CUBERS×夏まゆみ|“レジェンド”の期待を背にメジャーシーンへ

CUBERSが5月8日にメジャーデビューシングル「メジャーボーイ」をリリースした。

「メジャーボーイ」は、作詞作曲をつんく♂が、振り付けはこれまでもつんく♂の楽曲を数多く手がけてきた夏まゆみが担当したナンバー。つんく♂が得意とするファンクチューンに「聖火ダンス」と題したシュールな振り付けやディスコステップなどを取り入れた独特なダンスが合わさった印象的な楽曲に仕上げられている。音楽ナタリーではCUBERSのメンバーと振り付けを担当した夏との対談を実施。数々のアーティストのチーム作りに貢献してきた夏の視点を交えつつ、CUBERSというグループのオリジナリティや新曲「メジャーボーイ」へのこだわりを紐解いていく。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 曽我美芽

CUBERSは“不思議メンバー”

──夏さんから見たCUBERSの第一印象はどういうものでしたか?

夏まゆみ CUBERSのことを見始めた頃に感じたのは「不思議な子たちだな」ってことなんです。熱いのかクールなのか、大人なのか子供なのか、必死なのか余裕なのか、それが第一印象ではつかめない。だから私は彼らのことを「不思議メンバー」と呼んでいます(笑)。

末吉9太郎 僕は夏先生のような“レジェンド”の方に振り付けを考えてもらえると聞いたとき嘘だと思ったんですよ。僕、小さい頃からハロプロが大好きで、テレビ越しに夏先生のことも観ていたので、まさか自分たちの振り付けを先生が考えてくれるだなんて、思ってもみなくて。練習中、夏先生に指導してもらってるときもなんだか画面越しに先生を見ているような気分になっちゃうんです。

TAKA まだ夏先生とお会いする前、9太郎が僕らに向かって「夏先生はめちゃくちゃ厳しいよ」って何度も釘を刺してくるんですよ。

綾介 春斗くんなんて怖じ気づいちゃって、初めてお会いする前から謝る練習をしてたんですよ(笑)。

春斗 正直、マジで怖いと思ってたので、すぐに謝れるようにしておきました。

 最初に夏先生にお会いしたとき、僕ら一切私語をしませんでしたね。めちゃくちゃ緊張してたので。

左からCUBERS、夏まゆみ。

──CUBERSと夏さんが距離を縮めるきっかけになった出来事は何かありますか?

綾介 レッスン中、夏先生がけっこう気さくにギャグを言ってくださるんですよ。最初は僕らも戸惑いがあって、「これ、笑っていいやつなのか」と思っていたんですけど、どうやらギャグを織り交ぜてくるのが夏先生なりのメソッドのようで。

 5人は“怖い夏先生”のイメージでレッスンを受けているから、「先生の言ったことはちゃんと聞かなくちゃ」という真面目な姿勢で取り組んでくれていたんです。でも、ダンスはそれぞれが自分を表現するものだから、もっと自由でよくて、私が考えた振りを彼らがどう進化させていくかということが大事なんです。それと私の指導論で、「キツいことを言ったあとにはスベってもいいから冗談を言え」というものがあるんですよ。だから場の空気感をほぐそうと思ってたんですけど、私のギャグが面白くないみたいで。

CUBERS一同 いやいやいや(笑)。

春斗 すごい不意打ちでギャグが飛んでくるんですよ。

TAKA 真面目な指摘のあとに、急にギャグが入るので僕らも切り替えられなくて(笑)。

夏まゆみ

 でもね、昨日はとてもよかったです。昨日は彼らと一緒にリハをやる日だったんですけど、私がいつもより早く現場に着いちゃって。30分前くらいに現場入りしたら、まだ5人ともスイッチが入っていない状態だったんです。いつもだったらみんなスイッチを入れて「夏先生、おはようございます!」みたいにピシッと挨拶をするんだけど、皆さんストレッチをしたり、何か食べたりしている最中で。

 昨日の先生の現場入りは完全に不意打ちでした。

春斗 うん。僕らがまだ完全にダラっとしてるところを夏先生に見られてしまいました。

──そういうダラっとした一面を見られたことがよかったんですよね?

 そうですね。アーティストとしてどんなときでもスイッチを切り替えられないといけないと思っていて。それは私の前でも同じ。常に取り繕っていたら疲れちゃうし、すべてをさらけ出した状態で評価をしてもらうことを恐れてはいけないから。もちろん、お客さんの前でオフの姿を見せるべきかどうかは考えなくてはいけないけど、常にオンオフを切り替えられることっていうのはすごく大事なことなんです。

「CUBERSがむっちゃ売れますように」

TAKA それと1つ大きな出来事として、「メジャーボーイ」のミュージックビデオ撮影の日が夏先生の誕生日だったんですよ。大切な1日を僕らの撮影のために費やしていただいて。

 誕生日の日にMV撮影なんて、モーニング娘。以来のことじゃないかな。

9太郎 え、それってすごいことですよね?

 これは9太郎が呼んだのかもしれないね。

──誕生日なわけですから、CUBERSから何かプレゼントは……?

TAKA もちろん用意しました。

春斗 サプライズケーキです。

綾介 ただ夏先生が気さくに僕らに話しかけてくださるので、なかなかケーキを用意する時間が取れなくて(笑)。で、撮影の合間に僕ら5人だけの時間が作れたので急いでケーキを用意してたら、すぐに夏先生が僕らに話しかけにきて……。

TAKA もう少し時間があればろうそくに火が点けられるタイミングだったんですけど、「こうなったらもう渡すしかない!」ということになり、ケーキを持っていったんです。

CUBERS

 夏先生の前まで持っていってから、火を点け初めて、なんとかみんなの拍手で場をつなぎました(笑)。

 うれしかったですね。

TAKA 忘れられないのが、夏先生がケーキの火を消す瞬間に「CUBERSがむっちゃ売れますように」と言ってくださったことですね。すごくうれしくて、「僕ら絶対売れてやる」って思いました。

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