- パーソナリティ
- Tom-H@ck
「ダンス」がテーマの新しい主題歌
──すでに「魔法陣グルグル」の第2クールのオープニング主題歌もORESAMAが手がけることが決まっているんですよね。先ほど「Trip Trip Trip」は、「冒険が始まるワクワク感」というオーダーをもとに作り上げたとおっしゃっていましたが、次のオープニング主題歌はどういう曲になるんでしょうか?(※取材は「流星ダンスフロア」の制作中に実施)
ぽん テーマはずばり「ダンス」です。
小島 「Trip Trip Trip」とはガラッと変えて、みんなで歌って踊れるディスコ調の曲を作っています。ただのディスコって感じではなくて、ちょっとモダンに昇華してる感じの曲です。
ぽん まだアニメサイズができたくらいなんですが、めちゃめちゃ好きな曲になりました。
──もう詞は書いたんですか?
ぽん 書きました。「グルグル」のなかで、「ダンス」ってとても大切なキーワードだと思うんです。今回の曲は、作品のなかと、現実のダンスフロアを舞台にした歌詞になりました。
小島 まだ制作中なので具体的には決まっていないんですけど、ライブではみんなで手を叩いたり、コール&レスポンスを入れたり、一体感を感じられるような曲にしたいですね。
──早く聴きたいですね。テンポ的にはどのぐらいなんですか?
小島 133BPMですから、ミディアムテンポですね。
ぽん 最近速い曲が多かったから、ちょっと新鮮に感じました。
小島 できれば125くらいで作りたかったんだけど、アニメのオープニングの尺である89秒に合わせるためにちょっと速くしました。
アニソンという枠から少しはみ出して
──僕もこれまで数多くのアニメソングの制作に携わってきたんですけど、ORESAMAはアニメのような作品ありきでの曲作りや、テレビでオンエアされる尺が決まっていることなどをどう受け止めて曲を提供していますか?
小島 もちろんお話をいただいて、作品と向き合って曲作りをさせてもらっているんですけど、僕自身はアニメに引っ張られすぎず曲が作れている感覚があって。たぶんアニメに引っ張られすぎちゃうと面白くないんですよ。僕はどちらかと言うとアニメに触れてきたというより学生時代から音楽ばっかり聴いてた人間なので、そういう人間がアニソンを作って面白い化学反応が出るのが一番幸せなことなんじゃないかなと思っているんです。僕自身はアニソンという枠から少しはみ出したところにいると思うから、そこからボールを投げていくことを楽しみたいし、聴いてくれる人にも楽しんでもらえたらなって考えています。
ぽん Tom-H@ckさんはアニソンを作るときにどういうことを考えていますか?
──僕はアーティストとして曲を書くときと、作編曲家として曲を書くときで切り分けているんですよね。自分のユニットで楽曲を提供するときは自分たちの伝えたいこと、やりたい音楽がまずベースにあって、そこからアニメで描かれている場面とかキャラクターの思いとか共通の部分を探すようにしています。でも作編曲家としてアニソンのオーダーが来たときは、89秒でどうアニメのイラストと音楽を印象付けるかをものすごく考えるんです。楽曲提供のときは完全に職人になるんですよね。
小島 勉強になります。僕も最近、曲提供をさせていただく機会があって、89秒という制限の中で、どうアニメの世界観とアーティストの魅力を詰め込むか、ものすごく考えて曲を作らせてもらって。確かにそのときはちょっと職人っぽいマインドで取り組んでいた感覚がありました。
1人でも多くの人の心に刺さる曲を
──お話を伺っている中で、ORESAMAというユニットはビジュアルイメージも音楽性も、ものすごく計算して作り上げている印象を受けました。音楽を芸術としてだけではなくて、ちゃんとビジネスとしても成り立つように考えている。
小島 生々しく表現すると“お金を稼ぐ”ということになるんですけど、人の目を引く音楽をやろうってことはすごく意識しています。人間って何かに感動したときに、お金を払ってもいいと思うはずなんです。僕らは音楽を作っているからみんなに感動を与えなくちゃいけない。その結果、お金に結び付くことが求められているんだなって考えています。具体的には最後まで聴いてもらうためにもイントロとかサビでフックを付けなきゃとか、第一印象につながる部分はものすごく気を使っていますね。
