NOW ON AIR「RAINBOW'S BOX」
2019年7月17日発売 / バンダイナムコアーツ
フレッシュなエネルギーを届ける6色の多彩な歌声
文 / 田中大
6人組声優ユニット・NOW ON AIRは、歌声のフォーメーションがとても多彩だ。ユニゾン、ソロ歌唱、ハモりを絶妙なポイントで切り替えて、さまざまな色合いを曲に添えていく。特にユニゾンの豊かな質感は、注目すべき要素だと言えるだろう。
一斉に同じメロディを歌うユニゾンは、“複数の歌声の無難な平均点”というような平板な印象につながることもあり得るが、彼女たちの曲に関しては、この現象は起こっていない。6人の歌声が調和を保ちつつも、互いの魅力がほどよいバランスで際立ち合っている。メンバー各々が歌声に込めている思いが自然な質感で伝わり、美しい共鳴も生まれているという点で、彼女たちのユニゾンはハーモニー的でもあると言っても過言ではないように思う。
このような“もう1つのハーモニー”も手にしているNOW ON AIRが、1stフルアルバム「RAINBOW'S BOX」を完成させた。2016年に開催された「キミコエ・オーディション」の合格者で結成されて以来、約3年間にわたる活動の中で磨かれた実力が存分に伝わってくる作品だ。これまでにリリースした3枚のシングルのタイトル曲「この声が届きますように」「キボウノカケラ」「わたし的Progress」を並べて聴くと、デビュー時から完成度が高かった歌が、一層みずみずしく輝くようになっていることがよくわかる。歌声のフォーメーションの多彩さに関しては、新曲「RAINBOW'S HIGHWAY」が、とても心地よい仕上がりだ。そして、メンバーが作詞を手がけた5曲が収録されているのも楽しい。神戸光歩が作詞と歌唱、鈴木陽斗実が歌唱とクラリネット演奏を担当している「星影の在り処」は、ラブソングのようでありながらも、じっくり向き合うと、NOW ON AIRのメンバー同士の関係性を描いていることにおのずと気付かされる。先述した“もう1つのハーモニー”が生まれている背景も想像できる曲だ。
メンバーたちは各々、声優としても着々と活躍の場を広げている。充実した日々と、積み重ねている無数の経験は、NOW ON AIRの歌にも、ますます反映されていくことになるだろう。彼女たちの一層の進化への期待を掻き立てるという点でも、今作は1stフルアルバムとしてこの上ない。フレッシュで力強いエネルギーを、多くのリスナーが体感するはずだ。
初回限定盤 [CD+Blu-ray]
4320円 / LACA-35781
通常盤 [CD]
3240円 / LACA-15781
- CD収録曲
-
- Overture(Inst)
- RAINBOW'S HIGHWAY
- Starting Station
- 純情 Phantom thief
- 星影の在り処
- キボウノカケラ
- Light escape
- ツヅクココロハ
- わたし的Progress
- 瞳の勇気
- この声が届きますように
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
-
- この声が届きますように Music Video
- 風が吹いた Music Video
- キボウノカケラ Music Video
- わたし的Progress Music Video
- RAINBOW'S HIGHWAY Music Video
- RAINBOW'S HIGHWAY Making
- RAINBOW'S HIGHWAY DANCE Ver.
- NOW ON AIR(ナウオンエアー)
- 2016年に開催された「キミコエ・オーディション」の合格者である飯野美紗子、岩淵桃音、片平美那、神戸光歩、鈴木陽斗実、田中有紀からなる声優ユニット。2016年3月に、劇場版アニメ「きみの声をとどけたい」のイメージソングとなった「この声が届きますように」でデビューを果たす。2017年8月には同映画のエンディング主題歌「キボウノカケラ」を2ndシングルとしてリリースした。2018年12月に、結城アイラをサウンドプロデューサーに迎えた3rdシングル「わたし的Progress」を発売。これらのシングル曲を網羅した1stアルバム「RAINBOW'S BOX」を2019年7月にリリースした。同年8月に東京・吉祥寺CLUB SEATAで、デビュー3周年記念ライブ「3周年 1st 'FULL' LIVE~RIDE ON!~」を開催する。
2019年7月30日更新