バリバリロックなことをやるガールズバンド

──デビューシングル「未完成なDreamer」を聴かせていただいてまず思ったのは、曲がいいのはもちろん、今の日本の音楽シーンにあまりない音像が出ているんですよ。“ドライ”って言うか、響きがない感じ。曲は作家さんに提供してもらっているんですよね？

I　今はそうですね。

J　作ってくださっている方と何回も打ち合わせをするようにはしています。私たちは詞を日々書き留めているので、その中で浮かんだ曲のイメージや入れてほしい歌詞を直接伝えさせていただいていますね。

──自分たちから「こうしてほしいです」と言って、納得するものを作ってもらっていると。

J　わがまま言ってます（笑）。

──作家さんとやり取りをしていく中で、「ここは勉強になったな、自分たちの活動に生かせるな」といった発見はあります？

J　はい。私たちはまだ自分で曲を作れていないんですけど、作っていく過程を見させてもらったことで、将来的には作れるようになりたいなという気持ちが強くなりましたね。

──でも、ジャムセッションしていると曲ってできあがってきますからね。自分たちで曲を作れる日は近いと思います。

一同　はい！

──デビューシングルに収録されている3曲それぞれ、歌詞から高校生だからこそ抱えている世の中や大衆に対する思いを感じます。「なんでそうなんだ」「私たちはそれでも強くありたい」っていう気持ち……ちょっと強い言葉で表すなら“ヘイト”かな。これは皆さん自身の思いなんですか？

J　はい。私たちの等身大の気持ちを、そのまま歌詞に入れてもらっています。

──かなりリアリティがある歌詞になっているということですよね。何かに焦ったり傷ついたりする毎日の中で、それでも前に進んでいこうとする強い芯みたいなものを感じました。

I　「つらいときも前に向かって走っていくよ」という気持ちがどの曲にも入っています。やっぱり全部が全部うまくいっているわけではないし、ときには自分がやりたいことできなかったり……そういうときもあったので。

U　特に「We Go」は高校生の私たちが歌うにはちょっと強い歌詞かもしれないんですけど、でもその媚びない強さみたいなものを大事にしたいなと思っています。高校生のガールズバンドらしいかわいい曲と言うよりは、DROP DOLLらしいちょっと変わった曲と言うか。

──“DROP DOLLらしい”って、もうちょっと掘り下げて言うとどういうことだと思います？

U　 私はSHOW-YAさんがすごく好きなんですけど、SHOW-YAさんみたいにバリバリロックなことをやっているガールズバンドって、今そんなに多くないかなと思っていて。DROP DOLLはそういうめちゃめちゃロックなものから、「未完成なDreamer」みたいな等身大の高校生らしいフレッシュな曲もできる、振り幅があるバンドでありたいなと思っています。

コンプレックスから強みへ

──歌詞だけではなく、皆さんの歌自体にも一本通った芯を感じるんですが、歌について心がけていることはありますか？

J　聴いてくれている人に歌詞の意味を伝えたいので、魂を込めて歌うことを心がけています。

I　自分の思っていることや感情をぶつけること、あと聴いてくださっている皆さんの心に突き刺さるような歌を届けたいといつも思っていますね。

U　私は歌詞と、自分の声の強みを意識しています。DROP DOLLは3人それぞれが違う声質だと思うので。

──Uさんは自分の声の強みはどういうところだと思っていますか？

U　正直に言うと、私はもともと歌うのがそんなに好きじゃなかったんです。友達とカラオケに行っても、タンバリン役で（笑）。

──自分で歌がうまいと思えなかったんですか？

U　うまいとは今でも思ってないんですけど……前は自分の低い声にすごくコンプレックスがあったんです。でも1年間やってきて、ほかの2人は高い声や透き通った声が出るけど、私にしか出せない強めの声があるんじゃないかなと思うようになって。コンプレックスだった声は強みなのかもしれないと気付いてからは、そこを意識して歌っていますね。

──UさんとJさんはご自分の歌声の強みはどこだと思っていますか？

J　 Uは太い声なんですけど、私はまた違って優しめの声なのかなって。曲の冒頭を歌うことが多いです。

I　私は通る声だとよく言われます。静かなパートのあとの盛り上がるところで、パーンって歌う役割ですね。歌詞の中でも一番聴いてほしいところを歌うことが多いです。

──3人の声のバランスがすごくいいですよね。

U　歌詞によってこの部分はこの子が合うんじゃないかって、話し合って決めてます。

──自分たちで歌うパートを決めているんですか？

I　はい。自分たちで。

U　ここは誰が合う、とかね。

I　1曲の中に激しいところがあれば優しいところもあるので、3人それぞれのいいところを生かして出していけたらいいなと思っています。

──話を聞いていくと、3人発信の部分が多いですね。

U　自分たちから発信するのを、すごく大事にしていますね。

──あと僕が気になったのは、YouTubeで検索するとめちゃくちゃ動画が出てくるなと。YouTuber的なバラエティ動画がずらーっと。

J　そうなんですよ（笑）。

──あれも自分たちからやりたいって言ったんですか？

I　はい。ネタも自分たちで考えて、バンドに興味を持ってもらえるような動画を撮って上げています。

U　DROP DOLLを知ってもらう機会が少しでも増やせればいいなと思って。今はYouTubeだけじゃなくて、Topbuzz VideoやTwitter、Instagramとか、いろんなところで発信しています。

──時代を感じますね。

U　ははは（笑）。