ヘビーなサウンドは若干弱いんです

──カップリングの「Rain man」は対照的に暗めの曲になってますね。

幸樹　玲夏がいいタイミングで曲を持ってきてくれて、そのときの自分のネガティブな感情とリンクしたんです。歌詞は実体験が基本ですね。

──歌詞についてもう少しお聞きしますけど、「全身全霊LIVES」では一人称が「僕」なのが「Rain man」では「私」になったり、言い回しが断定的なもの、ですます調になったりするのはどうしてですか？

幸樹　意志の強さがダイレクトに出てるんですよね。「！」マークや「…」「。」を使うのもそのときの気持ちがそうさせるというか。一人称が変わるのも同じ理由です。「あなた」も使い分けてます。「あなた」「貴女」「貴方」とか。

──音だけでなく文面からも伝わるようにしてるんですね。そして、もう1曲。通常盤のみに収録される「富と名声」はアレンジで言えば、一番独特な曲かなと。

幸樹　結成当初からこういうスタイルなんです。それをよりストレートに出したってことですよ（笑）。基本の歌メロがしっかりしてれば、メンバーが面白くしてくれるので。

玲夏　サビの歌メロだけ最初にあったんだよね？ そこからどう料理していくかなんですけど、この曲は1回放棄しちゃった記憶があります。

威吹　それ、自分がでしょ？（笑） スタジオで合わせてみてしっくりくればOKなんですけどね。

──事前のイメージはどういうものでしたか？

玲夏　サビのキャッチーなメロディがありつつ、ヘビーなサウンドというイメージでしたね。ただ俺らって、ヘビーなものが若干弱いんですよ。

幸樹　やり切っちゃえば、なんてことないんですけどね。最初でつまづいたりはします。

威吹　今までもやってなくはなかったけど、最初から最後までヘビーな曲は初めてですね。

玲夏　でも、その中で遊び心はあって、1番、ギターソロ、2番で全部のキーが半音ずつ上がってるんですよ。

来年はアルバムを2枚以上リリースしたい

──シングル3曲の中で遊び心を活かしたアプローチって、ほかに何かありますか？

威吹　「全身全霊LIVES」の間奏なんですけど、レコーディングではバイオリンの弓を使って弾きました。でも、ギターを支えてくれる人がいないとダメで、一人では弾けないんですよ。なので、玲夏やひヵるに協力してもらって（笑）。

幸樹　ライブでは俺が支えるから！ 俺も「全身全霊LIVES」でひとつあって、いつもはライブ感を大事にして、爆音でサウンドを聴きながら歌入れするんですけど、今回は真逆にしました。演奏の音をすごく小さくして、ほとんど自分の声だけにして録ってみたんですよ。そしたら、声が響いて聞こえてよかったですね。それはアレンジャーの方が提案してくれました。

玲夏　俺は「Rain man」で、ベースのアンプから鳴らしてる音に加えて、ギターアンプからも音を出してみたんですよ。ものすごく歪ませてみました。昔、あるベーシストの方がそうやってレコーディングしたっていうのを聞いたことがあって、一度やってみたいなって。エンジニアさんに無理を言って、チャレンジしてみました。

ひヵる　僕は逆に、「Rain man」でベースアンプにつないだりしてるんですよ。だから、今その話初めて聞いてびっくりしたんだけど（笑）。

玲夏　えー、そうなの？

──話し合ってのことではなかったんですね。

ひヵる　もちろんイメージは原曲を持ってきた玲夏に聞いてて、「もっとヘビーにしたい」って言ってたから、前からやってみたかったそのアプローチを試したんです。ほかには、クラシックギターに挑戦したのもありますね。

ミナセ　僕も「Rain man」が印象深いですね。曲の雰囲気にしてもアレンジにしても、今までにないタイプです。僕らって、イケイケな曲のほうが多いですからね（笑）。この曲はちょっとテイストが違うので、どういう演奏が合うのかをいつも以上に考えました。生で聴くと「ん？」っていう感触でも、マイクを通したら合うとか、そのポイントを探りながら作れたのは新しかったです。

──新境地という意味では、「Rain man」がカギなのかもしれないですね。最後に今後の予定について教えてください。

幸樹　11月23日にワンマンライブがSHIBUYA-AXであって、それは楽しみにしてもらいたいですね。あとは来年はより多く音源を出したい。アルバムも1枚と言わず、2枚以上出したいです！