ころん|すとぷりのパリピ担当、初のソロアルバムに詰め込んだ自分のすべて

憧れの方の本拠地にお邪魔

──アルバムにはみきとP、蝶々P、ピノキオピーなどそうそうたる面々による書き下ろし曲が収録されています。作家さんの人選はどのように?

僕が大好きなボカロPさんたちに曲を書いていただきました。中学校の頃から聴いていたボカロPさんばかりなので、「どうせオリジナル曲を歌うなら憧れの方々に書いていただきたい!」と思い、僭越ながらオファーさせてもらいました。どの曲も本当に特別感があって、大好きな曲ばかりです。

──ピノキオピーさん提供の「404」は先日YouTubeでMVが公開されましたが、この曲はピノキオピーさんらしさがありながら、どこかころんさんらしくもあるというか……。

不思議な曲ですよね(笑)。YouTubeのコメント欄を見ると、リスナーのみんなが曲について考察してくれているんですけど、僕もこの曲を歌うときはいろいろと考えました。僕の気持ちを汲み取っていただいた部分もあるんですが、曲の根底にはピノキオピーさんの伝えたい思いがあるような気がしたんです。だから僕はピノキオピーさんの思いを代表して伝えるような気持ちで歌いました。あと、ピノキオピーさんが本当にすごくいい方で、Twitterで何度も引用RTしていただいたりして。一緒に飲みに行ってみたいです!

──そのほか、みきとP提供の「だいよげん」と蝶々Pの「Monopolize」はアルバムリリースがアナウンスされる前に動画が公開されていた曲ですね。

みきとPさんは僕が大好きなボカロPさんなので、オリジナル曲を歌い始めてすぐオファーをして「だいよげん」を書いていただきました。実は、レコーディングはみきとPさんのほうで準備してくださったスタジオでやらせていただいて、めちゃくちゃ緊張したんですよ。憧れの方の本拠地にお邪魔するみたいで……。

──レコーディングはうまくいきました?

ガチガチに緊張していたんですが、一生懸命歌ったら、みきとPさんに「ころんくんっぽい感じの曲になってよかったよ!」と言っていただけて、すごくうれしかったです。

──蝶々P提供の「Monopolize」についてはいかがですか?

僕は「心做し」という蝶々Pさんの曲が大好きで。僕の好きな蝶々Pさんの要素を「Monopolize」にしっかり入れていただいた実感があります。「ころんくんといえば『Monopolize』だよね」と言ってもらえることがあるくらい、僕にとって大事な1曲なので、この曲を歌うことができて本当によかったと思います。

「この曲はうまさじゃない!」

──アルバムにはファンの間で“さところ”コンビとして親しまれているさとみさんとのコラボ曲が収録されています。お二人のコラボ曲はわちゃわちゃしたパーティ感のあるイメージが強かったんですが、今回の「恋はJust In Me」は大人びた感じの落ち着いた曲調で驚きました。

僕らのカッコいい部分が出ちゃったのかなー!(笑) 僕とさとみくんは一番の友達でありつつお互いを少しライバル視していて、でもどこか兄弟的な仲のよさもある、すごく不思議な関係なんですよね。特に「恋はJust In Me」には、僕とさとみくんだからこそのコンビ感がにじみ出ていると思います。さとみくんは個人LINEで「この曲、めっちゃいい曲」って何度も送ってきたんですよ(笑)。もしかしたら僕よりさとみくんのほうが「恋はJust In Me」を気に入っているかもしれない。

──うらやましがられるくらいの曲に仕上がったわけですね。

「自分のアルバムにも入れたい」と言うくらいのテンションだったので、「これは僕の曲だ!」と返しておきました(笑)。

──コラボとはちょっと違いますが「パンピじゃないのよッ!!」は、すとぷり名義の新曲として収録されています。

僕はすとぷりの中で“パリピ担当”なんですが、「パンピじゃないのよッ!!」はパリピ感満載の曲なので、メンバー全員を僕の色に染めてやろうと思って。たまたま莉犬くんとレコーディングのタイミングが一緒だったんですけど、莉犬くんがこの曲をちょっとエモめに歌い上げていたんですよ。それを見て僕はね、言ってやったんです。「この曲はうまさじゃないから!」って。「パンピじゃないのよッ!!」という曲は完全に楽しさを届けるための曲だから、うまく歌うよりもテンションを高く、ノリノリで歌ってほしくて、まずは僕自身がノリにノって歌わせてもらいました。

──ころんさんの楽曲の世界にメンバー全員を巻き込んで新曲を完成させたわけですね。

歌う前は「僕が引っ張ってやるぜ!」という気持ちだったんですが、みんながノリノリで歌ってくれたから、僕がそう張り切る必要もないくらいで(笑)。みんなのおかげで大満足の1曲に仕上がりました。

──先ほど“パリピ担当”ということをおっしゃっていましたが、すとぷりというグループの中でのころんさんのボーカルと、ソロアルバムでのころんさんのボーカルにはかなり違いがあるように感じました。ソロアルバムだからこそ意識した部分はありますか?

