ナタリー PowerPush - カラーボトル
新章突入への意思表明アルバム「生きる」
ギターソロじゃなくて、応援ソロ
──バラエティ豊かな今作の中でも、日本唯一のプロ応援団・我武者羅應援團とのコラボソング「ファイター」は強烈でした。
竹森 彼らとの出会いは、「僕らの仕事は応援団。」という本をマネージャーさんが教えてくれて読んだのがきっかけ。どのページも本当にまっすぐ語りかけてて、僕、ものすごく感動して涙が出てきたんです。で、表現方法や手段は違うけど、我武者羅應援團の根本にあるものはカラーボトルのそれと同じ、もしくは近いものなんじゃないかと思って、一度お話がしたいと連絡をさせていただいたんです。
──初対面の印象はいかがでしたか? 我武者羅應援團のホームページを見ると、学ランにオールバックで、ものすごい迫力ある方々なのかなって。
渡辺 本当にすごく礼儀正しくて優しくて。僕らも「押忍!」とか言うのかなって思ってたんですけど(笑)、とにかくおだやかな方々でした。
──そうなんですね。で、初対面の後はどのような流れでコラボの話に?
竹森 まず自分たちのバンドの紹介をして、その後すぐ、アキラが持ってきたメロディとそこに歌詞を乗せたラフのデモを聴いてもらって「これで何か共作できませんかね?」って(笑)。
──えらい単刀直入ですね。
竹森 はい(笑)。「どういう完成形になるかわかんないけど、熱くて何が悪いんだ!? っていう熱量のものを一緒に作りたいんです!」って感じでオファーさせてもらったら、快諾していただけて。そこからは、ラフで上がってた「ファイター」の歌詞を渡して、冒頭とギターソロを入れようとしてた部分に「応援ソロを考えてください」ってお願いして。何パターンか考えてくれたんですけど、聴いたときから鳥肌が立って、「これはヤバいのができるぞ」って確信しました。
──レコーディングは、いかがでしたか?
竹森 気迫がすごかったです。その日はレコーディングだけなのにちゃんと学ランで来てくれたんですよ。
大川“Z”純司(Dr) しかもいつも皆さんがやってる準備体操から始めるんです。
竹森 「目ん玉ひんむいて」っていう言葉はこの人たちのためにある言葉だなっていうか、常に人間全部をさらけ出して取り組んでくださったなっていう気がしてます。レコーディング後も僕らやスタッフさん1人ひとりに「そんなあなたを応援する!」とか、顔を真っ赤にして本物の情熱を注いでくれて。僕、それもすごく感動したんです。照れる気持ちもなくなっちゃって、「俺、本気でがんばるわー」みたいな(笑)。日本一情熱的なバンドだと思ってたけど本気具合がまだまだ足りない、ロックをもっとがんばらないと応援に負けてるぞって、すごい刺激を受けました。ロックと応援が肩組んでできたっていうのは大きな財産になったし、ここまで振り切って挑戦して本当に良かったなって思います。
カラーボトルは生命力を届けたいんだなって
──バンド初のカバーに挑戦した「太陽」についても聞きたいのですが、オリジナルは橘いずみさんの楽曲ですよね。
竹森 はい。この曲は路上時代の友達が歌ってたのを聴いて「この歌詞すげーな。誰の曲?」って気になったのが出会いなんですけど、その後、自分も路上で歌うようになって。コピーというか、ただ歌ってたくらいのものだったんですけど、今回のアルバムの挑戦のひとつとして初のカバーをやってみない?って話が出たときに「それだったらあの曲やりたい」っていうことで。初めて聴いたときの、言葉が刺さってくる感じ、胸を思い切り殴られた感じ、鳥肌が立った感じ……それら全部が1曲に詰まったような「太陽」の言葉の強さというものを今のカラーボトルで表現してみたいなと思ったんです。19年前の楽曲だけど19年経ってなお言葉の鮮度が増しているというか、逆に「当時は早すぎたんじゃない?」っていうくらい、今の時代にピッタリな気が僕はしていて。いじめや不登校、引きこもりとか、そういう問題が山積みな現代に、その当事者たちがラジオからふとこの曲を聴いたら刺さるんじゃないかなって。
──なるほど。でも、カバーだからこそアレンジ面など難しい部分も多かったのでは?
