wacci「別の人の彼女になったよ」
2018年8月22日配信開始 / EPICレコードジャパン
今再びバズる「別の人の彼女になったよ」のトリセツ
文 / 辛酸なめ子
「wacci」のミュージックビデオを続けて3曲くらい聴いていると、感動モードに入ってちょっとしたことでも泣けるようになってきます。MVに出てくるきれいなひまわり、子どもたちの笑顔、じゃれ合う男子高生、etc……。こんなに日常に感動や祝福が潜んでいたんだ、ということを気付かせてくれるwacciの楽曲。笑顔で演奏しているメンバーを見ると絶対この人たちはいい人だと確信させられ信頼度が高まります。
「別の人の彼女になったよ」はSNSで話題になりヒットした名曲。1年前の曲ですが、YouTubeのコメント欄はいまだに盛り上がっていて、テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」で「いしわたり淳治氏が選ぶ2018年のマイベスト10曲」にも選出され、再びバズりを見せています。こちらの曲はタイトルからして感動のフラグが立っていて、出だしからもう涙腺が刺激されます。ボーカル&ギターの橋口洋平氏のセルフライナーノーツには「忘れられない恋愛より自分のための恋愛を選んだ人の少しだけ後ろを振り返る歌です」と書かれていますが、西野カナの「トリセツ」のような具体性がありながらも、さらに複雑で深遠な女心を歌っていて、男性がこの曲を書いたというのも驚異的です。
MVでは、少年っぽい元彼と無邪気に戯れるシーンが流れていました。海辺で散歩したり一緒にソフトクリーム食べたり、彼が側転する姿を見て笑ったり、すっぴんで一緒にハミガキしたり……。楽しかったあの頃と対比するように、「別の人」、今彼についての歌詞が歌われます。キャッチーに見えて、口ずさもうとするとけっこう難しいメロディは、複雑な女心を表しているようです。今の彼は、大人で余裕があり、クールで、どんなことにも詳しくて尊敬できて、正しいことしか言わない。夢や希望を語らず現実的。そんな理性的な今彼の前では、前のように自分を出せず、おとなしくしているという彼女。おそらく新しい彼は経済力も高そうです。若干モラハラ気質の予兆も……。彼女は経済的には満たされても心はどこか満たされない……そして前彼に連絡を取りたくなっている、というストーリー。愛を取るかお金を取るか、という永遠の命題を、重くなりすぎず、身近に感じられる曲として表現していて、そんな経験がなくても自分のことのように思えるから不思議です。
この曲が好きだとつぶやいたり、実際に前彼にリンクを送ったりしたら、こちらから電話せずとも即連絡が来そうです。よりを戻したいときのツールとしても使える曲です。
- 収録曲
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- 別の人の彼女になったよ
- 各サブスクリプションサービスで、wacci「別の人の彼女になったよ」を聴く
- wacci(ワッチ)
- 橋口洋平(Vo, G)、村中慧慈(G)、小野裕基(B)、横山祐介(Dr)、因幡始(Key)の5人からなるバンド。2009年12月に橋口を中心に結成し、2010年4月に1stミニアルバム「ありがとう」をリリースする。2012年4月にFMヨコハマにてレギュラー生放送番組「YOKOHAMA RADIO APARTMENT wacci ドア開いてます!」をスタート。同年11月にミニアルバム「ウィークリー・ウィークデイ」でメジャーデビューを果たす。2014年12月に、テレビアニメ「四月は君の嘘」のエンディングテーマとして注目を集めた「キラメキ」をシングルリリース。翌2015年9月にはTBS系ドラマ「37.5℃の涙」の主題歌「大丈夫」を発売した。2016年8月に1stフルアルバム「日常ドラマチック」、翌2017年8月に2ndアルバム「感情百景」をリリース。2018年7月から4カ月連続で“泣ける”配信シングルを発表し、8月に第2弾として「別の人の彼女になったよ」をリリースした。2019年10月から2度目となる47都道府県ツアーを実施。さらに2019年12月に結成10周年を迎えることを記念し、11月29日に神奈川・横浜関内ホールで「wacci 10th Anniversary Special LIVE」を開催する。
2019年7月24日更新