CUBERSインタビュー|「あれ、本当に解散するんだっけ?」変わらない5人が贈るラストシングル (2/3)

春斗はいつだってメインボーカル

──解散直前の3月20日にはCUBERSの8年半にわたる活動を総括したベストアルバム「CUBERS BEST 2015-2024」がリリースされます。ベストアルバムはCD3枚組で「インディーズDISC」「メジャーDISC」「2023Summer-2024Spring DISC」に分かれていますが、各DISCでメンバーの皆さんが印象に残っている楽曲はどれですか?

TAKA インディーズDISCの中だったら「Samenaide」かな。CUBERSの最初のコンセプトは「弟にしたいボーイズグループ」だったんですよ。でも活動を重ねていくにつれて20歳を超えるメンバーが増えてきて……。「Samenaide」をリリースするタイミングで「聴けるボーイズユニット」という新しいコンセプトを打ち立てたので、すごく印象に残ってます。

9太郎 「Samenaide」はレコーディングに2日かけたんですよ。それぐらい力を入れた1曲でした。

TAKA 新しい勝負を仕掛ける感覚があったよね。

──インディーズ時代は春斗さんが「CUBERSのメインボーカル」と自己紹介していましたよね。メジャーデビューを経てCUBERSにおけるメインボーカルという概念はなくなっていきますが、そういったグループの在り方の変化を春斗さん自身はどう感じていましたか?

春斗 最初は僕がメインボーカルだったけど、ダンスも歌も長年やっていればうまくなるんですよ。だから全体のレベルが上がって、僕が「メインボーカル」と言わなくなることに対してはすごくポジティブに感じていました。みんなのことを頼れるようになったから。

春斗

春斗

TAKA でも僕は今でも春斗くんのことをメインボーカルだと思ってるよ。

綾介 たぶんみんなそう思ってる。

春斗 え、そうなの?

9太郎 もっと言えば、春斗くんの歌がなかったら僕らはけっこう苦戦してたと思う。そこはめっちゃ感謝してる。

──こんなことを言うと失礼かもしれませんが、春斗さんの「最年長で歌唱力がずば抜けて高いけど、ポンコツでいじられキャラ」というのは絶妙なバランスだなと感じていました。もし歌がうまくなかったら最年長としての立場はもっと危うかったと思いますし、歌がうまくて性格も完璧だったら今のCUBERSのような楽しげな空気感にはなっていないはずですから。

9太郎 もう本当にその通り。

綾介 春斗くんは歌がうまくて本当によかったよね。

──グループ最年少の優さんは、最年長の春斗さんの在り方をどう見ていましたか?

 年齢がバラバラなボーイズグループにおける縦の関係っていろいろあるんですが、春斗くんは“こちら側”に降りてきてくれているのがすごい。最年少と同じ目線どころか、僕より下に降りていただいているので。

春斗 ちょっと降りすぎちゃったかもしれないよね。

 でもこれはすごくいいことなんですよ。もし春斗くんがしっかり者だったらMCでこんなに盛り上がれないし、何かあったときにいろいろ言えないじゃないですか。CUBERSをCUBERSたらしめているのはやっぱり春斗くんなんだなと思っています。

当初は“らしくなかった”メジャーデビュー曲

──「メジャーDISC」から1曲挙げるとすれば?

TAKA やっぱり「メジャーボーイ」だよね。

春斗 メジャーデビュー曲だし、初めてつんく♂さんに書いてもらった曲だしね。

9太郎 ライブで披露すると空気が変わるから、この曲には助けられてました。

TAKA イントロが流れ始めたときの“待ってました感”は、この曲が一番な気がする。

 メジャーデビュー当初は「メジャーボーイ」は“CUBERSらしくない曲”だったんですよ。でも披露していくうちに僕らの代表曲になっていったので、曲の持つ力ってすごいんだなと思いました。

綾介 「メジャーDISC」はいろんな方々に書いてもらった大事な曲ばかりですが、僕個人的としては「エブリデイ・アイシタイ」も節目となる曲でした。ライブを大切にしていた僕らにとって新型コロナウイルスの流行はとてつもなく大きい出来事で、この曲をリリースした頃はオンラインライブとかコロナ禍ならではの活動を模索し続けた時期でもあったので。

