フィロソフィーのダンス|聴く者を黙らせる、新たなアイドルシーンの創業者

フィロのスの使命を歌った曲

──ここからは2ndアルバム「ザ・ファウンダー」について伺います。まず加茂さんから、タイトルに込めた思いやアルバムのコンセプトを説明していだだけますか?

加茂 「ザ・ファウンダー」は創業者という意味で、タイトルには「こういったアイドルの形の創業者ですよ」という意味を込めました。「ザ・ファウンダー」という言葉がほかであまり使われてなかったし、あとは「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」というマクドナルドの創業者についての映画が面白かったんです。

──新曲はリード曲の「ダンス・ファウンダー」の1曲だけで、既発曲をまとめた作品になっていますね。

加茂 僕はひと月に1曲新曲を作って、ライブで披露して配信リリースするということをやりたくて。年間を通して溜まった曲を集大成としてCDにまとめたんです。曲によってミックスを変えたりして、配信で買った人も楽しめるようにしました。紙ジャケットで出して、ライナーノーツを付けたり、ほかにもCD買った人にしかわからない仕掛けもあるんです。

──「ダンス・ファウンダー」は気持ちが高まっていくようなイントロと両手を左右に振るサビが印象的なナンバーです。

日向 私はこの曲の歌詞がすごく好きなんです。ショウさんが「新しいダンスを踊らせてあげる」というフィロのスの使命について書いてくれて。私たちが今やらないといけないことをショウさんが歌詞を通して伝えてくれたんだと思います。この曲を初披露した渋谷QLUB QUATTROワンマンでは、お客さんを踊らせてやろうという気持ちでいっぱいでした。

奥津 メロディだけを聴いた段階でいい曲だと感じたんですけど、歌詞が入って改めてすごくいいなと思いました。曲と歌詞と私たちがすべてリンクしているような感覚があって、これからすごく大事な曲になるんじゃないかな。

十束 加茂さんが振り付けを担当したミキティー本物さんに「新しいダンスでお願いします」という注文をしていて、「どんなダンスなんだろう?」と思っていたんですけど、踊りやすく、かつ奇抜な振り付けになりました。お客さんがライブでこの曲を楽しそうに踊ってくれていたので、もっと広い場所でもっとたくさんの人と踊りたいなという気持ちが芽生えました。音で聴いても楽しいし、現場で一緒に踊っても楽しいし、2度楽しめる曲ですね。

佐藤 イントロから期待感大な感じの曲で、歌詞にある通り「間違った楽しみ方なんてないんだ」ということをファンの皆さんに改めて提示できるような曲になっていると思います。

風呂上がりに牛乳を飲んでるかのような歌い方

──メンバー1人ずつ、アルバムのお気に入りの曲を教えてもらえますか?

佐藤まりあ

佐藤 はい! 私はお気に入りの曲が2曲あって。私は「エポケー・チャンス」からの「夏のクオリア」の流れがすごく好きです。ハルちゃんの熱い歌声からマリリの清涼感のある歌声に変わるその2曲がフィロのスの振り幅を提示していて、とてもいい流れだと思います。

奥津 私も「エポケー・チャンス」が好きで。曲の雰囲気やグルーヴ感もいいし、加茂さんの歌振りが絶妙だなと思います。最後はハルちゃんが殴り込むのような歌声で聴く人を黙らせてて、ライブではすごくいい顔で歌ってるんですよ。ファンの方との戦いと言うか、お客さんを倒しにかかってる曲だと思うんで、私はハルちゃんが負けないように応援団のつもりで踊ってます。

日向 それ聞いたら次にやったときに笑っちゃうよ(笑)。

奥津 「今日は勝ったな」とかお客さんとのバトルに感じてきちゃって、すごく楽しいです。

十束 温泉上がりの人みたいな気持ちよさそうな顔で歌ってるよね。

奥津 腰に手を当ててる(笑)。

日向 確かに風呂上がりに牛乳を飲んでるかのようなスタイルで歌ってます(笑)。

──そんな日向さんのお気に入りの曲は?

日向 えー、絞れないですね。「ダンス・ファウンダー」「エポケー・チャンス」「ドグマティック・ドラマティック」「ベスト・フォー」「ジャスト・メモリーズ」がお勧めの曲です。

──アルバムの最後を締めくくる「ジャスト・メモリーズ」はフィロのス唯一のバラード曲で、日向さんの歌声がほかの曲以上に前面に出ていますね。

日向 制作段階で「ハルちゃんに歌ってほしい」とスタッフさんに言われていて楽しみにしていたんですけど、ファンの方は自分の推しに歌ってほしいと思うはずなので、「またほとんどハルだよ」っていう意見も出てくるかなと気にしていて。でも、加茂さんは私が歌えばいい曲になると思って私のパートにしてくださったわけだし、私もこのグループの名前を広めるために自分の歌が必要だと思えるようになったので、自信を持って歌っています。

加茂啓太郎

加茂 普通のアイドルじゃ歌えないバラードを作りたかったんです。でも完全にハルちゃん1人で歌ってるわけではなく、Bメロはマリリちゃんが歌っているし、サビのゴスペルっぽくなるところではおとはちゃんとあんぬちゃんの声も聞こえるし、ライブだと1人で歌っているようには見えないんですよ。4人に均等に目がいくと思うし、狙った以上のものになりました。

十束 ほかのグループのファンが聴いても黙って聴き入るし、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2017」ではお客さんの拍手が鳴り止まなくて、「そういう力がある曲なんだ」と思いました。

──なるほど。十束さんのお気に入りの曲はなんでしょう?

