- パーソナリティ
- Tom-H@ck
エンジニアともセッションを
──今作を聴かせていただいて、一番思ったのが日本にあまりない音像をしているなということで。
Ryu うれしい。
──ミックスなどにも皆さんの意見が反映されているんでしょうか?
Ryu 「こういうイメージで」とかは言いますけど、基本的にはエンジニアさんにお任せですね。
Jackson ドラムに関しては僕の好きな海外のアーティストの音に近付けてもらってます。日本のってちょっとシャカシャカしてるので、そうじゃなくて海外のどっしり感みたいなのは出したいなと。
──ええ。すごく立体感を感じました。
Ryu 僕らが一緒にやってるエンジニアさんやテックさんは、好奇心の塊なんですよね。彼らも日本とか海外とか関係なく、とにかく音楽が好きでいろいろ聴いてて。
Jackson あの人たちも新しいことにチャレンジしてるってことなんでしょうね。
Ryu だからメンバー同士もセッションしてますけど、エンジニアさんともセッションしてるみたいな。だからエンジニアさんから届いた音源を聴いて「こういうアレンジするんだ!」ってビックリしちゃう。
──けっこう変わって戻ってくることもあるんですね。
Ryu ありますあります。
──音楽やっててそういう瞬間って幸せですよね。
Ryu そうだと思います。
──Ryuさんは許容範囲がめちゃくちゃ広いですよね。メンバーから新しく出てくるアドリブも前向きに捉えるし、エンジニアさんの話もそう。いろんな方の力で1つのものを作り上げるのって実は簡単にできることじゃないと思うんですよね。自分の表現したい確固たるものはもちろんあるんだけど、周りを巻き込んでいく力もあって。そこに強いエネルギーを感じます。
Ryu 意識はしてないですけど、たぶんそうなんだと思います。
Tsuru 僕はいつも「社長」って呼んでます。
Ryu (笑)。僕は全部の答えが“間”だと思ってるんですよ。音楽で言うと、日本のポップスに寄せるか海外のポップスに寄せるかって話になったときは、両方のおいしいところを取っちゃえって思う。あと僕ら、バンドを初めてすぐのとき周りから「アート」だって言われてたんです。でも僕はポップでいたいから、じゃあアートとポップの間にいようと。そういう意味で、いろんな人のアイデアとか意見の間にある答えをこれからも見つけていきたい。
──もうそれって音楽だけの話じゃなくて、人生観と言うか。
Ryu そうですね。人に対してだけじゃなくてすべてのことに対して、いいものか悪いものかと判断するんじゃなくて、「悪い」の中にも「いい」も「悪い」も両方の要素があると思うんですよね。だから2Dじゃなくて4Dで考えたい。その真ん中にあるものが答えなんだと思っています。
答えは聴いた人に委ねたい
──人生の話になりましたが、資料には今作について「『人生感』とまではいきませんが、今まで描いてきた『旅』というのをもっと感情的に考えてみて、これから僕らが向かっていく『路』はどんなだろうというのを想像しながら制作をしました」とありました。改めて、今回のアルバムを通して何を一番伝えたいか聞いてもいいですか?
Ryu 申し訳ないことに今回は自分に対してのメッセージが強いんですよ。「もっとこうしろよ」とか「がんばんなさいよ」みたいな。でも歌詞で明確に答えは出していなくて。例えば最後の曲「Landscapes」だったらただ「走れ」「走り抜け」って言ってるだけ。「走ればなんかあるんじゃない?」みたいな。僕は曲の中で答えを与えたくないんですよね。クリストファー・ノーラン的な終わり方をしたいと言うか。答えは聴いた人に委ねたい。
──僕もノーラン大好きです。
Ryu 僕も大好き。例えば「インセプション」(2010年公開のアメリカ映画)を、気分が落ちてる人が観たらバッドエンドだと思うだろうし、ハッピーな気持ちで観てる人はハッピーエンドだって思うと思う。
Tsuru 僕はハッピーエンドだと思いました。
Ryu うん、そういう人それぞれの解釈がいい。曲もそうありたいなと思ってるんです。今作のタイトルは「Between Night and Day」なんですけど、「Night」(夜)から「Day」(日中)の間、つまり朝が来ることって、ワクワクする人もいると思うけど、朝が来るのがつらいと思う人もいると思うんです。だからただ「朝が来る」ということを歌って、曲から受け取るメッセージは聴いた人に委ねるんです。
──道しるべみたいな?