9太郎 メンバー5人の共同生活とか、感染対策しながら47都道府県を手分けして回ったり、いろいろやったね。

綾介 事態が落ち着き始めてようやくファンのみんなと顔を合わせられるタイミングでリリースした楽曲が「エブリデイ・アイシタイ」だったから、すごく思い入れが強いです。まったくライブができなかった約2年の時間は、僕らにとって長すぎました。

堀切さんに始まって堀切さんで終わる

──「2023Summer-2024Spring DISC」にはベストアルバム唯一の新曲として、CUBERSの“生みの親”でもあるチーフマネージャー・堀切裕真さんが作詞作曲した「Add Love Song」が収録されています。

綾介 堀切さんはグループ名が付く前のプレデビューのときから曲を書いてくれていて。堀切さんに始まって堀切さんで終わるのは必然なのかなと思っています。僕らに向けての最後のメッセージがこの曲には詰まっているわけなので。

綾介

綾介

9太郎 大きく言ったら“愛の歌”だと思う。堀切さんからメンバーに対しての個人的な思いも確実に入っているから、そこもしっかり受け取らなきゃいけない。だからメンバー全員、レコーディングに対する思いはいつも以上に特別だったんじゃないかな。僕、普段なら自分のパートだけ録って帰るところを「堀切さんの曲を歌うのも最後だしな」と思って、全部フルで1回歌わせてもらいました。記念に。

TAKA 優しい曲なのに、歌うのが苦しいんですよ。それがすごく不思議。

──なぜ苦しいんでしょうか?

TAKA 難しいからとかの技術的な話ではなくて、きっと僕らが解散前の状況にいるからだと思います。それと、この曲は誰に届ければいいのか、まだちょっとわからないところがあって。自分に向けて歌うべき曲なのか、みんなに伝えなきゃいけない曲なのか。心の置きどころが難しい。ツアーで3回歌う機会がありましたが、3回ともちゃんと歌えなかったんですよ。言葉に詰まっちゃって。堀切さんと僕らはプレデビューの研修時代も含めてCUBERSとしての約9年間もの時間を一緒に過ごしてきたから、その重みが乗っかっているんだろうなあ。

──解散ライブの日にはうまく歌えるようになっていると思いますか?

TAKA どうでしょうね。僕はもう、歌わずに聴いてます。みんなの声を。

9太郎 いやいや、TAKAのパートもあるからちゃんと歌ってもらわないと。

TAKA 今までいろんな曲を歌ってきましたけど、こういう気持ちになるのは初めてなので、音楽って面白いですね。音楽には僕らが知らないパワーがまだまだあると思い知らされました。

1秒前までめっちゃ笑ってたのに、急に泣いてそう

──CUBERS最後の日、3月31日の「CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -」は、どのようなライブになりそうですか?

9太郎 それが、まったく想像できないんですよ。

綾介 僕らもファンのみんなもどういう感じになるか、本当に予想がつかない。

春斗 冬のラストツアーはけっこういつも通りのライブをやったよね。だから解散ライブも変わらないかも。

TAKA でも最後だよ? いつも通りってわけにもいかないよ。

9太郎 スタッフさんや最近のライブを観てくれた人によく「解散する感じがしない」と言われるんですよ。メンバー間でギクシャクもしてないし、楽屋での僕らが暗い雰囲気になっていることもない。だから本当にいつも通りに終わる可能性もあります。いつも通り春斗くんをイジって「ちゃんとしなよ、最後なんだから!」とか言ってるのも素敵っちゃ素敵。

綾介 でもその逆で、すべての思いが最終日に押し寄せてくる可能性はあるよね。

9太郎 ある。

TAKA 春斗くんに「(解散ライブで)TAKAは1秒前までめっちゃ笑ってたのに、急に泣いてそう」ってよく言われるんですよ。でもその感覚はすごくわかる。

9太郎 いつも通りの楽しさが逆に悲しくなるのは絶対にあるから。1人が泣き出したら絶対連鎖しちゃうから、みんな我慢してよね?

