May'nの楽曲「Follow Your Fantasy」を使用した、Cygamesのコーポレートアニメーションムービーが公開された。
このムービーは今年設立10周年を迎えたCygamesが製作に携わった「グランブルーファンタジー」「シャドウバース」「ウマ娘 プリティーダービー」「ゾンビランドサガ」といった作品のキャラクターが一堂に会するという、ゲーム・アニメファンの空想を具現化したかのような映像となっている。このたび音楽ナタリーは、「Follow Your Fantasy」のレコーディングを終えたばかりのMay'nにインタビューを実施。コーポレートアニメーションムービーの楽曲歌唱を担当した心境や、レコーディングの手応えについて話を聞いた。
取材・文 / 秦野邦彦撮影 / 星野耕作
日常と非日常が混ざり合うような感覚
──2021年も残すところあとわずかですが、May'nさんにとって今年はどんな年になりましたか?
今年の3月からDigital Doubleにレーベルを移籍して、6月に移籍後初となるフルアルバム「momentbook」をリリースさせていただいたので、改めて「ここからたくさん音楽を届けていくぞ!」と心機一転のような気持ちになった1年でした。デビュー15周年のラストスパートでもあったので、より自分の音楽に気合いを入れましたね。コロナ禍の中、配信ライブ(1月から5カ月連続で開催した「May'n 15th Anniversary Monthly Concert『1 to 5』」)もたくさんさせていただけましたし、やるべきことをやり続けながら前に進むことができたなと思います。「自分の音楽をどうやって届けていこうか」と改めて考えさせられましたし、ライブがあることのありがたさに気付かされました。9、10月には「ジャック・ザ・リッパー」、12月から来年にかけては「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」と、ミュージカルにも2本続けて出演させていただけましたので、チャレンジを続けながら成長することができた1年だったと思います。
──そんな1年の締めくくりとして、Cygamesのコーポレートムービーのテーマソングを担当されますが、お話をいただいてどのように感じましたか?
すごく光栄なことだと思いました。今回のコーポレートムービーは世界中にCygamesさんの魅力をさらに発信していこうというプロジェクトだと伺いまして。私も今までのキャリアの中で10年以上、日本だけではなく海外に向けた活動を続けてきたので、その活動があったからこそお声がけいただけたと思うとうれしいです。
──ムービーには「グランブルーファンタジー」「シャドウバース」「ウマ娘 プリティーダービー」といったCygames制作のゲームや、「ゾンビランドサガ」などのCygamesが製作に携わっているアニメでおなじみのキャラクターたちが次々と登場します。
もう、すごく興奮しました! 最初にムービーを観て感じた興奮や熱量をそのまま楽曲に込めたいなと思って。まず作品を越えてさまざまなキャラクターたちが1つのムービーに登場するのは、本当に特別なことだと思うんです。しかもCygamesさんのゲームは、私たちの日常にすごく溶け込んでいると思っていて。私は移動中にゲームをしたりアニメを観たりすることが多いんですけど、いつの間にか没頭して電車に乗っていることを忘れてしまうんですよ。そういう、ゲームと日常がリンクしていく感じがとてもリアルだなと思いましたし、それをアニメーションとして面白く表現されていることに感動しました。キャラクターたちがエスカレーターに乗っている姿も「あるかもしれない」と思えたんですよね。ゲームの中の世界と私たちが暮らしている日常はもちろん別の世界ですけど、スマートフォンでゲームをしていると、それらがどんどん重なっていくというか。そういう感覚は、絶対皆さん持っていると思うんです。時間を忘れてしまうのもそうだし、電車に乗っていても家にいるときと同じような感覚でゲームの中に入り込めるのもそうだし、日常と非日常が自然と混ざり合っていくような感覚。それをとてもうまく表現しているムービーだなと思いました。
──スマートフォンが普及して以降、ゲームの在り方も大きく変わりましたね。
ですよね。プレイしたいと思ったときにすぐできるし、セーブしなくてもすぐやめることができるのもいいですよね。ちょっとした時間でできるからこそ、より自分の生活にフィットする存在になっているんだなと思います。昔でしたら大きな休みがないとプレイできないとか、「お家に帰って1時間だけやる」ということも多かったと思うんですけど、今は本当に日常に寄り添ったものになっていると思います。
──これまでCygamesに対して抱いていたイメージはいかがでしたか?
テレビでよく見かける会社だなあって! 自分がゲームを始める前から「グランブルーファンタジー」や「神撃のバハムート」のCMはテレビでよく観ていましたね。最近だと「ウマ娘」もそう。なので普段ゲームをされない方でも確実に知っている会社ですし、そういう人にもゲームタイトルが知られているのは本当にすごいことだと思うんです。今年10周年を迎えられたという話を聞いて、逆に「まだ10年なんだ!」と思いましたね。昔から触れてきたような感覚がある、そんなゲーム会社さんのイメージがありました。
日本から世界に発信していくぞ
──たった今「Follow Your Fantasy」のレコーディングを終えられたということですが、どのようなことをイメージして歌いましたか?
Cygamesさんの作品には、壮大なファンタジー作品やアクションがカッコいい作品、かわいらしい作品などさまざまなジャンルのゲームがあるので、そういった幅の広さをこの1曲で表現したいと思い、Cygamesさんのさまざまなタイトルを頭に浮かべながら歌わせていただきました。事前にムービーを見たうえでレコーディングに挑めたので、各タイトルのキャラクターの見せ場がある楽曲になったのではないかと思っております。1曲の中にファンタスティックな美しいフレーズや、アニメのオープニングのような疾走感あるロック調のフレーズ、そして「日本から世界に発信していくぞ」という意志を感じる和テイストなパートなど、さまざまな要素が盛り込まれていて。これだけさまざまなカラーを出せる楽曲は今までのキャリアの中で初めてなので、すごく歌い甲斐がありました。
──作詞を担当(Lynne Hobdayと共作)した古屋真さん、作曲・編曲を手がけた加藤裕介さんは、「ゾンビランドサガ」シリーズのオープニングテーマ「徒花ネクロマンシー」「大河よ共に泣いてくれ」などでもおなじみのコンビです。May'nさんとご一緒されるのは初めてですね。
私は初めてですけれども、さまざまなアーティストさんの曲で聴かせていただいていました。加藤さんからいただいたデモがすごくカッコよかったんですけど、家で練習しているときに「さらに疾走感とかキャッチーさを出したい」と思い、「少しキーを上げるのはどうですか?」というお話をさせていただいて。それで今のキーにしていただきました。でもレコーディングしている最中に、「あれっ? 上げるって言わなきゃよかったな。大変なことになっちゃったな」と思いました(笑)。でもその結果、キャッチーで迫力ある曲になったと思うので、無事にレコーディングを終えられてよかったです。
──キーを下げるお話はよく聞きますけど、上げるのは珍しいですね(笑)。
ここ数年のレコーディングはスムーズに進む曲が多かったんですけど、今回はひさびさに苦労して、かなり時間がかかりました。それぐらい歌い込ませていただきました。加藤さんも「こういうのはどうですか?」とか「ぜひもう1回やりましょう!」と、すごく細かいところまでディレクションをして、こだわってくださる方でしたので、すごく楽しかったです。汗だくになりながら1曲を仕上げていきました。
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今までのキャリアをすべてつなげて歌った楽曲