歌のことでめちゃくちゃ悩んだ

金澤　今後、どういう人に自分の曲を聴いてほしいですか？ 聴いてくれるなら誰でもいいのか、それとも特定の誰かに届けたいという思いがあるのか。

みき　うーん。私はずっと自分のためにしか歌えてなくて、応援ソングも自分に対して書いてるんですよ。私ががんばってもがいている姿を見た誰かが「自分もかんばろう」と思ってくれたらいいのかなと。自分はみんなに憧れられるカッコいいアーティストではないし、何かに特化しているわけでもないし、普通の高校生活を送ってきた普通の女の子だと思ってるんです。そんな私でも一生懸命がんばればワンマンライブができて、CDも出せるんだということを示して、聴いてくれる人の背中を押せたらいいなと考えてます。

金澤　でも曲を聴いていると、歌っていることの奥に強いものがある気がするし、そこに今までの経験がちゃんと表れているのかなと思います。あと等身大の曲を書いていると、昔作った曲を歌えなくなることがあると思うんですが、その問題に対してはどう対峙しているんですか？

みき　私、もうすでに高校生のときに作った歌をこの先歌えるのかなと感じることがあるんですよ。だから、長く活動していて昔の曲を歌っている方たちってホントにすごいと思います。でもこの間のワンマンで、高校生のときに作った曲を今の自分として歌うとまた別のよさが出るんだなと感じて、この先歌えなくなることはないのかなという結論になりました。私の曲は日記のような内容になっているので、歌いながら自分でも懐かしいと思いつつ、そのときのことを思い出せるんです。

金澤　ほかのアーティストよりも、瞬間の切り取り方がすごくソリッドですよね。7月23日にはデジタルシングル「ぼくにとってのヒーロー」がリリースされますが、作品を発表するにつれて歌い方がだんだん変わってますよね？

みき　私、歌のことでめちゃくちゃ悩んだんですよ。私の声について好きと言ってくれる人も多くて、自分でも好きだったんですけど、この1年くらいすごく嫌いになって。こんなことを言うと私のことを好きでいてくれる人に失礼だと思いますが、コンプレックスというか、「もっとこういう声だったらよかったのに」とか考えちゃって、思い描いている声が出せないという壁にぶつかったんです。実は47都道府県ツアーを経て歌い方が変わったんですけど、2ndミニアルバムはその最中に作って、レコーディングにすごく時間がかかって。変化した声を受け入れるかどうかで葛藤しました。

金澤　僕は最新の曲になるにつれ、いい変化が起きていると思いましたよ。この先さらにいい感じに変化していくんだろうなというイメージも湧きました。

みき　ホントですか!? よかったです。

音楽の楽しさに改めて気付いた「ぼくにとってのヒーロー」

金澤　「ぼくにとってのヒーロー」がどういう曲か、紹介してもらってもいいですか？

みき　「ぼくにとってのヒーロー」はGAKUさんという方と共作した曲なんですけど、これまでは人と曲を一緒に作ることは避けてきていたんです。曲について何か言われるとイライラしちゃって、すごく嫌で。

金澤　あるあるですね（笑）。

みき　でも、今回共作してみたらそういう思いにはならなくて、何か言ってもらって、曲を直していったほうがよりよいものができるということを知りました。音楽の幅が広がっていくことも楽しくて、「あっ、音楽って楽しむものなんだ」ということにも改めて気付けました。GAKUさんにギターを弾いてもらって、そこに私がメロディを乗せていくというやり方で曲を作っていって。

金澤　今までとは違う自分が出てきたんですね。

みき　あと、歌詞に関しては過去イチ直しました。もっと伝わる歌詞にしたくて、最終的にこの形になりました。

金澤　そうなんですね。リリース日である7月23日の“なつみの日”には「第一回みきなつ祭り」を開催するそうですが、これはどういうイベントなんですか？

みき　小さい箱でやるスペシャルライブなんですけど、いずれは「みきなつ祭り」をもっと規模の大きなものにしたくて、タイトルに「第一回」と付けています。

金澤　これからどんどん続いていくといいですね。

みき　はい。11月からは初の東名阪ツアーが開催されるので、それも楽しみです。