ナタリー PowerPush - ココロオークション

「聴き手の心の価値を高める音楽」を求めて

ココロオークション=聴いてる人の心の価値を高める

──ところでココロオークションというバンド名はすごく個性的ですよね。これはどういう意味が込められているんですか?

大野裕司(B)

粟子 最初のバンド名候補はなんやったっけ。「ロックンロールおしゃべり」みたいな(笑)。

大野 実は真面目にバンド名を決めるっていうのが、なんか恥ずかしかったんですよ。

粟子 そうやな(笑)。

大野 まあわからないなりにも一度付けた名前はずっと残るわけだからちゃんと考えようって、あと回しにしてて。最初のライブが決まってからもうええかげん決めなあかんなってことで、みんなでアイデアを出し合ったんです。

粟子 紙に書いて出し合ったな。

大野 で、粟子くんがココロオークションって名前を出したんです。最初はほんまリズムというかイントネーションのよさで決めたから、特に意味はなくて。

粟子 なんか残るっていうか。オークションっていう単語がバンド名に使われてそうで使われてへんなって思ったんです。

大野 で、オークションっていう単語の意味を調べたら、「競り」という意味のほかに「価値を高める」というのもあって。そこから「僕たちの音楽を聴いてる人の心の価値を高める」っていう意味をあと付けで込めたんです。まあ順序は逆かもしれないですけど、でもいい名前ができたなと思いましたね。

コンテストでの優勝が自信に

──ココロオークションを始めるとき、こういう音楽性でやりたいというのは事前に話し合いましたか?

大野 いや、そういう話はたぶんしてないですね。

粟子 してへんなあ。

大野 とにかくオリジナル曲がやりたかった、みたいな。

粟子 チキンジョージに出るために、まず5曲作らなアカンみたいな(笑)。

──いきなり5曲ですか(笑)。今のスタイルがなんとなく見えてきたのはいつ頃だったか覚えてますか?

粟子真行(Vo, G)

粟子 2011年かな、変わってきたのが。僕ら大阪に住んでいたのに、最初はなぜか神戸のチキンジョージでしかライブしてなくて。初めて大阪のライブハウスknaveを紹介してもらって出たのが、2011年1月。で、そのときに今のマネージャーにも出会って、以降イベント出演がどんどん増えていったんです。その年の終わりに「eo Music Try 2011」っていう関西で一番大きいコンテストに出て、KANA-BOONとかも出てたんですけど、僕らがグランプリをいただいて。それがかなり自信になったし、じゃあこの感じでいこうかというきっかけになったんです。

──なるほど。そして2012年3月には1stアルバム「TICKET」が発売されて。

大野 CDができたことによって「僕らはこういうバンドです」って、ライブを観たことない人にもアピールできるようになったのが大きくて。それにCDを作ったことで初めてツアーにも出られたし、交友関係も広がったし。

──大阪や神戸でしかライブをしたことがなかったバンドが急にツアーで外に出ていったわけですね。それはかなり大きな刺激になったんじゃないですか?

粟子 刺激というより、対バン相手のライブを観て「ああ、僕らまだまだやったんやな」ってすごい思い知らされて。それまでのライブって、どこかサークルの延長で発表会みたいな感じだったんですけど、それじゃダメやなあと実感しました。

──そこをどう乗り越えましたか?

粟子 やっぱり各地で出会ったカッコいいと思うバンドのいいところをどんどん自分たちなりにアレンジして、ライブで試してハマらなかったらやめて。そういうことを何度も何度も繰り返して、自分たちに合う要素だけを残していったんです。

「七色のダイス」の意味

──いよいよ今回、初の全国流通盤となるミニアルバム「七色のダイス」が発売されます。

粟子 今までアルバム2枚とシングル1枚を出していて、最初はただ好きなことだけをやってたんですけど、いろんなことがわかってきました。売れるためじゃないですけど、例えばメジャーシーンで活躍してる人たちと僕らとの違いを研究して考えたり。そのメジャー感みたいなものを意識して作ったのが今回のアルバムです。

大野 うん。特に全国流通ってことで、今までの作品を作ったときよりもその意識は高かったと思います。

粟子 たくさんの人に届くように、いろんなタイプの曲を用意して。過去に発表した曲から厳選したものも入れたし、いわばインディーズでのベスト的な要素も強いですね。このアルバムで勝負するぜっていう気合いも入ってますし。

──じゃあこのアルバム収録曲は皆さんが自信を持って選んだものなんですね?

