- パーソナリティ
- Tom-H@ck
2016年に行われた音楽コンテスト「Music Revolution 第10回 東日本ファイナル」でグランプリを獲得したシンガーソングライター・ましのみが、2月7日にアルバム「ぺっとぼとリテラシー」でポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たす。今回の「Coming Next Artists」では、兼ねてから彼女に興味を持っていたというTom-H@ckがインタビューを実施。ましのみ自身の表現者としての思いをじっくりと聞いた。
取材 / Tom-H@ck 文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 塚原孝顕
- ましのみ
- 1997年生まれのシンガーソングライター。2015年1月に東京・下北沢LOFTで初ライブを行い、大学に通いながら都内で精力的にライブ活動を行う。2016年3月、音楽コンテスト「Music Revolution 第10回 東日本ファイナル」でグランプリを獲得。同年9月には東京・恵比寿天窓.switchで自身初のワンマンライブ「ましのみ 初ワンマンライヴ~サブタイトルなんてつけたくない~」を実施した。2017年10月、東京・WWWで行われたフリーライブでポニーキャニオンからのメジャーデビューを発表。2018年2月にメジャーデビューアルバム「ぺっとぼとリテラシー」をリリースする。
私が作る曲を生かせるサウンド
──僕、インタビューのお話をいただく前からましのみさんのことを知っていたんです。以前、テレビに出られていたことがありましたよね?
わ! どれだろう。オリエンタルラジオの藤森(慎吾)さんが出てる番組ですか?
──そうです。シンガーソングライターを何人も紹介する番組だったんですけど、中でもましのみさんのことが妙に気になって。
ありがとうございます!
──なので、今回アルバムの音源をいただいて驚いたのが、アルバムを聴いたらデジタルサウンドに寄せていたことなんです。番組ではピアノの弾き語りをなさっていたから、てっきりもっと生っぽいサウンドの曲で構成されると思っていました。
インディーズのときは全編ピアノ弾き語りのスタイルだったんですけど、数ある女性シンガーソングライターがいる中で、同じようなアプローチだとすぐに音楽シーンの中で埋もれちゃうなって考えていて。
──それはレコード会社の方の考えではなくて、ましのみさん本人の考えなんですね?
はい。ただどういうアプローチにしたらいいかまではわかってなくて。私自身、音楽的な知識が豊富なわけではなかったから、どうするかをディレクターの方に相談したんです。私が作る曲を生かせるサウンドを探っていったら、今のエレクトロな感じになりました。
──それと過去のライブ映像や、Twitterに貼ってある“ましらっぷ”という動画などいろいろ観させていただいたんですけど、もしかしてましのみさん、ダンスとかやってました?
やってました! どうしてわかったんですか?
──ましのみさんの一見すると変なクネクネした動き、ちゃんと体のバランスを取りながら左右に動いているのがわかるんですよ。
初めて言われました。幼稚園から小学校6年生までヒップホップを習っていたんです。でもその頃習っていたことを生かしきれてはいないと思うので、ダンスの先生に申し訳ない気もしますけど……。
──いやいや、ダンスを習っていたことが生かされてる動きをしてますよ。
ありがとうございます! 自分の動きのことを褒められたことがあんまりないから、変な感じですけど、うれしいです。
「デビューが決まったからってなにが起こるわけでもない」
──ましのみさんのプロフィールには、初ライブを行ったのが2016年2月と書かれています。初ライブからメジャーデビューまで、トントン拍子で話が進んだ感じでしょうか?
そんなことないです。多いときで月9本とかライブをやりまくって、毎日配信とかもしてたんですけど、自分自身ではそれがメジャーデビューにつながるのかわからなくて。今振り返れば、毎日がんばっていたからポニーキャニオンの人に見つけてもらえたのかもしれないけど、やってるときは「時間がない、就活の時期がくるー、ヤバいー」って焦っていて、苦しい時期でした。
──2016年の「Music Revolution 第10回 東日本ファイナル」でグランプリを取ったわけですよね? そこで「私、順調かも」とは思わなかった?
グランプリを取ったことはうれしかったけど、その後何かが劇的に変わったわけではなかったんです。賞賛を浴びたわけでもなくて「グランプリ取ったからって何かが起こるわけでもないんだ」ってことを実感して、その後の1年もただ必死にライブをやり続けました。結果としてライブを観てもらってデビューが決まったわけなんですけど、今でも変わらず「デビューが決まったからって何かが起こるわけでもないんだ」と思っているので必死で音楽をやってます。
──ましのみさん自身は焦っていたかもしれませんが、そのスピード感は外から見るとトントン拍子だと思います。
そうなんですかね。でもこれで売れなかったらトントン拍子でも意味がないんですよ!
──やるからには売れたいわけですよね。
売れたい気持ちはもちろんありますけど、続けられなくなるのが一番嫌なんです。
──音楽を続けることで最終的な目標は考えているんですか?
まだ最終的な目標を具体的に考えているわけじゃないんです。「ましのみってこういうシンガーソングライター」って絞られないようにしていると言うか。私はまだ誰にも知られていないわけですから、そんな状態で自分自身を決め込んでしまうのがもったいないと思うんです。今回の「ぺっとぼとリテラシー」ではいろんな曲調の歌を用意していて、1人ひとりに気になるところを見つけてほしいんです。最終的に私がどういうシンガーソングライターになるかは、私自身まだわからなくていいのかなって。
──もしかしたらましのみさんが自覚してなかった魅力をファンの方が発見するかもしれないわけですし。
はい! だから私、エゴサーチとかめっちゃするんですよ(笑)。私の書いた曲とか、私のつぶやきをみんなどう受け止めているのか、それを見逃しちゃいけないなって。
──戦略的ですよね。セルフプロデュースの意識がしっかりしてると言うか。
「シンガーソングライターになりたい」って思う前は、もともとすごく堅実な道を目指していたんです。「普通に就職して、できる女になって1人で生きていけるようになるんだ」って考えてたくらいで。今は音楽をやるようになって、私の人生のビジョンは変わったけど、基本的なもとの性格は変わっていないんです。堅実と言うより、心配性なだけだと思いますけど……。
──ちなみにアーティストを目指す前はどんな仕事に憧れていたんですか?
食べ物が好きだから、管理栄養士とか、食品の企画開発とかをやりたいって思ってました。売る戦略を考えるのが好きだから食品に限らず、企画開発の仕事をしたいなって思いは強かったです。
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自分1人の力で興味を持ってもらうために
- ましのみ「ぺっとぼとリテラシー」
- 2018年2月7日発売 / ポニーキャニオン
- CD収録曲
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- プチョヘンザしちゃだめ
- ナンセンスに逆戻り
- 名のないペンギン空を飛べ
- エゴサーチで幸あれエブリデイ
- やりくりゲーム
- Hey Radio
- 灰かぶり姫
- ミスター
- ストイックにデトックス
- リスクマネジメント失敗
- チャイニーズ再履修 ※ボーナストラック
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「プチョヘンザしちゃだめ」&「ナンセンスに逆戻り」Music Clip
- Digest of 「ましのみフリーワンマンライブ@Shibuya WWW(2017.10.14)
- mashinoMISSion
- Making of 「ナンセンスに逆戻り」Music Clip & Jacket Shooting