そうですね。すとぷりの中にいると「この5人がいるなら僕はこうしたほうがいいだろうな」と思って行動している部分はあると思います。ソロアルバムを作るにあたっては、いろんな曲を歌いたかったので、その曲ごとにどういう自分が歌ったらリスナーさんが喜んでくれるかな、ということを第一に考えていました。レコーディングが始まる前はエゴサしてリスナーさんの反応を見て、なるべくみんなが求めているものを歌で表現できるよう心がけました。

──活動の原動力にはリスナーの存在が欠かせないわけですね。

リスナーさんがいなかったらこのアルバムも出していないと思います。「みんながこう言ってくれるからがんばろう」みたいな気持ちが強いんですよね。本当にリスナーさんありきの作品だと思います。

泣いちゃうかもしれない

──いろいろと活動に関することを伺いましたが、表現方法の1つにはライブもありますよね。配信という形で表現することの多いころんさんにとって、ステージで歌うことにはどんな意味がありますか?

動画ばっかり投稿しているから意外に思われるかもしれませんが、ライブは僕にとって生き甲斐みたいなものなんですよ。昔から人前に立ちたい性格で、あまり言ったことはなかったですが、実は小中学生の頃はいつも学校から帰ってきたら家でいろいろなアーティストさんのライブ映像を観ていたくらい、ライブという華々しいステージにずっと憧れていたんです。「いつかこういうステージで歌ってみたいな」と昔からずっと思っていて。だからなーくん(ななもり。)から「ライブもやってみない?」と言われたときは、自分がずっと憧れていた人たちに近付けるかもしれないと思って、すごくうれしかったです。

──最初にステージに立ったときのことを覚えていますか?

想像通り、めちゃくちゃ楽しかったですね。ライブはリスナーさんに直接思いを伝えられる場だから、僕にとってご褒美みたいなものです。普段、インターネットを通してやりとりしていると、モニタの向こう側の表情を見ることができないので気持ちを伝えるのが難しいと感じることもあるんですよ。でもライブだと相手の顔を見て「ありがとう」と伝えられるわけですから、よりいっそう自分の気持ちをぶつけることができるんです。僕の中でライブは絶対に欠かせない活動ですね。

──2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、インターネット上の活動が改めて注目された1年だったと思います。もともと動画投稿や配信という形で活動していたころんさんにとって、2020年はどんな1年でしたか?

僕自身の活動にそこまで大きな変化はなかったんですが、やっぱりみんな家から出られない状況だったからか、YouTubeを観始めた方がすごく増えたなと感じました。そういう状況の中、僕は今までと変わらず、観てくれる方が楽しんでくれるものを届けようと意識して動画作りに専念しました。僕らもライブが中止になったり、いろんなことがあった1年でしたが、2021年も変わらず楽しいことを届けるために動画を投稿し続けられたらいいな。

──YouTubeの投稿欄を確認すると、2019年よりも2020年のほうが動画の投稿数が多いうえに、ソロアルバムまで作っていたわけですよね。ある意味、去年は充実した1年だったんじゃないですか?

そうですね。でもソロアルバムを作っているときは本当に大変で、マネージャーさんには「僕はもう逃げます!」って駄々こねていたくらいで(笑)。苦労した分、いい作品が完成したので、みんなのもとにアルバムが届くのが楽しみです。

──改めて、初のソロアルバム「アスター」はころんさんにとってどんな作品になりましたか?

ずっと好きだった歌という形で、僕の今までの歴史を詰め込むことができたと思います。ただ歌を録っただけじゃなくて、楽しいことも悔しいことも、ゲーム実況しているときに思ったことも、すとぷりのみんなでいるときのことも、みんなアルバムに詰め込んでやろうと思ってレコーディングして。実はアルバムの制作が終わったときに、達成感で泣きそうになったんですよ。ソロアルバムがリリースされることを発表したときも泣きそうだったし、僕は泣き虫なんですよね(笑)。だから、アルバムがリスナーさんのもとに届いて、その反応を送ってもらったら泣いちゃうかもしれない。とにかく、早くみんなに聴いてもらいたいです。