大野裕司(B)

大野 そうです。過去の作品から選んだ曲に関してはすぐ決まったかな。例えば1曲目には絶対に「ナゾノクサ」を入れたかったし、最後は「蝉時雨」で終わりたかったし。特に「蝉時雨」は再録音したくらい力を入れてます。

粟子 でも今回初収録になる新曲はどれを入れるかですごく悩んだよね。新しいことに挑戦したいっていうキーワードが僕らの中であって、背伸びじゃないですけど成長するのを見越してやってみた難しめの曲も入れたかったし。そこを踏まえて、最終的にはアルバムとして全体のバランスを考えながら選びました。

──「七色のダイス」というタイトルも個性的ですね。サイコロ(=ダイス)は6面なのに、なんで7色なんだろうって。

粟子 そうですよね(笑)。まさにそう感じてほしくて付けたタイトルで、これも響きから考えたんです。ダイスって転がすたびに出る面が違うじゃないですか。僕らの音楽も聴くときの気持ちによって全然聞こえ方が違うと思うんです。それと「七色」は虹にちなんでいて、7曲を虹に例えて、曲ごとにいろんな感情が湧いてくる、そういった意味を感じ取ってもらえたらと思ってこのタイトルにしました。

──虹は見る角度によって見え方が違うし、このアルバムも聴き方次第でいろんな伝わり方があると思うんです。

粟子 そうですね。曲を聴く順番を変えるとか、2曲目と5曲目だけを聴くとか、それだけでも全然違うと思うんで。いろんな楽しみ方でこのアルバムを感じてくれたらうれしいです。

──それにしてもバンド名といいアルバムタイトルといい、皆さん独特のセンスをお持ちですね。

粟子 そうですかね(笑)。確かにあんまりつなげへんようなものをつなげたりしてるし。最初なんて「星めぐりのリーフレット」ってタイトルにしようと思ってましたから(笑)。

──(笑)。

粟子 でもなんか違うなあ、ココロオークションっぽくないかなあと思っていっぱい悩んだんですけど、最終的にほどよくポップでほどよくダサい……ダサくはないか(笑)。すごくわかりやすいというか、そのへんはやっぱりピンと来るか来ないかなんですよ。

ニューアルバム「七色のダイス」2014年4月2日発売 / 1728円 / CLOUD ROVER RECORDS / CRRC-1007
収録曲
  1. ナゾノクサ
  2. ワールド
  3. 夢の在り処
  4. Answer
  5. 君の魔法
  6. バタフライ
  7. 蝉時雨
ココロオークション

2010年7月、大阪在住の大学生4人で結成されたロックバンド。メンバーは粟子真行(Vo, G)、冨山吉孝(G)、大野裕司(B)、井川聡(Dr)。関西地区でのライブ活動を経て、2011年5月には過去に→Pia-no-jaC←、アシガルユース、蜜などを輩出した大阪・knaveの“GOLD MEMBERS”に選出された。同年には「MINAMI WHEEL 2011」「見放題2011」といったイベント出演を経て、関西最大の音楽コンテスト「eo Music Try 2011」でグランプリを受賞。2012年3月にはアルバム「TICKET」、翌2013年3月にはミニアルバム「深海燈」をライブ会場限定で発売する。その後も活動の幅を広げ、同年4月には同年代の仲間たちと「宇宙フェス」を実施。2014年3月、初の全国流通盤となるミニアルバム「七色のダイス」をリリースする。