嫉妬や怒りは脳を活性化させるらしい

──CD付きぬいぐるみに続いて、5月2日に「友達だからかな」という曲も配信リリースします。これはアニメ映画「ゴーちゃん。～モコと氷の上の約束～」のエンディングテーマとして書き下ろした曲だそうで。

私は「男について」「男女について」「家族について」の曲を書くことが多くて、「友達っていうテーマの曲」って実は少なかったんですね。だから最初はどうしようかなって思いましたね。「コレサワさんらしさを入れてください」って言われたものの、私らしさを入れたら子供が聴けない曲になっちゃうんじゃないかって不安になって（笑）。でも、自分がやりたいことと映画側がやってほしいことがうまく交わるものが作れたのかなと思ってます。

──こういうタイアップ曲のように、求められるところにしっかり寄せていく作業って楽しいですか？

楽しいです、私は注文されるのが好きなんで。「こんな感じの曲調で」って見本の音源を送ってもらうのも超好き。「こんな感じのサウンドで」とか「このワード入れてください」くらい具体的なことを言われたいタイプなんですけど、たぶん先方さんは「がっちり固めすぎちゃうと困るんじゃないか」って気を使って言わないんだろうなと思います。

──曲作りはどんな感じでやっているんですか？

「作ろう」と思って作るんじゃなくて、降りてくるの待ちです。作ろうとしても作れないんですよ。

──すごいですね。アイデアのストックは常にいくつかあるんですか？

ストックはあります。で、日々たまにリズムとかメロディとかが降りてきて、ストックの中にそれに合うものがあったらポーンとハマって完成って感じ。例えばさっき話題に出た川谷絵音さんは、たぶん作ろうとして作れる人で、自分の曲もたくさん作りながらほかの方にも曲提供されてるじゃないですか。そういうことは自分にはできないからすごいなあって思います。

──どんなときに降りてくるんですか？

体を動かしているときですね。あと、ヤキモチを焼いているときとか、ムカつくことがあったとき、嫉妬したとき、楽しかったとき。嫉妬や怒りって感情は脳を活性化させて頭の回転をよくするらしいから、そういうことなのかなあ。家でボーッとしてると曲は書けないので、友達と遊んだりするようにしてます。

──何をして遊ぶんですか？

牧場に行ったりとか。

──牧場？

マザー牧場に行ってアルパカに触れるんです。動物って、ムカついたらツバ吐くし、嫌なことがあったら足で蹴ってくるし、素直でいいなあと思って。ムカついたからってツバ吐いても許されるなんて動物っていいなって。

アレンジを全部を任せちゃうことはないですね

──ギターはGIBSONのHummingbirdを使ってるんですね。あれ、高いですよね？

高いです。20歳になったお祝いにお父さんとお母さんとおじいちゃんがくれたお金で買いました。友達がHummingbirdを買うっていうから楽器屋さんに付いて行ったんですよね、で、その子がHummingbirdをオススメしてくれて「見た目がかわいいな」みたいな。茶色のボディはビンテージで薄くなった色を再現してるんですけど、店員さんに「この色は今年いっぱいで生産しなくなると思う」って言われて、じゃあ新品を買えるのは今のうちだなって、思い切って買いました。最近も買ったので、今は2本持ってます。

──2本を使い分けてるんですか？

新しいほうは「プリンちゃん」って呼んでるんですけど、もともとライブで何かハプニングがあったとき用に、同じ柄のが2つあるといいなと思って買ったものなので、まだあんまり使ってないです。でも「プリンちゃん」は新品にしては音鳴りがすごくいいって楽器屋さんのおじさんが言ってて、「そうなのかあ？」って思いながら弾いてたらサポートギタリストの女の子に「そのギターの音いいね！」って言われたので、今後はちょっと使っていこうかなと。

──ギターを変えるとけっこう印象が変わりますからね。曲に合わせて変えてもいいし。

でもあんまり自分は音色にこだわりがないんですよ。歌詞とかメロディにはこだわるけど、ドラムの音作りとかはディレクターさんに任せてます。

──アレンジはどうやってるんですか？

DTMでアレンジを作って、レコーディングメンバーとプリプロで完成させる感じです。

──すごい。自分でDTMでアレンジできるんですね。

専門学校で2年間習ったんで（笑）。アレンジするのは好きなんです。だからある程度アレンジを固めてから「ここにカッコよくソロ入れてください」みたいに膨らませてもらう。「コレカラー」っていうアルバムは12曲中3曲をほかの方にお願いしました。フジファブリックの金澤ダイスケさん、初恋の嵐の隅倉弘至さん、GOOD BYE APRILのみんな。けど、全部を任せちゃうことはないですね。