ナタリー PowerPush - Cornelius
次作につながるマストアイテム 最新リミックス集「CM4」/span>
待ちに待ったCorneliusからの新アイテムが到着した。過去にCorneliusが手がけたリミックスワークを集めた「CM」シリーズも今回で4作目。今回はいわゆる既存曲のリミックスだけでなく、他アーティストといちから作り上げたコラボレーション作品も収められており、これと、昨年発表されたsalyu × salyuの「s(o)un(d)beams」を聴けば、「SENSUOUS」(2006年発売)以降のCorneliusの音楽がほぼ一望できると言えるだろう。
昨年秋には事務所兼プライベートスタジオを、長年使い続けた東京・中目黒から、同じ都内某所の住宅街に移転し、心機一転。「CM4」は中目黒時代の集大成のような趣もある。インタビューはまだ引っ越しの梱包も解かれていない新事務所で行われた。
取材・文 / 小野島大 撮影 / 佐藤類
これが中目黒時代の最後の音源
──移転して、スタジオの雰囲気もずいぶん変わりましたね。
ちょっと狭くなったんだけど、引っ越しが決まって荷物を整理してたら、前のスタジオにあったものはほとんどが無用のゴミだったことが判明して(笑)。12年ぐらいいたのかな……自然にたまってきちゃうんだよね。
──新しい環境はいかがですか。
カルチャー的なものは全然ないよね。本当にただの住宅地だから。TSUTAYAぐらいしかない(笑)。面白いとか刺激があるって街じゃないけど、自宅から近いし、落ち着けるよね。
──新しいスタジオは機材もぐっと少なくなってすごくシンプルになりましたね。音も変わりました?
機材、以前は一杯あったけど、実際はほとんど使ってなかったんだよね。だから今はこれで十分。音は変わったね。前はコンクリートのビルだったけど今度のは木造の普通の家だから。かなり音が響くんだよね。それで今調節してるところ。壁を埋めたり吸音材置いたりして。だいぶ慣れたけど。
──ラインを通して録る楽器はあまり関係ないかもしれないけど、マイクを立てて録る生楽器は相当影響ありそうですね。
そうだね。だから生楽器はほとんどここでは録ってない。ギターと歌を少し録るぐらい。ドラムとかはここでは無理だね。ドラムなしのリハとかはここでやってるけど。
──スタジオが変わると、作る音楽も変わりますか。
うん、環境が変わったからね。なんらかの影響はあると思う。でも……まあたいして変わらないすよ(笑)。
──ははは(笑)。まあそれがはっきりと形になってくるのはこれからでしょうね。今回の「CM4」は全て中目黒での録音ということになるんでしょうか。
そうだね。この中で一番新しいのは野宮(真貴)さんのだけど、これが中目黒時代の最後の音源なのかな。
──中目黒のスタジオは一言で言えばどういうスタジオだったんですか。
スタジオっていうよりはただの部屋だからね。ちゃんと防音してる部屋ではないから、普通のスタジオに比べるとライブ(な鳴り)だと思う。
──そういうスタジオだと、バンドで大音量でガツンと鳴らすことは不可能ですよね。そういうのって自分の作る音楽に関係してきますか。
すごい関係してる。スタジオの特性で自分の音楽性が決まってきたところはあると思う。
──使っているスタジオがガンガン音を出せるようなところだったら、Corneliusの音楽は全然違うものになっていた可能性もある。
全然あると思いますよ。想像もつかないけど。
ニューアルバム「CM4」 / 2012年9月5日発売 / 2520円 / Warner Music Japan / WPCL-11113
CD収録曲(アーティスト / 曲名)
- 布袋寅泰 / Battle Without Honor Or Humanity
- YOKO ONO PLASTIC ONO BAND / The Sun Is Down!
- MGMT / Brian Eno
- 相対性理論 / QKMAC
- LALI PUNA / Hostile To Me
- BEASTIE BOYS / Make Some Noise
- マイア・ヒラサワ / It Doesn't Stop
- アート・リンゼイ / The Rare
- IF BY YES / Still Breathing
- 野宮真貴 / マジック・カーペット・ライド
- 三波春夫 / 赤とんぼ
Cornelius(こーねりあす)
小山田圭吾によるソロユニット。1991年のFlipper's Guitar解散後、1993年からCornelius名義で音楽活動を開始する。アルバム「THE FIRST QUESTION AWARD」「69/96」は大ヒットを記録し、当時の渋谷系ムーブメントをリードする存在に。1997年の3rdアルバム「FANTASMA」、続く4thアルバム「POINT」は世界21カ国でリリースされ、バンド「The Cornelius Group」を率いてワールドツアーを行うなどグローバルな活動を展開。2006年のアルバム「SENSUOUS」発売に伴う映像作品集「Sensurround + B-sides」は米国「第51回グラミー賞」最優秀サラウンド・サウンド・アルバム賞にノミネートされた。現在、自身の活動以外にも国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広いフィールドで活動を続けている。