赤頬思春期「RED PLANET(JAPAN EDITION)」
2019年6月5日発売 / KING RECORDS
「このピュアさを信じたい」が今の韓国の気分
文 / 宮崎敬太
赤頬思春期(BOL4、ボルサ)は23歳のアン・ジヨン(Vo)とウ・ジユン(G)のデュオ。もともと高校の同級生で、路上ライブや学園祭、さらにさまざまな公開オーディション番組にも出演して切磋琢磨してきた。そのせいか、彼女たちの歌唱&演奏技術は非常に高い。活動の転機になったのは、2014年のドラマ「ミセン -未生-」のオリジナルサウンドトラックへの参加。同作の大ヒットを受けて、彼女たちの知名度も飛躍的に高まった。
ボルサの特徴は、アン・ジヨンの声だ。繊細なようで力強く、かわいらしいようで凛としている。感情の複雑な起伏が表現できる彼女の声は、ドラマの中でも強烈なインパクトを残した。今回の「RED PLANET(JAPAN EDITION)」は、2人の代表曲を日本語で歌った作品。オーセンティックなアコースティックサウンドをベースに、ソウルの要素を取り入れた楽曲が多い。また日本語バージョンにも関わらず、オリジナルと遜色ないクオリティに仕上がっている点も特筆すべきだろう。
韓国の音楽というとまずアイドルを思い出すが、彼ら彼女らは世界中に強固なファンコミュニティを持つグローバルな存在だ。一方の赤頬思春期は、むしろ“普通の”韓国人から支持されている。“音源女王”という異名は、国内の配信サイトで驚異的なストリーミング数を記録したことから名付けられた。より韓国で親しまれている存在なのだ。ではなぜアイドルではなく彼女たちなのか?
いま韓国には「ヘル朝鮮」という若者や青年たちのネットスラングがある。「韓国は地獄のように生きづらい」。実際、失業率も自殺率も非常に高い。おそらく韓国の若者にとってボルサのピュアさは、忘れたくない、いや信じたい感覚なのだ。アイドルが歌う職業作家の言葉ではなく、23歳のリアル。そこに感情移入している。その意味では彼女たちの瑞々しさは日本でも響くはずだ。日本だって韓国に負けず劣らず生きづらいのだから。
初回限定盤 [CD+DVD]
3000円 / KICS-93803
通常盤 [CD]
2000円 / KICS-3803
- CD収録曲
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- 宇宙をあげる
- 好きだと言って
- 喧嘩した日
- You(=I)
- 意地悪
- 私だけダメな恋
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 宇宙をあげる(Music Video)
- 宇宙をあげる(MV Making Movie)
- 各サブスクリプションサービスで、赤頬思春期「RED PLANET(JAPAN EDITION)」を聴く
- 赤頬思春期(アカホオシシュンキ)
- アン・ジヨン(Vo)とウ・ジユン(G)が「思春期の記憶・残像」をテーマに自ら作詞・作曲・演奏を行うデュオ。そのクオリティの高さから“音源の女王”の異名を持つ。2016年4月に韓国でデビューハーフアルバム「RED ICKLE 、8月に1stフルアルバム「RED PLANET」をリリース。アルバムリード曲「Galaxy(宇宙をあげる)」が韓国内の総合音楽ランキングで1位を獲得するなど、そのほかさまざまな主要アワードで受賞を果たす。2017年9月に1stミニアルバム「Red Diary Page.1」、2018年5月に2ndミニアルバム「Red Diary Page.2」をそれぞれリリース。2019年6月5日に日本デビュー作となる「RED PLANET(JAPAN EDITION)」を発売した。
2019年7月8日更新