音楽ナタリー PowerPush - Cyntia
炎上覚悟!“WOMANバンド”の挑戦
スタジアム級のスケールを備えたロックチューンと卓越した演奏テクニックによって着実に知名度を上げ続けているCyntiaがニューアルバム「WOMAN」を完成させた。プロデューサーにシライシ紗トリを迎え、シングル曲「勝利の花束を-gonna gonna be hot!-」「KISS KISS KISS」、さらにアルバムと同時にシングルカットされた「暁の華」を含む本作は、EDMの要素を取り入れるなど、これまでにないアプローチを試みたアルバムに仕上がっている。
今回ナタリーではメンバー5人全員にインタビュー。「WOMAN」というタイトルに込めた思い、レコーディング方法やアレンジの変化、そして、女性ロックバンドとしてのプライドについて熱く語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 竹中圭樹(D-CORD)
“Lady”から成長して“WOMAN”に
──ニューアルバム「WOMAN」、まさに意欲作ですね。ハードロック、ヘヴィメタルなどのバンドのルーツミュージックを色濃く残しつつも、EDMなどより現代的なサウンドにアプローチしていて。
SAKI(Vo) 新しいことをやりたいという意識はバンドとして常にありますからね。そこから生まれたのがこのアルバムの音だと思います。バンドがこれまで培ってきた要素は残しつつ、「ダンスミュージックも取り入れてみたら面白いんじゃないか?」という好奇心もあったし。
AZU(B) いろんな音楽が好きですからね。ロック以外の音楽ももちろん聴きますし。
AYANO(Key) チャートも毎日チェックしてますから。流行も知っておきたいし、いいなと思う曲があったら買って聴いたりして。
──ということは「WOMAN」にEDMのテイストが取り入れられているのも自然な流れだった?
SAKI デモの段階では、ゴリゴリのハードロックサウンドだったんですけどね(笑)。そこからアルバムのコンセプトを話し合って、サウンドの方向性が決まっていきました。
AZU アルバム「Limit Break」を1年前にリリースしたあとから曲はコンスタントに作り続けていて。その後「WOMAN」というアルバムの軸になる曲ができて、そこから「どういう曲がアルバムに合うだろう?」と選んでいった感じなんですよね。アルバムのタイトルも早い時期から「WOMAN」に決めてたし。
──「WOMAN」というワードが起点になった、と。
AYANO アルバムのコンセプトを決める会議で、みんなが「うーん……」って考え込んでいたときに、AZUが「『WOMAN』はどう?」ってボソッと言ったんです。
AZU 2年前に「Lady Made」というアルバムも出しているので、そこからさらに成長した女性というイメージが浮かんだんですよ。ちょっと安易な考え方だし、そのままタイトルになるとは思ってなかったんですけど(笑)。
AYANO でも、すぐに「『WOMAN』、いいじゃん!」ってなりましたね。「自分たちって、何者なんだろう?」と見つめ直す時期もあったんですけど、“WOMAN”というキーワードが出てきたことで「私たちはやっぱり女性だし、それ以外の何者でもないな」と改めて思って。「WOMAN」というタイトルだったら、説得力を持って発信できるんじゃないかな、と。
同世代の女性の気持ちを代弁したい
──WOMANには“大人の女性”というニュアンスもありますね。
AZU そうですね。私たちと同世代の女の子って、ちょうど今環境が変わってくる時期なんですよ。例えば結婚したり、子供が産まれたり、転職したり。ずっとガムシャラに走ってきたけど、ちょっと立ち止まって自分を見つめ直す時期なのかもしれないなって。
SAKI そうだね。OLをやっている友達も、「そろそろミニスカートはダメかな。膝丈にするか」とか「つけまつげをやめて、マスカラだけにしようか」みたいなことを言い始めたり。そういう女の子の気持ちを代弁するような歌詞を今回は書きたいと思ったんです。今までは歌詞の中で“僕”という言葉を使うことも多かったんですけど、「WOMAN」と打ち出すからには、それはちょっと違うなって思って使わないようにしたり。
──タイトル曲「WOMAN」もそうですが、「女性の幸せとは何か?」というテーマを扱った曲もありますよね。
SAKI 女性が幸せになる方法として、まず思い付くのは「素敵な男性を見つけて、結婚して、子供を産んで」ということだと思うんですね。もちろんそこにもいろんな苦労があると思うけど、同世代の子と話していても「やっぱり結婚だよね」という話になることが多くて。そういう子は私に対して「好きなことをやれていてうらやましい」って言うんだけど、こっちもこっちで結婚してる友達がうらやましいっていう気持ちも多少はあって。
YUI(G) あははは(笑)。
SAKI Facebookで友達が結婚式の写真をアップしてたりすると、「うらやましい!」って思うし(笑)。そういう話はメンバーともしますからね。
AYANO するね(笑)。
SAKI 人間はずっと“ないものねだり”なんだろうなとも思うけど。その中で私たちは、夢を持っていたり、自己実現しようとがんばっている女性を応援するような曲を作っていきたいなって。
YUI ギターを弾く人間としても、いろいろと考えることがありますからね。下の世代のバンドもどんどん出てくるし、「このままで大丈夫なのかな?」とか。そういうことも考えるよね……?
SAKI もちろん。女が5人集まって「バンドでメシ食っていこう」と思ってるとか、相当変わり者ですもん(笑)。今回のアルバムはそれでもやっていくっていう決意表明でもあるんですよね。
YUI (笑)。曲を作るときなんて、2、3日ほとんど寝ないでやってますからね。
AYANO 風呂にも入らずね(笑)。
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- ニューアルバム「WOMAN」2015年2月18日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤A [CD+DVD] 3672円 / VIZL-776 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤B [CD+Blu-ray] 4320円 / VIZL-794 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3024円 / VICL-64294 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- 暁の華
- Woman
- シニシズム
- chapter1
- 君がいない世界
- KISS KISS KISS
- GIRL to WOMAN -prologue-
- lucky☆star
- 勝利の花束を-gonna gonna be hot!-
- letter
- リックリリック
初回限定盤A DVD収録内容
- Made in Jakarta - Cyntia Live & Press Tour Footage - ドキュメンタリー
初回限定盤B Blu-ray収録内容
- Made in Jakarta - Cyntia Live & Press Tour Footage - ドキュメンタリー
- 勝利の花束を-gonna gonna be hot !- ミュージック・ビデオ
- KISS KISS KISS ミュージック・ビデオ
収録曲
- 暁の華(TV edit)
- lucky☆star
Cyntia LIVE TOUR 2015 PRETTY WOMAN
- 2015年3月8日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST
- 2015年3月13日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2015年3月21日(土・祝)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2015年3月22日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
Cyntia(シンティア)
SAKI(Vo)、YUI(G)、KANOKO(Dr)、AYANO(Key)、AZU(B)による5人組ロックバンド。KANOKOとYUIを中心に結成され、2011年4月インディーズレーベル・SPINNINGからシングル「Run To The Future」をリリース。初ライブ直後にベーシストが体調不良のため脱退し、元LAZYgunsBRISKYのAZUが加入する。2013年3月にアルバム「Lady Made」でビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー。2015年2月に4thアルバムとなる「WOMAN」をリリース。3月には東京、大阪、愛知、福岡を回る全国ツアー「Cyntia LIVE TOUR 2015『PRETTY WOMAN』」を開催する。