- パーソナリティ
- Tom-H@ck
現場の空気感を感じながら4人で作る
──作詞は真行寺さんが担当しているんですよね?
真行寺 はい。基本的には1人で書いているんですけど、一度書いてみたらメンバーのみんなにも内容を相談していますし、今回は藤井さんにも相談して書いています。
大山 僕らは本当に「ここの言い方、こう言ったほうがいいんじゃない?」とかそういう提案ばっかりですけどね。あとは「これはいったい何を言っているんだ?」ってときは、貴秋に歌詞の意味を質問することもあります。貴秋なりに意図とか哲学があるから、それを聞いたうえで「だったらこう書いたら?」みたいなことを言ったり。
真行寺 いつも道標をもらってます。
──だいたい曲ができてから歌詞を書くんですか?
真行寺 そうですね。オケ先で曲を作ることが多いので、メンバーが作ったラフのメロディに対してまずは声を乗せてみたりして。
大山 オケは家で1コーラス作ってスタジオで適当にセッションしてみて膨らませることもありますし、もうちょっとカッチリ作ったものを持ち寄ることもあるし。いろんなパターンがあります。形になりかけたオケに貴秋の歌を乗せてもらうんですけど、これがけっこう刺激的なんですよ。ロックなつもりで演奏してみたのに、貴秋がバラードっぽいアプローチをしてくることもある。
──なんとなくヒップホップの作り方に似ている気がします。
酒井 確かに近いところがあるかもしれません。現場の空気感を感じながらその瞬間に出てくるフレーズを大事にするフリースタイル的な感覚は好きですね。さっき僕が言った、あえて練習しないでレコーディングに臨むということに通ずる部分があると思います。
──BRADIOさんのサウンドにはどこか懐かしさがありつつも、ちゃんと新しさやオリジナリティが混ぜ込まれているイメージを持っていたんですが、今回インタビューをしてみてその理由がわかった気がします。さっきのベースの弦の話もそうですけど「聴いたことがあるけど、実際にやってる人って周りにいないな」ということをしっかり実践しているバンドなんですね。
大山 アナログ的なやり方ばっかりですけどね(笑)。僕ら最新のスペックに疎いんですよ。
酒井 いろいろ試したあとに気付くことが多いです。「あっ、今はこんな便利なものがあったのか」って。
パイオニアになりたい
──メジャーデビューを経て、BRADIOの皆さんはどういうバンドになりたいですか?
真行寺 パイオニアになりたいんですよね。BRADIOのような音楽をやっているバンドって周りにいないと思うんですけど、今回のシングルでソウルミュージックを追求することによって、僕らの中では、さらにひと皮剥けたという自覚があるんです。昔は「ちょっとマニアックなことをやってるのかな」って揺れていた部分があるんですけど、今は僕らにしかできない音楽でもしっかり通用するって思いが強くなっています。
酒井 パイオニアになりたいっていう思いは僕にもありますね。ただBRADIOって、いい意味でいきなり爆発的に売れる感じのバンドじゃないと思うんですよ。巨大な渦と言うか、外周はすごくゆっくり回ってるけど中心はすごいパワーがあるようなイメージでバンドを大きくしていきたいなって思いが強いです。渦をどんどん大きくしていって、ソウルミュージックを鳴らしているからには日本だけじゃなくて世界にも行ってみたいですね。
大山 BRADIOって2010年からやってるんですけど、インディーズでCDを出すまで3年ぐらいかかって、そこからメジャーデビューするまで4年ぐらいかかってるんです。ほかの人たちから比べたら牛歩みたいな速度かもしれないけど、個人的にはこのペースでバンドが大きくなってよかったなと思っています。
──それはなぜですか?
