ナタリー PowerPush - Czecho No Republic
移動式遊園地「DINOSAUR」
俺にとって最大級の褒め言葉が「かわいい」になってる
──でも、チェコの音楽はシューゲイザーとかグランジみたいな内向的な感じじゃなくて、すごく陽気ですけど。
そうなんですよね。明るいのが好きっていうのが単純にありますからね。
──あと、かわいいの好きですよね?
確かに好きです(笑)。
──20代のロックバンドのフロントマンで、「かわいい」って言葉を肯定的に使う人って、なかなかいないんですよ。むしろカッコいいとかグッとくるとか、そういう骨太な男っぽい言葉を使う人が多い。そこは大きいんじゃないですか? 「あ、これかわいい」と思ったものを取り入れていくという。
はい。ていうか、「かわいい」とか言ってんの、女の子みたいっすね。めっちゃ恥ずかしくなってきました(笑)。でもなんか、いつのまにか俺にとって最大級の褒め言葉が「かわいい」になってるんですよね。自分が一番高ぶるものって、フォルムにしても、色使いにも音にしても、「いいなあ」って思うものは、どこかかわいさがあって。カッコいいものも好きなんですけどね。ジョニー・デップとか好きだし……。まあ、ジョニー・デップも言っちゃえばかわいいか。かわいさの物差しはいいモノを持ってるのかもしれないですね。かわいさの測量が誰より得意だという。
──そこかもしれないですね。その物差しを持ってなかったら、やっぱり音もうまく選べないと思うんですよ。特にこのアルバムって前作よりもシンセがフィーチャーされてますよね。
うん。
──そのシンセの音を選ぶセンスは、多分そこだと思うんです。
そうですね。「かわいい物差し」で選んでる(笑)。自然にそれができてるってことは、そうなのかもしれないです。
昼か夜かもわかんないトリップ中みたいな感覚
──あと、ジャケの話も聞きたいんですけど、これは前の「Maminka」のときと同じイラストレーターの方が描いたんでしょうか?
はい。
──「Maminka」のときは「母の愛」というアルバムのテーマを伝えて描いてもらったということですけど、今回もそういう感じでした?
今回も、さっき言った移動式遊園地と、あとは恐竜っていうテーマを最初に言ったんです。そしたら、最初はほんとに遊園地の中に恐竜がいるっていう、まっすぐ捉えたのが返ってきちゃって。それはちょっと違うんだよねえっていう話をしながら、「人の影が恐竜になってるのはどう?」とか意見を出したら、一発でこれが来たんです。いやあ、やっぱりいいなあ!って思いましたね。
──なるほど。最初はもっとそのまんまだったんですね。
そのまんま。遊園地に恐竜がいるだけだった。で、もうちょっと昼なんだか夜なんだかもわかんない感じにしてくださいって言ったんですよね。だから、月とか太陽がいろいろあるような感じになってるんですよ。で、ちょっとトリップ中みたいな感覚の、どこなんだかもわからないような感じになった。これはもう、こんなに絵で表現できるっていいよなあっていう感じですね。まさしくかわいいジャケになりました(笑)。
──チェコの音楽にドンピシャですよね。この絵の感じが好きな人だったら、ジャケ買いしても間違いない音楽だと思います。
ああ、なるほど。そうですね。ほんと、ドンピシャだと思います。俺なんかは絵だけでも欲しいぐらいなんで(笑)。
Czecho No Republic
(ちぇこのーりぱぶりっく)
武井優心(Vo, B)、山崎正太郎(Dr, Cho)の2人を中心に2010年3月結成。その後吉田アディム(G, Syn, Cho)、八木類(G, Syn, Cho)を加え、4人編成となる。2010年11月にタワーレコード限定でリリースした「erectionary」が高い評価を受け、The Mirraz全国ツアーのオープニングアクトを担当。2011年6月発売の1stシングル「Casually」が話題を集め、同年10月に初のフルアルバム「Maminka」をリリース。2012年6月には2ndミニアルバム「DINOSAUR」を発表した。