CUBERS×夏まゆみ|“レジェンド”の期待を背にメジャーシーンへ

5人で100点を取るな

綾介 夏先生はこれまでの振り付けの先生たちと違って、ちゃんと僕ら1人ひとりの性格や考え方にまで触れて、指導してくれるんですよ。

──皆さんそれぞれ夏さんに言われて印象的だった言葉はありますか?

綾介 僕はダンスが得意なんですけど、「ダンスで全部を見せようとしてる」と言われてハッとしました。踊れるからってダンサブルに見せることがすべてじゃなくて、表情を見せたり、歌と踊りを組み合わたりすることで表現をする必要があると教わりました。

春斗

春斗 「5人で100点を取ろうとするな」という言葉がすごく印象的でした。グループで活動していると「5人で100点を出せばみんな感動する」と思うようになるんですよね。でも夏先生は「1人が100点を取って、それが5人そろえば500点になる。そうなったら感動しない人はいないよ」と教えてくださって。そこから意識が変わりました。

TAKA 僕らはどこかで「5人グループだから」と考えて甘えていたというか、“5分の1としての認識”があったと思うんです。でも夏先生はその概念をぶち壊すようなアドバイスをくれて、それは今まで考えたこともなかったのですごく衝撃的でした。

 僕は「経験の枠の中でやろうとするな」ってことですね。インディーズの期間もそれなりに長かったし、歌もダンスも撮影も、もっと言えばライブも、一度やったことがあるからこそ挑戦する気持ちを忘れちゃってる部分があるんじゃないかと気付かされました。もちろんそういうつもりはないんですけど、どこかで気を抜いているんじゃないかと気付かされたひと言でした。

9太郎 僕は言われてうれしかったことが印象に残っていますね。僕がリハで踊ってるとき、夏先生が「9太郎はリハでもたくさんのお客さんを見て踊ってる」と言ってくれたのがめちゃくちゃうれしくて。こんなことを言ってもらったのが初めてだったから、家に帰ってから頭の中で何度も夏先生の言葉をリピートして、喜びを噛みしめてました。

CUBERS

 CUBERSに関してはね、まだまだ伝えたいことがたくさんあるんだけど、それを伝えきれていないんですよ。例えばこれまで手がけたユニットだとしたら、AKB48なら2年、モーニング娘。なら6年、吉本印天然素材なら8年ぐらいの期間をかけて関係を作り、環境を作り、グループとしての形を作ってきたんです。でもCUBERSとはまだ1曲だけのお付き合いで、本人たちと10日も会えていない。だから短期間にいろんなことを伝えなきゃいけなくて、もしかしたら本人たちは「もうお腹いっぱい」と思ってるかもしれない(笑)。

TAKA そんなことないです。

 彼らにも蓄積してきたものがあるから、それを大事にしたい気持ちもわかるんだけど、メジャーデビューをしてこれから大きくなっていくためには、ちょっと怖いけど一度自分たちの経験を壊さなきゃいけない瞬間があるんです。新たな自分にならなきゃいけないし、メジャーデビューで踏み出す一歩はすごく大きくなきゃいけない。だから、彼らが自分で作っちゃった殻を割ってあげたくて、ちょっと厳しいことも言っちゃったかもしれないけど、ちゃんと5人に伝わっているみたいで少し安心しました。

「つんく♂さん、気合い入ってるな」

──つんく♂さんが作詞作曲を手がけた「メジャーボーイ」に関する話も聞かせてください。まず、メンバーの皆さんが初めてこの曲を聴いたときの感想をお願いします。

綾介 僕らCUBERSは“聴けるボーイズユニット”というコンセプトでインディーズ時代に活動してきたので、ブラックミュージックを軸にいろんな楽曲に挑戦してきた自負はあるんですけど、つんく♂さんに書いていただいた「メジャーボーイ」は、僕らが今まで表現してきた“CUBERSらしさ”に“つんく♂さん節”を掛け合わせた、まったく新しい曲のように感じて。

TAKA 僕は歌詞に感動しました。僕らのメジャーデビューの背中を押してくれるような言葉がつづられていて。

春斗 「がんばれよ!」と言ってもらっている気がするんです。

末吉9太郎

9太郎 僕はずっとハロプロのグループを見続けてきて、つんく♂さんにずっと片思いをしてきたんです。だから僕たちのためにつんく♂さんが曲を書いてくれたんだってことがいまだに信じられなくて。だって、つんく♂さんの脳の中に末吉9太郎という存在が少なくとも一度は通過したってことですよね?

一同 (笑)。

9太郎 ホント、これは夏先生にも同じように感じていて、夏先生に「9太郎」って呼んでもらうたびに「これ、夢じゃないよね」と思ってるんですよ。

綾介 もしかしたら明日、夢から覚めちゃうかもしれないね。「めちゃくちゃ長い夢を見てた」みたいな。

9太郎 絶対覚めさせない。

一同 (笑)。

TAKA つんく♂さんに曲を書いてもらうことが発表されたのは昨年のクリスマスライブ中だったんですけど(参照:CUBERS、聖夜のライブでメンバーとファンに最大級のクリスマスプレゼント)、9太郎が感極まって変なステップを踏んでいたんですよね。「めちゃくちゃうれしいことがあったときって、人はこうなるんだ」と思った(笑)。

 走り回ってたよね。

TAKA 「プロだな」と思ったのは、喜んでステップを踏みながらもちゃんとマイクは口元にあって、顔は客席を向いていたこと。

9太郎 ちょっともうやめてよ! 恥ずかしい。

──これまで何度もつんく♂さんの曲で振り付けを担当している夏先生は「メジャーボーイ」という曲を聴いてどういう感想を持ちましたか?

CUBERSと夏まゆみ。

 正直に言うと「つんく♂さん、気合い入ってるな」と思いました。今までずっと彼の音楽を聴いてきたけど、「メジャーボーイ」は気合いが入った曲ですね。だから私も気合いが入っちゃって。ただ気を付けなきゃいけないのは、私は気合いが入ったときのほうが失敗しちゃうんです(笑)。ある程度はちゃんと冷静にならないといけないので、入れ込みすぎないように気を付けました。

綾介 夏先生は「メジャーボーイ」を聴いてどんなインスピレーションが湧いたんですか?

 最近はダンスがしっかり踊れるグループが増えて、個々人の技術力も上がっている中でCUBERSの魅力をどう見せるのがいいかというのをまず考えて。ガチガチに踊るというより、むしろ踊りすぎてしまわないほうがいいと思ったんです。クールさの中にコミカルさと、ちょっとヘンテコな要素を入れてバランスをうまく取りつつ、曲の魅力であるグルーヴは絶対に失わないようにするにはどうすればいいか、すごく考えました。

綾介

綾介 僕はCUBERSの曲で振り付けを考えることもあるので、夏先生に「振りを作るときにどういうことを意識されてますか?」と聞いてみたことがあるんです。先生は「振りはたくさん出てくる。出すぎて困っちゃうくらいだけど、それを削っていくのが大変なんだ」とおっしゃっていて。

 ちゃんと聞いてるんだね(笑)。

綾介 聞いてますよ! 振り付けを考えていると、どうしても手数を増やしたくなっちゃうんですよね。でもそれは練習すればうまく見えるダンスであって、本当に上手なダンスというのは手数が少なくても5人が息を合わせてそろえることなんだというのを教わりました。「メジャーボーイ」のような曲をうまく見せるほうが大変なんです。

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真顔の聖火ダンス