Jackson んー、示してはないよね。
Ryu そう、示してはないんですよ。歌詞の中ではけっこう「こうしたほうがいいんじゃね?」って言ってるんですけど、それはあくまで自分に対して言ってて。ただ「そう思ってる自分が横にいるから、君もネガティブに考えないでほしいな」くらいかな。
──そっと添えるくらいの。
Ryu そこがジャパニーズカルチャーだと思います。横にいて「そうだね」みたいな空気感。
──イタリアで20年間育っても、その粋な感じに美を感じます?
Ryu 感じますね。海外で育ったぶん、一層感じてると思います。子供の頃から日本人でもイタリア人でもない、みたいなところが自分のアイデンティティだったので、こういう精神論にたどり着いてるんじゃないかと。
全力を聴いてもらいたい
Ryu 今日はいろんな話をしましたね。最後は精神論にまで。
──面白かったです。最後に、バンドの今後の夢を教えてください。
Tsuru 僕はいい加減、日本武道館のステージに立ってみたいです。
Jackson いい加減(笑)。
Tsuru 結成してからずっと言ってるので。日本人だったらやっぱり、とりあえずは武道館に憧れるじゃないですか。
Jackson 僕は「FUJI ROCK FESTIVAL」に出てみたいですね。せっかくならデカいステージに。
Ryu 僕はなんだろうなあ……大きいステージでもやってみたいんですけれども。
Jackson 海外でのライブはどうですか?
Ryu うん、海外もやってみたいなあ。可能性があるかないじゃなくて、いろんなところで聴いてもらえるようにできることはいっぱいやりたいですね。規模はどうであれ、僕らの演奏はいつも全力なので、その全力を皆さんに聴いていただきたい。それだけです。
- Ryu Matsuyama「Between Night and Day」
- 2018年5月16日発売 / VAP
- 収録曲
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- Window
- Footsteps
- City
- That Mad Rad Tale
- Istante
- Take a Piece
- Simply, Something
- Return to Dust
- Landscapes
公演情報
Ryu Matsuyama「Between Night and Day」リリース記念インストア・イベント
- 2018年6月16日(土)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
- START 12:00
内容:ミニライブ+サイン会
Ryu Matsuyama Special Show Case
- 2018年6月24日(日)福岡県 brick
Ryu Matsuyama TOUR "Afterglow"
- 2018年10月13日(土)大阪府 CLAPPER
- 出演者 Ryu Matsuyama / avengers in sci-fi
- 2018年10月14日(日)愛知県 伏見JAMMIN'
- 出演者 Ryu Matsuyama / PRIMITIVE ART ORCHESTRA / The Hey Song
- 2018年10月20日(土)北海道 PROVO
- 出演者 Ryu Matsuyama / and more
- 2018年10月27日(土)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
- 出演者 Ryu Matsuyama / and more
- 2018年11月18日(日)宮城県 retro Back Page
- 出演者 Ryu Matsuyama / KUDANZ
- 2018年12月7日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST(※ワンマンライブ)
- 出演者 Ryu Matsuyama
そのほか出演公演
道志村キャンプ Natural High! 森と川と村のまつり
- 2018年5月26日(土)山梨県 道志の森キャンプ場
not forget pleasure 8
- 2018年6月5日(火)大阪府 CLAPPER
LIVEHOLIC 3rd Anniversary series vol.19
- 2018円6月27日(水)東京都 下北沢 LIVEHOLIC
- Ryu Matsuyama(リュウマツヤマ)
- イタリア生まれイタリア育ちのRyu(Piano, Vo)が、Tsuru(B)と共に2012年に結成したスリーピースバンド。2014年にJackson(Dr)を迎え現メンバーとなった。同年3月に1stミニアルバム「Thinking Better」をライブ会場およびiTunes Storeにて販売。2015年11月に2ndミニアルバム「Grow from the ground」、2017年5月に3rdミニアルバム「Leave slowly」を発表した。2018年5月にフルアルバム「Between Night and Day」をVAPからリリース。メジャーデビューを果たす。日本人離れした表現力と卓越した演奏力でさまざまな方面から支持を集めている。
- Tom-H@ck(トムハック)
- サウンドクリエイター、プロデューサー。2009年に放送がスタートしたアニメ「けいおん!!」の楽曲を手がけ、注目を集める。作編曲家としてT.M.Revolution、でんぱ組.inc、ももいろクローバーZ、清 竜人25、SuG、ロッカジャポニカ、LiSA、マジカル・パンチライン、UROBOROSといったアーティストの楽曲制作に携わっているほか、映画やアニメなどの劇伴音楽なども多数手がけている。またOxT、MYTH & ROIDとして自身もアーティストとして活動している。2016年5月に総合エンタテインメント会社・TaWaRaを設立。TaWaRaではサウンドのみならずエンタテインメント事業全体のプロデューサーを務める。