがピークでそこから先はみんな契約更改のときも「不満とかないの?」って聞いても「ないです、大丈夫です」とか言ってて。条件も何も言ってないんですよ? 金銭アップもダウンも何も言ってないのに「あ、大丈夫です。ハンコ持ってきましたんで」って。「えっ……いや、なんか交渉したいことはある?」って言うと「いや、ないです。ちゃんと五体満足でプロレスができればそれで」「えーーーーっ?」って思って(笑)。
大槻 いい話だなあ(笑)。ゆとりを感じるなあ。
高木 さらに「ウチを辞めてもいいんだよ、団体作ればいいじゃん」とか言うと「いや、今の時代にそんなことしたら死にに行くようなもんですよ」とか言われちゃう。
大槻 実際、今のプロレスは新日本とかDDTさんもがんばってるけど、本当にそういう状況ではあるんですか?
高木 まあ、そうですね。
大槻 ロック界もそうですから。だから今アイドル界がバブルだからどうなっていくのかなって気になるよね。
DDTプロレスリング 両国国技館大会
- DDT万博 ~プロレスの進歩と調和~
- 2013年8月17日(土)東京都 両国国技館
OPEN / 13:30 START / 15:00 -
席種
- アリーナ席 / 完売
- マス席 / 4000円(当日5000円)
- 2階席 / 3000円(当日4000円)
- 両国ピーターパン2013 ~プロレスの傾向と対策~
- 2013年8月18日(日)東京都 両国国技館
OPEN / 12:30 START / 14:00 -
席種
- ドラマティック・ドリーム・シート(大会特製パイプ椅子のお土産付き) / 完売
- アリーナ席 / 完売
- マス席A / 完売
- マス席B / 7000円(当日8000円)
- マス席C / 完売
- 2Fイス席A / 5000円(当日6000円)
- 2Fイス席B / 4000円(当日5000円)
- 2Fイス席C / 3000円(当日4000円)
大槻ケンヂ(おおつきけんぢ)
1966年東京出身の男性シンガー/作家。中学の同級生だった内田雄一郎と筋肉少女帯を結成し、1988年にアルバム「仏陀L」でメジャーデビュー。不条理かつ幻想的な詩世界と卓越した演奏力で、独自の世界観を確立する。またバンド活動と並行して、小説やエッセイを執筆。青春小説「グミ・チョコレート・パイン」は2007年に映画化され、話題となった。また1995年にはソロアーティストとして、アルバム「ONLY YOU」をリリース。1999年には新バンド・特撮を結成し、精力的なライブ活動を展開する。2006年に筋肉少女帯が再活動。現在はバンドやソロなど、さまざまな活動を行っている。