──普段あまり感情を表に出さない優さんが涙するような可能性もある?

 僕自身も全然わからないですね。だって解散したことないですし。僕だけじゃなくて、ほかのグループで解散を経験した人もいないんですよ。5人とも未知の経験をするので、当日のことは誰もわからない。

優

TAKA 優が大泣きしてたらオモロいな~。

9太郎 それは絶対笑っちゃうわ。

 絶対ないとは言い切れないんだよ。自分でも解散ライブで何を思うのか、想像もできないから。

CUBERSは“最強の遊び相手”

──ちょっと漠然とした問いかけになりますが、皆さん1人ひとりにとってCUBERSとはなんでしたか?

綾介 すごく難しい質問ですね。

TAKA CUBERSってなんだったんだろうね。

9太郎 こういうのは年長者だし、春斗くんから答えてよ。

春斗 う~ん……すごく楽しかったんですよね。一緒に夢を追う仲間と、楽しみながら活動してきたから、CUBERSでの活動って、夢の中にいたような感覚がある。だからCUBERSは僕にとって“夢のような場所”だったのかな。

9太郎 意外といいこと言うじゃん。

TAKA 僕はベタな表現になっちゃいますが、CUBERSはコンセプト通り“枠からはみ出した存在”だったと思います。チャレンジングな企画もたくさんやらされたし(笑)、最初から最後まで同じようなグループは出てこなかった。最後は枠から飛び出しすぎて、枠だけ残して5人ともいなくなっちゃう。

──その枠の1つとしてつばさ男子プロダクションが生まれたわけですから、大きいものを残せたわけですよね。

TAKA CUBERSの力だけでつば男が生まれたわけではないと思うけど、あとに続いてくれる人たちがいるのはすごく光栄なことだと感じています。

 僕にとってCUBERSはすごく“不思議な場所”でした。CUBERSって僕自身もよくわからないんですよ。夏(まゆみ)先生がコメントにも残してくれてますが「熱いのか、クールなのか」「大人なのか、子供なのか」「必死なのか、余裕なのか」、最後までよくわからなかった(笑)。5人バラバラでよくわからないけど、不思議なバランスだけは保たれてた。だから1人だけ抜けるとか、そういうこともなく最後まで走り切れたのかな。

CUBERS

CUBERS

綾介 第2の学校みたいだったなと思っています。僕の場合、大学を卒業して普通だったら就職しているはずのところを、CUBERSに入って芸能活動をすることになって。そこでいろんな仕組みだったり、考え方だったり、勉強させてもらったことがものすごく多い。でも勉強だけじゃなくて、気心の知れたクラスメイトのような仲間がいて、楽しいこともたくさんできた。だから学校に近いのかな。自分の中ではそれが一番しっくりきます。

9太郎 みんなの話を聞きながら、CUBERSって“最強の遊び相手”だったんじゃないかなと思いました。それは僕らメンバーにとってもだけじゃなくて、ファンのみんなにとっても。たくさんの人がライブを観に来てくれる中で、めちゃくちゃくだらないことをして笑い合ったり、ときには無茶な企画に挑戦して、罰ゲームを受けたり。すごくぜいたくな遊びをしてきた感覚があります。春斗くんに関しては最強の遊び道具。生きているおもちゃみたい。

TAKA 確かに春斗くんは最強のおもちゃだったね。

 もう春斗くんで遊べなくなるのはちょっと寂しいかも。

9太郎 「家族」とか「仲間」とか言わないで、最強の遊び相手って表現したの、天才じゃない?

TAKA そうやって自分で言うところが9太郎らしいよね。

春斗 最後までみんなのおもちゃ扱いだったなあ。

9太郎 でも春斗くんはメインボーカルでもあるし、その才能にみんな寄ってきたんだよ。「このおもちゃ面白そうだからみんなで遊ぼうぜ!」って。それで8年も遊べたんだからめっちゃよかったじゃん。楽しかったよ!