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- Tom-H@ck
「Coming Next Artists」第32回には、5月16日にVAPよりメジャーデビューを果たしたバンド、Ryu Matsuyamaが登場。イタリアで生まれ育ったフロントマンのRyu(Piano, Vo)をはじめ、個性豊かなメンバーのルーツや生い立ちから、メジャーデビュー作「Between Night and Day」の制作について、さらにはメンバーの人生観にまで、Tom-H@ckが迫った。
取材 / Tom-H@ck 文 / 小林千絵 撮影 / 西槇太一
- Ryu Matsuyama(リュウマツヤマ)
- イタリア生まれイタリア育ちのRyu(Piano, Vo)が、Tsuru(B)と共に2012年に結成したスリーピースバンド。2014年にJackson(Dr)を迎え現メンバーとなった。同年3月に1stミニアルバム「Thinking Better」をライブ会場およびiTunes Storeにて販売。2015年11月に2ndミニアルバム「Grow from the ground」、2017年5月に3rdミニアルバム「Leave slowly」を発表した。2018年5月にフルアルバム「Between Night and Day」をVAPからリリース。メジャーデビューを果たす。日本人離れした表現力と卓越した演奏力でさまざまな方面から支持を集めている。
J-POP好きのTsuruとレゲエ好きのJackson
──「Between Night and Day」を聴かせていただいたら、2曲目の「Footsteps」からいわゆるアンビエントとかニューエイジみたいな匂いを感じたんです。でも資料を拝見すると、個人のルーツみたいなところにアンビエントとかニューエイジって出てこなくて。皆さんのルーツってどんなところにあるのか、教えてもらえますか?
Tsuru(B, Cho) 僕はもう“どポップス”が好きですね。
──それは日本のですか? 海外?
Tsuru 日本のポップスです。海外のも好きなんですけど、結局小さい頃から聴いていたのってJ-POPだったので。
──いわゆる青春時代とかに聴いてたものは? 世代的に宇多田ヒカルさんとかですか?
Tsuru 姉とか母親が宇多田ヒカルさんが好きだったので、聴いてましたけど、僕の一番の青春はORANGE RANGEです。
──ちょうど僕も仕事で「キャッチーな曲ってなんだろう?」って考えたときにORANGE RANGEが挙がって。あそこまで突き抜けたポップ感を出せるアーティストってなかなかいないですよね。
Ryu(Piano, Vo) 拍手!
──ほかのアーティストの話をしちゃってすみません(笑)。Tsuruさんは今でも普段からJ-POPを?
Tsuru そうですね。実際に演奏するのはジャズとかR&Bとかが多いんですけど、自分の耳的にはポップスが好きですね。今でもCMとかで流れてる旬のバンドとかを聴いてます。
Jackson(Dr, Cho) 僕はレゲエが好きで……。
Tsuru その見た目でレゲエ好きじゃなかったら問題あるよ(笑)。「好きじゃないとは言わせない」みたいな(笑)。
──(笑)。
Jackson レゲエも好きですし、アメリカの音楽もイギリスのものも……親父が聴いてたレコードがそのまま僕のルーツになってます。The PoliceとかSteely Danとか、もっと古いものだとCCR(Creedence Clearwater Revival)とかですね。
20年間イタリアで育ったRyu
──Ryuさんは?
Ryu 僕は生まれ育ちもイタリアなので、全然J-POPには触れていなくて。
──20歳までイタリアに住んでいたんですよね?
Ryu はい。
──日本語、すごくお上手ですよね。
Ryu 家では絶対日本語だったんですけど、現地校に通っていたのでイタリア語もしゃべっていて。その影響か、J-POPに触れず、音楽を聴き始めたきっかけはRadioheadだったんです。そこからSigur Rós、Mogwaiといわゆるオルタナと呼ばれる路線から入って、そのあとポップスを聴くようになるという流れです。
──最初に始めた楽器はピアノ?
Ryu そうです。一応ピアノは6歳からやってたんですけど下手すぎて、周りに辞めろって言われて萎縮して練習しなくなりました。で、中学生のときにモテたいという単純な気持ちからギターを始めて、バンドを組むんです。でもそのバンドが解散してしまい……音楽は続けたいなと思ったときにピアノならできるから自分で歌ってみようかなって。
──ピアノを最初に始めたのにRadioheadに惹かれるのが不思議だなと思ってたんですけど、ギターもやられてたというところで納得しました。
Ryu もちろん王道のOasisとかBlur、U2とかレッチリ(Red Hot Chili Peppers)といったUKで流行っていたロックバンドも聴いてたんですけど、僕は「気持ちいい」と感じられるようなサウンドスケープ感を求めていたんじゃないかなと思うんです。Radioheadの「Kid A」ってアルバムの最後に「Motion Picture Soundtrack」というただオルガンが鳴っていてトム・ヨークの声が入っているだけの曲があるんです。それが僕には気持ちよすぎちゃって。衝撃的でしたね。子供の頃からいろんな曲に触れてたと思うんですけど、初めて“音楽を聴いた”という感覚になったのはそのときですね。
──それって何歳ぐらいのときですか?
Ryu 確か中学生のとき。
──UKのオルタナ、レゲエ、J-POP。ある意味、端と端と言うか。そんなお三方が集まったからこそ成り立つバランスみたいなものがRyu Matsuyamaにはあるのかもしれないですね。
Jackson そうですね。僕はレゲエが好きだから、最初はRyu Matsuyamaに自分の好きなドラムのスタイルを入れてたんです。僕は最後に入ったメンバーなんですけど、最初のスタジオで「よっしゃ!」って好きな感じのドラムを叩いたらなんか違って。
──違和感があったと。
Jackson はい。僕がやりたいこととRyu Matsuyamaのスタイルは違うんだなって気付いて。そこからだんだん自分のスタイルは出しつつ、3人の平均値みたいなところを探るようになったんです。それが結果的に「どのジャンルにも収まらない」というRyu Matsuyamaの音楽性になったんだと思います。
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個性を生かすために曲作りはセッションで
- Ryu Matsuyama「Between Night and Day」
- 2018年5月16日発売 / VAP
- 収録曲
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- Window
- Footsteps
- City
- That Mad Rad Tale
- Istante
- Take a Piece
- Simply, Something
- Return to Dust
- Landscapes