ぽん 小島くんほど考えられていないかもしれないけど、私はORESAMAでフロントを担当する立場の人間として、ライブをすごく大切にしようって思っているんです。CDを出せば自分たちが作ったものを届けることはできるんですけど、ORESAMAの音楽を共有して遊べる場ってライブしかないんです。みんなが集まって一緒に遊んでくれて「また明日からがんばろう」って思えるような空間を大事にしていきたい。小島くんが今言った「感動」って、もちろんライブの会場にもあるものですから。もっともっとたくさんの人と、楽しい思いを共有できたらいいなっていうのが、今やりたいことだと思っています。
──2人共違った発想を持っていますけど、それがいいバランスで共存しているのがORESAMAのいいところな気がしてきました。
小島 芸術として魅力的な音楽を作り上げるってこともすごく大事なことだとは思うんですけど、今の僕は1人でも多くの人の心に刺さる曲をどう作るかということを考えているんです。それが結果としてビジネスにまで通じているかはわからないんですけど、ORESAMAの音楽がもっと多くの人に届くように、これからもがんばっていきたいですね。
- ORESAMA「流星ダンスフロア」
- 2017年10月25日発売 / Lantis
- 収録曲
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- 流星ダンスフロア
- ヨソユキノマチ
- Waiting for...
- 流星ダンスフロア -Instrumental-
- ヨソユキノマチ -Instrumental-
- Waiting for... -Instrumental-
- ORESAMA「Trip Trip Trip」
- 2017年7月26日発売 / Lantis
- 収録曲
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- Trip Trip Trip
- 耳もとでつかまえて
- 空想フライト
- Trip Trip Trip -Instrumental-
- 耳もとでつかまえて -Instrumental-
- 空想フライト -Instrumental-
- ORESAMA(オレサマ)
- ぽん(Vo)と小島英也(programming, G)による男女2人組ユニット。2013年に「The 6th Music Revolution Japan Final」で優秀賞を獲得し、2014年12月にテレビアニメ「オオカミ少女と黒王子」のエンディングテーマ「オオカミハート」でデビューを果たした。2015年12月に1stアルバム「oresama」を発表。同時にぽんが音楽SNSアプリ「nana」にて正体を隠して投稿を始める。6月には正体を明かし、以降は「nana」での人気ユーザーとして活躍。2016年9月、「nana」への思いを込めた新曲「『ねぇ、神様?』」を発表した。2017年5月にはLantisに移籍し、アニメ「アリスと蔵六」のオープニングテーマを収録したシングル「ワンダードライブ」をリリース。アニメ「魔法陣グルグル」のオープニング主題歌を2クールにわたって担当しており、同年10月25日にはアニメへの提供曲「流星ダンスフロア」を表題曲に収めたシングルを発表する。
- Tom-H@ck(トムハック)
- サウンドクリエイター、プロデューサー。2009年に放送がスタートしたアニメ「けいおん!!」の楽曲を手がけ、注目を集める。作編曲家としてT.M.Revolution、でんぱ組.inc、ももいろクローバーZ、清 竜人25、SuG、ロッカジャポニカ、LiSA、マジカル・パンチライン、UROBOROSといったアーティストの楽曲制作に携わっているほか、映画やアニメなどの劇伴音楽なども多数手がけている。またOxT、MYTH & ROIDとして自身もアーティストとして活動している。2016年5月に総合エンタテインメント会社・TaWaRaを設立。TaWaRaではサウンドのみならずエンタテインメント事業全体のプロデューサーを務める。