大山 これまでの7年間って自分たちが今どういう状況で、何をすればいいかっていうのをすごく考えてきた時間だったんです。これまでの選択が正解だったか不正解だったかはわからないですが、少しずつ僕らを支援してくれる人、応援してくれる人が増えてここまでやってくることができた。メジャーデビューできたことに対してただ手放しで喜んで前に突き進むのではなくて、僕はもっと根本的なところをもっと大事にしながら前に進んで行きたいんです。今回の「LA PA PARADISE」でそれぞれが自分の出すべき音を見つめ直したように、僕らがどんな音楽を鳴らしたいのか、僕はギターを使って何を表現したいのか、おそらく生涯にわたって考え続けていくんだと思います。
──すでにキャリアも年齢も重ねているバンドだからこそ出てくる言葉ですね。すごく共感できます。
酒井 30歳を超えると価値観がどんどん変わってくるのがわかるんですよね。大事だったものに対する考え方とか。大事な人が死んだときのことを考えるようになっちゃったりして。
──すごくわかります。
真行寺 ソウルな感じのインタビューになってきてる。最後に有希がしっかり締めてよ。
田邊 この流れで(笑)。
──お願いします。
田邊 実は僕、今までインタビューをしていただいて将来の夢とか今後のことを聞かれたときにうまく答えられなかったんです。照れていたからなのか、将来のことが見えていなかったからなのかよくわからないんですけど、今はハッキリとBRADIOってバンドを自慢してもらえるような存在にしていきたいという気持ちがあって。僕らメンバーだけじゃなくて、スタッフの方、今日インタビューしてくださった方、それからファンの方みんなが胸を張ってBRADIOのことを紹介できるようにならなきゃいけない。もちろん大きなステージに立ちたいとか、もっとたくさんの人に観てもらいたいとかそういう目標もありますけど、根本的なスタンスとしてはBRADIOに携わってくれた人がみんな誇れるような、そんな存在になっていきたいと思っています。
- BRADIO「LA PA PARADISE」
- 2017年10月11日発売 / Warner Music Japan
- CD収録曲
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- LA PA PARADISE
- Baddest
- LA PA PARADISE(HIDDEN AFRO ver.)
- Baddest(HIDDEN AFRO ver.)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「LA PA PARADISE」ミュージックビデオ・メイキング映像
- BRADIO「BRADIO LIVE at 中野サンプラザ-FREEDOM tour 2017-」
- 2017年10月4日発売 / HERO MUSIC ENTERTAINMENT
- 収録曲
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- 彼女ハリケーン
- Flyers
- HOTELエイリアン
- Super Wonderful
- -Freedom-
- Step In Time
- Overnight Superstar
- 蝙蝠
- You Make Me Feel Brand New
- 思い通りにならない世界
- Ride On Time
- KAMISAMA
- Get Money
- ギフト
- Playback
- Golden Liar
- Revolution
- スパイシーマドンナ
- Back To The Funk
- All I Need Is You
- Colors
- 特典映像
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- 「FREEDOM tour 2017」ツアーオフショット
- BRADIO(ブラディオ)
- 真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)、田邊有希(Dr)の4人からなる“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに活動するロックバンド。多彩なビートを生み出すリズム隊を軸にしたサウンドや、シャウトやファルセットを使い分ける個性的なボーカルが話題を呼ぶ。2013年10月に1stミニアルバム「DIAMOND POPS」をリリース。2014年には「TREASURE05X」や「イナズマロック フェス」といったライブイベントにも出演した。2017年1月には2ndフルアルバム「FREEDOM」を発表。同年10月4日にはワンマンツアー「FREEDOM tour 2017」の最終公演の模様を収めたライブBlu-ray / DVD「BRADIO LIVE at 中野サンプラザ-FREEDOM tour 2017-」をリリースする。また10月11日にはWarner Music Japanよりシングル「LA PA PARADISE」を発表し、メジャーデビューを果たす。
- Tom-H@ck(トムハック)
- サウンドクリエイター、プロデューサー。2009年に放送がスタートしたアニメ「けいおん!!」の楽曲を手がけ、注目を集める。作編曲家としてT.M.Revolution、でんぱ組.inc、ももいろクローバーZ、清 竜人25、SuG、ロッカジャポニカ、LiSA、マジカル・パンチライン、UROBOROSといったアーティストの楽曲制作に携わっているほか、映画やアニメなどの劇伴音楽なども多数手がけている。またOxT、MYTH & ROIDとして自身もアーティストとして活動している。2016年5月に総合エンタテインメント会社・TaWaRaを設立。TaWaRaではサウンドのみならずエンタテインメント事業全体のプロデューサーを務める。