音楽ナタリー PowerPush -Crossfaith
メジャー1stシングルでさらなる高みへ
日本人というより単純に1バンドとして観てもらえた
──昨年9月には3rdアルバム「APOCALYZE」が、日本だけでなく海外でもほぼ同時期にリリースされました。この作品はビート感1つ取っても、初期の頃にあった前のめりの疾走チューンよりもずっしりと重いミディアムテンポの楽曲が中心になっていて、さらなる変化が感じられます。
Tatsuya Amano(Dr) そのへんはやっぱり海外ツアーからの影響が大きいですね。17連チャンのUKツアーの頃はまだ小箱でのライブだったんですけど、海外ツアーを重ねるごとにより大きなステージに立つ機会も多くなっていって。「APOCALYZE」を制作しているときもオーストラリアの「Soundwave Festival 2013」でメインステージに立って、今まで体験したことないような大きいステージでライブをしたんです。
Koie 同じステージに出てたのがStone Sourとかメジャーアーティストばかりで。
Teru しかも俺らの次がAnthrax(笑)。
Hiroki Ikegawa(B) 「どういうこと?」って感じやったな(笑)。
Tatsuya ライブハウスで通用していた速いビートの曲を数万人規模のフェスでやっても、結果として何やってるかわからない、ノるにノれないみたいなことがあったんです。
Teru そこからビートやテンポをより大きく壮大なものにしようと、制作中に相談しました。
──そうだったんですね。その「Soundwave Festival 2013」もそうですし、今年6月の「Download Festival 2014」もそうなんですけど、写真や映像を観て改めてCrossfaithがここまで海外のロックファンに受け入れられているという現実に驚かされます。痛快さすら感じますよ。(参照:Crossfaith、夢の「Download Fes」好演に2万人熱狂)
Teru 俺らも初めて海外でライブするまでは人種の壁とかいろいろ不安に思うこともあったんですけど、実際ライブをやってみたら全部吹き飛びましたね。ステージに立てばどこでもやることは一緒だし。そりゃオーディエンスの熱量は国によって違いますし生活や社会環境も違いますけど、どこに行っても俺らのことを日本人というより単純に1バンドとして観てもらえてることが最高にうれしいです。
Koie それにいろんなバンドと一緒に海外を回ってると、対バンをすげえなと思うと同時に、食うか食われるかということも常に意識していて。
Hiro 1ファンとして、ただ「すげえなあ」で終わらないようにね(笑)。
Koie そういう「すげえなあ」って感覚を、自分たちもライブで体現したい。とにかく誰にも負けずにぶちかましたいって気持ちが常にあったから、ここまで来れたんだと思います。
Kazuki まだまだ守りに入らず、攻めていきたいですね。
「BECK」より俺らのほうがオモロイんちゃうんか
──Crossfaithが誕生した2000年代半ばから、ここ日本でもラウドロックシーンが活性化してきて、Crossfaith以外にもcoldrainやFACTなども海外進出を果たしています。そんな中でCrossfaithはなぜここまで海外で受け入れられたんでしょう?
Koie イギリスだけで言ったら、この2年間で8回行っていて。実は日本では8回もツアーしてないんです(笑)。1回目のUKツアーはアメリカのOf Mice And Menと一緒に回ったんですけど、そのときは一番大きな会場でもキャパ400人くらいの、いわゆるどさ回りツアーで。だけどちゃんと1回1回のライブで成果を残してきたから、それを積み重ねることでどんどんキャパも大きくなっていって、この11月にはイギリスでヘッドライナーツアーもできるようになったんです。どこかで失敗したとしても、そこで止めずに地道に続けてきた結果なんじゃないかなと。例えば去年出演した「Reading / Leeds Festival 2013」のステージは3000キャパくらいで、それまでイギリスでやったライブの中では最大キャパだったんですよ。俺らの裏ではビッグネームがライブをしていたのに、わざわざ俺たちを選んだお客さんがパンパンになるくらい集まって、客席からはCrossfaithコールまで聞こえてきて。感動したというか、ここまで来たかというのは実感しましたね。
──実はCrossfaithの記事がナタリーに初めて掲載されたのは2009年12月で、Machine Headとのパッケージツアー「The Black Procession」開催を告げるものでした(参照:ラウド系強力パッケージツアーにCrossfaith参加)。そこから時系列に沿ってこの5年分のニュースを読んでいくと、そのサクセスストーリーぶりに改めて驚かされます。
Teru 俺、マンガの「BECK」が好きなんですけど、俺らのストーリーのほうがオモロイんちゃうんかと思うんですよね(笑)。「Naverまとめ」でもCrossfaithのことをまとめてくれてましたけど、こういうのを読むと改めてそう思います。(参照:日本のメタルコアバンドCrossfaithの勢いが凄すぎる - NAVER まとめ)
Hiro 現場にいるよりも客観的に見たときのほうが、「おお、けっこうヤバい感じで来てるんだな?」って感じるよな?(笑)
Teru なんか台風の目の中にいるような感じで、なかなか気付かないことも多くて。今も止まることなく世界中を駆け巡ってるんで、客観的に自分を見るっていうことがあんまりないんですよ。
Koie 海外での活動については、次のフェーズに入ってるというか。今年は「Reading / Leeds Festival 2014」のメインステージにも出られたし、11月には初のUKヘッドライナーツアーも控えてる。俺たちが日本で主導していたような形で、今度は海外でも活動することができるわけです。そういうところでも考え方も変わってくるんだろうなと思います。
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- 1stシングル「MADNESS」/ 2014年10月8日発売 / Sony Music Labels
- 「MADNESS」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / BVC7-2~3
- 通常盤 [CD] 1080円 / BVC7-4
CD収録曲
- Madness
- Dance With The Enemy
- S.O.S
初回限定盤DVD収録内容
- 「DOWNLOAD FESTIVAL 2014」ライブ映像
Crossfaith(クロスフェイス)
2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Program, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。メタルコアやスクリーモを軸に、ストリングスやエレクトロニカを随所に織り交ぜドラマチックに展開する唯一無二のバンドサウンドで、その地位を確立していく。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が、国内メタルコア / スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。同年10月には「LOUD PARK 09」に出演し、圧巻のライブパフォーマンスで多くのオーディエンスを魅了した。その後、ヨーロッパやアメリカでのCDリリース、精力的な海外ツアーを展開。「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアから絶賛される。2014年10月、キャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。10月末からはバンド初の欧州ヘッドライナーツアーも控えている。