ヒゲダンさんに関しては「100%大丈夫でしょ!」という気持ちがありました
──では、ここからは新作の「FAKE ME FAKE ME OUT」について聞かせてください。今作はOfficial髭男dismの藤原聡(Vo, Pf)さんが楽曲提供されているという大きなトピックがありますが、なぜ藤原さんとコラボすることに?
大輝 みんなヒゲダンさんが好きだったんですよ。あとはいろんなきっかけが重なって。僕のラジオ(TBSラジオ「TALK ABOUT」)に出ていただいたり、ライブイベントでご一緒させていただいたり、みたいな絡みがあって。そんな中で僕らの「一緒にやりたいです」というオファーを快諾してくれたので、もう何よりという感じ。叶うなんて思っていなかったから。
──これまでDa-iCEはコンペで曲を選ぶパターンが多かったですよね。なので今回は、作家さんへのアプローチの仕方も今までにないものだったのかなと思ったのですが。
雄大 常に新しいことやチャレンジを模索していく中で、たまたまタイミング的にお願いさせてもらえたという感じですね。
大輝 ヒゲダンさんに書いてもらえるなら何よりだよねって。
──皆さんはヒゲダンのどんなところに魅力を感じていたんですか?
想太 声もそうですし、歌詞もメロディも演奏も全部カッコいいですね。ジャンルの垣根を超えていて、音楽が本当に好きなんだろうなと思いますし、歌に誠実さや魂も感じます。なんというか、聴いていて嫌な感じが1つもしないんですよね。R&Bの色、バンドの爽快感、キャッチーな歌謡曲感もあって、歌詞はすごく詩的。全部好きですね。
大輝 ラジオで話していて感じたんですけど、藤原さんと僕は聴いてきた音楽がけっこう似ていて。ヒゲダンさんはバンドという形を取っているけど、R&Bやファンク、ヒップホップなんかも通ってきていて、「この曲ってマイケル・ジャクソンのあの曲のオマージュですよね」みたいな話もできる。ああいう方たちって、ダンスボーカルグループの僕らとは全然違う環境を歩んできたと思うじゃないですか。そうじゃなくて、ホントに共通するところが多かったんです。
──そうだったんですね。
大輝 誰かに曲をお願いするときって、少なからず賭けの要素があると思うんです。うまく混ざり合うかはわからないけど、面白そうだからやってみたい、といったような。ただヒゲダンさんに関しては「100%大丈夫でしょ!」という気持ちがありました。絶対に間違いない曲を書いてもらえるって。結果、そうなりましたしね。本当に感謝です。
やりますよね、無理してでも。渾身のやつを
──曲を初めて聴いてみたとき、どう感じました?
大輝 デモから最高だったんですよ。
想太 「なんも言えねえ」ってね。
──では雄大さんと想太さんは、レコーディングではどうやってDa-iCEのボーカルとしての味付けをされていったんでしょう。
雄大 僕はデモを聴くと、自分が声を入れたときにどう仕上がるかなと言うのがだいたい見えるんですけど、この曲に関してはなかなか見えずで。サビは特にイメージが難しかったんです。でも歌っていく中で、ちょっと廃れた感じのあるキザさやセクシーさとか……そんなところに気を配るようにしました。語尾の処理も“まっすぐ”とか“キレイに”じゃない感じ。ちょっと言葉で言い表すのは難しいんですけど。頭の中のイメージを声の形として出すのが難しかったですね。
想太 僕はリズムを重視しました。伸ばしすぎず、プツプツと歌ってリズムをしっかり出すというか。藤原さんがけっこうリズム重視で歌う方なので、「あんまり伸ばしすぎると崩れるかな」と気を付けて、抑揚を付けながらスタッカートを使い、形を作っていきました。
──ラストに向かって盛り上がっていく、終盤の畳み掛けもすごかったですね。想太さんのひと息で3段上がる高音とか。
想太 スタッフさんに「ラストサビに行くのにフェイクを入れてくれ」と指示をもらっていて。ひとまずやってみたら、「いい感じだけど、もうちょっと爆発力が欲しいんだよね」と言われたんです。だから、あれは渾身のやつです!!
──めちゃくちゃ伝わってきました。
大輝 すごい渾身なんですけど、すごい渾身なばっかりに、これから毎回渾身の一発をやらないといけないから大変ですよ(笑)。
想太 そうです。これからも渾身です!
大輝 今後何百回とやる曲で、毎回渾身の一発を出す(笑)。
想太 そうなんだよね。レコーディングのときは突っ立って歌ってるから、余裕なんですよ。3テイクくらい歌っても、全部完璧に出せるくらいの感覚なんですけど、踊ってるとなかなかキツいんですよね。スタッフさんは「ライブでは変えたらいいんじゃないの」と言ってくださるんですけど、でも実際ライブで渾身の一発をやらなかったら、ファンの皆さんは「やらんのかい!」となるじゃないですか。
徹 聴きたいよね。
想太 やりますよね、無理してでも。渾身のやつを(笑)。
声を大にして言いたいんですよ。「あそこ、ホントにスゲエぞ!?」って
雄大 これ、すっごい難しいんですよ。レコーディングってやっぱり喉を整えて臨むし、直立して歌うからいい塩梅でいいものが出せるんです。そのテイクを聴いたらファンの方はそちらを楽しみにするし、自分自身もそれがいいものだってわかってるから……。
想太 やりたくなっちゃうよね。
雄大 そう、できればそこで行きたいと思うんですよ。
想太 雄大くんのアウトロのフェイクで「♪Yeah, yeah, yeah, ohohoh」ってところがあるんですけど、ここ、僕が「恋ごころ」で出す一番高い音を連発で出してるっていうスゴい歌い方をしてるんですよ。けど彼、サラっとやるじゃないですか。めちゃくちゃ難しいのに、普通にやるから伝わりづらいっていう……。
一同 あはははは!(笑)
想太 僕は声を大にして言いたいんですよ。「あそこ、ホントにスゲエぞ!?」って。
大輝 しかも僕ら、その部分を音ハメで踊っちゃってるもんで……。
想太 歌い方を変えられない!(笑)
一同 あははははは!(笑)
雄大 いや、振り入れの日までは言ってたんですよ、スタッフさんに。「ライブでは最悪歌い方変えるかもしれない」って。
徹 体調とかね、いろいろ関わってくるしね。
雄大 ライブ用に違うラインもちゃんと考えてたんですよ。
大輝 まあ、言ったらフェイクだからね。
雄大 振り入れしてみたら、しっかり音ハメでダンスが付いてる!!
徹 もう一生変えちゃダメだから(笑)。
大輝 これ、ダンスボーカルグループならではの落とし穴です。この“あるある”と付き合ってもう8年ですから(笑)。
颯 大変だなあ。
雄大 逆に僕が歌ってなくてもみんなの動きが合ってたら、それはそれでカッコいいですけどね?
想太 “無音ダンス”か? やめろ(笑)。
大輝 逃げないの(笑)。
──とにかく、フェイクにまでめちゃくちゃ気合いが入ったボーカルということですね。
想太 そうですね(笑)。
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