十束 2曲あって、1曲は「アルゴリズムの海」です。アイドルはなかなかやらないだろうというインドっぽい音楽に挑戦していて。最初にライブでやったときはあまりしっくりきてなくて、お客さんも乗り方がよくわからないかもと思ったんですけど、客観的に聴くととてもいい曲で、今アルバムの中で一番聴いているお気に入りの曲ですね。

──この曲にはシタールとタブラの音が入っていて、ファンクとはまた違ったジャンルの曲ですよね。

加茂 アイドルのインドものの曲ってときどきあるんですよね。モーニング娘。の「気まぐれプリンセス」とか。なのでフィロのスにも1曲インドものがあってもいいかなと。

十束 もう1曲は「ベスト・フォー」で、ショウさんが私たちのことを「ベスト・フォー」だと思って曲を書いてくださったんです。この2年間で4人の絆やチームワークが強くなってきて、お客さんにもそう言ってもらえることが多くなっていて。フィロのスは正統派のアイドルではないですけど、ファンがアイドルを応援するためにはそういう物語性が大事だと思っているんです。

加茂 「ベスト・フォー」はボズ・スキャッグスとかの1970年代後半のAORをやりたくて作った曲ですね。

アイドルにマイナスのイメージを持ってる人の価値観を変えたい

──今後の目標や展望を聞かせてください。

奥津 このアルバムをたくさんの人に聴いてもらうべきだと思っていて、武器はそろったからあとは戦うだけという感覚ですね。

十束 来年の2月にはcallmeさんとのツーマンライブもあって、これから階段を上がっていく始まりのアルバムになったと思います。あとチームワークや絆みたいなものはステージ上に表れるので仲よくやっていきたいですね(笑)。

日向 笑っちゃってんじゃん!

十束 (笑)。やっぱり仲いいグループのライブは観ていてすごく楽しいし、空気感が気持ちいいので、私たちらしくがんばっていきたいなと思います。

佐藤 去年「2017年の目標はなんですか?」と聞かれたときに「大きなフェスのメインステージに立ちたいです」と言ったんですけど、今年はそれが実現できなかったんです。なので、このアルバムでさらに勢いを付けて、来年はメインステージが似合うようなアイドルグループになりたいと思います。

日向 私はアイドルにマイナスのイメージを持ってる人たちの価値観を変える先駆者になりたくて。アイドルフェスではなく「COUNTDOWN JAPAN」や「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などのロックフェスにも出て、「あ! フィロソフィーのダンスだ!」って言ってもらえるような知名度のグループになりたいです。あと私は嵐さんみたいになりたくて、目標は嵐さんです。

──加茂さんはフィロのスを今後どのようなグループにしていきたいですか?

加茂 JUJU、Little Glee Monster、平井堅、星野源を聴いているようなJ-POPリスナーにも注目してもらえるグループにしたいですね。アイドルを認めない人はまだまだ多いし、FMではアイドルソングはなかなかかからないし、その状況を少しでもブレイクスルーしたくて。ジャンルをブレイクスルーできたBiSやでんぱ組は面白かったから。

──今、注目しているアイドルグループはいます?

フィロソフィーのダンス

加茂 WACKの渡辺淳之介さんがやることは面白いので動きは注目しています。あと、大阪☆春夏秋冬はメジャーデビューしてさらにクオリティが上がったし、東の日向ハル、西のMAINAと言われるように、シーン全体が盛り上がっていくといいですね。

日向 大きなグループと戦って強くなりたいです。

──フルバンドでライブをやることは考えてないんですか?

加茂 本当にうまいミュージシャンでやらないと逆にしょぼくなる可能性があるので、なかなか難しいですね。でも、念頭には置いてます。

日向 「待望の」って言われるくらいが丁度いいのかなって。同じ界隈にいるグループはすでにバンドセットでやってますけど、私たちはしっかりグループを続けたあとにやりたいです。

フィロソフィーのダンス「ザ・ファウンダー」
2017年11月22日発売
PHILOSOPHY OF THE WORLD
フィロソフィーのダンス「ザ・ファウンダー」

[CD]
3000円 / UXCL-140

Amazon.co.jp

収録曲
  1. ダンス・ファウンダー
  2. ライク・ア・ゾンビ
  3. はじめまして未来
  4. エポケー・チャンス
  5. 夏のクオリア
  6. ニュー・アタラクシア
  7. バッド・パラダイム
  8. ミスティック・ラバー
  9. ドグマティック・ドラマティック
  10. アルゴリズムの海
  11. ベスト・フォー
  12. ジャスト・メモリーズ

イベント情報

レッツ・スティック・トゥギャザー
2018年2月4日(日)大阪府 Shangri-La
<出演者>
フィロソフィーのダンス / callme
2018年2月10日(土)愛知県 SPADE BOX
<出演者>
フィロソフィーのダンス / callme
2018年2月12日(月・祝)東京都 WWW X
<出演者>
フィロソフィーのダンス / callme
フィロソフィーのダンス
フィロソフィーのダンス
2015年に結成された、加茂啓太郎がプロデュースを手がけるアイドルグループ。「Funky But Chic」をキーワードに活動しており、宮野弦士が編曲、ヤマモトショウが作詞を担当するソウルフルな楽曲で注目を集めている。2015年12月に会場限定シングル「すききらいアンチノミー」を発売。2016年1月に定期公演「FUNKY BUT CHIC」をスタートさせ、11月には東京・原宿アストロホールにて初のワンマンライブ「Do The Strand VOL.1」を開催した。同月に1stアルバム「FUNKY BUT CHIC」を発表。2017年10月に東京・渋谷CLUB QUATTROにて4thワンマンライブ「Do The Strand VOL.4」を成功させ、11月には2ndアルバム「ザ・ファウンダー」をリリースした。