渡辺 そうですね。カバーではもちろんあるんですけど、ちゃんと自分たちの作品として出したいっていう気持ちも強かったので。だから音作りをするとき、僕は今までリリースしてきた作品を改めて聴き直したんです。どういうサウンド感で作ってきたのかを再確認しつつ、この「太陽」もちゃんとカラーボトルの作品のひとつとして入れたいと思ったので。カバーしてみましたって感じゃなく、ちゃんとそこにカラーボトル感が欲しかったんですよね。
大川 僕の場合は高校を出てすぐオリジナルをやるバンドに入ったので、元々コピーもそんなにしたことがなかったんです。だから今回のカバー自体が大きな挑戦だったし、「太陽」は展開ごとの色付けがものすごく細かく繊細で、すごく難しかったんです。今までのストレートなやり方だと通用しないというか、曲が進むにつれて微妙な色合いがどんどん変わっていくので、それを会得するのにすごく苦労しました。でも自分たちの曲だけやってたらそれは絶対気付けなかったことだし、すごくいい勉強になりましたね。
──この歌詞は、冒頭の「どうかあなた死なないで 何でもいいから生きていて」からずっと耳を捉えて離さない言葉が並んでいますよね。アルバム資料のセルフライナーノーツにも「『生きる』のテーマに一番濃く深い真髄の曲」と書かれています。
竹森 今回集まった12曲を並べて、タイトルを何にしようかってなったときに僕が「生きる」というキーワードを見つけたんですよね。これは「太陽」の頭の歌詞にもつながってるし、他の曲たちもどこかで「生きる」ことを歌ってるなって。カラーボトルが2004年に結成して最初のライブから歌い続けている「あぜ道」も「生き抜きたい」っていう言葉で終わってるんですが、カラーボトルはこれまで紆余曲折ありながらも、今こそやっぱり「生命力を届けたいんだな」っていうのを自分たちでも再確認して。だからこの「太陽」も、今回ぜひやりたいって思えたんだと思います。
収録曲
- ロックンロールドッグ
- ファイター / カラーボトルと我武者羅應援團
- 太陽
- やぁ、野良犬。
- 魂ドライブ
- 希望のバトン
- 幻
- アーミ・アミーコ!アーミ・アムージ!
- モンスター / カラーボトルと鶴
- 棘
- 地元賛歌
- あぜ道
ワンマンライブツアー「COLOR BOTTLE IS HERE!!2013~自分全開!人間全開!生きる!生きる!生きろ!~」
- 2013年3月1日(金)
宮城県 仙台CLUB JUNK BOX - 2013年3月3日(日)
大阪府 梅田Shangri-La - 2013年3月10日(日)
福岡県 福岡DRUM Be-1 - 2013年3月16日(土)
北海道 札幌COLONY - 2013年3月20日(水・祝)
愛知県 名古屋APOLLO THEATER - 2013年4月21日(日)
東京都 赤坂BLITZ
カラーボトル
竹森マサユキ(Vo, G)、渡辺アキラ(G)、大川“Z”純司(Dr)の3名からなるロックバンド。2004年1月、仙台にて結成。同年12月にバンドオーディション全国大会に北海道・東北代表として出場し、準グランプリを獲得する。2007年6月に「彩色メモリー」でメジャーデビュー。2011年2月、自らのレーベル「SUPER SOUL COMPANY」を発足し、ミニアルバム「情熱のうた」をリリース。表題曲である「情熱のうた」はプロバスケットボールのbjリーグ復興支援ゲームのテーマソングに、同アルバムの収録曲「走る人」は味の素のCMソングに起用された。2012年2月にはアルバム「COLOR BOTTLE」を発表し、2013年1月にはアルバム「生きる」をリリース。竹森の絞り出すような歌声が、多くのロックファンの支持を受けている。