クレノア特集|楽曲自作の歌い手グループが結成4周年ライブで見せる新たな景色

4人組歌い手グループ・クレノアのワンマンライブ「CleeNoah 4th Anniversary Live ~四ノ葉爛漫物語~」が、6月8日に東京・Spotify O-EASTで行われる。

クレノアは2020年5月に結成された、しるばーな、まるぐり、しゃけみー、スタンガンの4人からなる歌い手グループ。しるばーなを中心に、メンバー自ら作詞、作曲、編曲を手がけている。音楽ナタリーではクレノアの結成4周年を記念した「CleeNoah 4th Anniversary Live ~四ノ葉爛漫物語~」の開催に際してメンバーにインタビューし、結成の経緯や4周年記念ワンマンに向けた意気込みを聞いた。

取材・文 / ナカニシキュウ

ライブ情報

CleeNoah 4th Anniversary Live ~四ノ葉爛漫物語~

2024年6月8日(土)東京都 Spotify O-EAST
[明ノ章]OPEN 12:45 / START 13:30
[宵ノ章]OPEN 17:00 / START 17:45

“歌ってみた”がなければ歌い手にならなかった

──音楽ナタリー初登場ということで、今日は皆さんのこれまでの歩みを振り返っていただこうと思っています。

しるばーな 了解しました! よろしくお願いします!

──まずは4人がそれぞれ歌い手になった経緯から教えてください。

しゃけみー めちゃくちゃ振り返りますねえ。

スタンガン では僕から。そもそも歌自体は、高校生の頃にカラオケで友達に褒められて「お、自分イケんのかな?」と思って歌い始めました。そのあと高校卒業後に音響の専門学校に進学したんですけど、途中で辞めてインターネットにどっぷり漬かりまして(笑)。で、気付いたら歌い手をやってました。

──ちなみにどういう音楽を好きで聴いていました?

スタンガン 邦ロックですかね。あとはアニソンも好きです。最初の頃は強い声質のボーカルを志向していたんですけど、10数年やってきて思うのは、人には向き不向きがあるんだなということで。

まるぐり 強い声質にはなれなかった(笑)。

スタンガン そう(笑)。昔はもっと力任せに歌っていた気がするんですけど、もともとあまり強い声質ではないので、今はもっと自分に合う歌を歌っていこうという考えに変わってきました。

スタンガン

スタンガン

しゃけみー 僕も昔から邦ロック系が好きで、高校のときに軽音楽部に入ったのが音楽活動のきっかけではあるんですけど、そこまで音楽というものを突き詰めてやっていたわけでもなくて。卒業後は特に音楽活動はやっていなかったんですが、その頃……2010年とか11年くらいですかね。“歌ってみた”という文化が始まって何年か経ったくらいのタイミングだったんですよ。それを知って、いわゆる「プロでもなんでもない一般の人が好きに歌ってネットで発表できる」という世界がすごくいいなと思って、自分でもやってみたいなと思ったのがきっかけでした。

スタンガン そうなんだよね。機材とかも「Skype用マイクで録れちゃうんだ」みたいなノリだったし。

まるぐり そうそう。何万円もするような高価な機材をそろえなくても、普段ネトゲで使ってるマイクをそのまま流用できるのは驚きだったし、そのおかげで気軽に始められましたね。

しゃけみー その頃は“歌ってみた”も世間に浸透してきていたので、けっこうネット上にノウハウがたくさん書かれてたんですよ。そういうのを見ながら手探りで始めて。

まるぐり 僕もそういう感じです。ネットの世界に足を踏み入れたのは音楽ではなくネトゲだったんですけど、そのゲーム仲間からニコニコ動画を教えてもらいまして。そこで“歌ってみた”と出会って、見よう見まねでやってみたら“オケに合わせて自分が歌っている音源”ができあがったわけですよ。そのことにものすごい感動を覚えて、「せっかく作ったんだから投稿してみよう」と思ったことが始まりでした。

まるぐり

まるぐり

しるばーな 僕だけほかの3人とはちょっと入り方が違っていまして……もともと多趣味だったんです。ゲームが好きだったり、パン作りが好きだったり……。

しゃけみー パン作りは初耳なんだけど(笑)。

しるばーな その中の1つに“マンガのキャラのセリフをマネして録音する”というものがありまして。その趣味がどんどんエスカレートしていって、BGMを流しながら雰囲気を作って録音するようになり、その作業をDAWでやるようになり……そのDAWで作ったボイスドラマをネットに投稿してみようと思ったときに、世間を見渡してみたら“歌ってみた”がすごく流行っていたんですよ。読み上げたセリフを投稿する文化はあまり活発ではなかったので、「じゃあ何か歌ってみようかな」と切り替えたのがきっかけでしたね。

──なんだか声優さんの過去エピソードみたいに聞こえますね。

しゃけみー 確かに(笑)。趣味でセリフを録ってたような人は普通、声優さんになりますよね。

しるばーな 実際、声優さんになりたいと思っていた時期もあったんですよ。たまたま“歌ってみた”が流行っていなかったら、僕は歌い手になっていなかった可能性が大きいと思います。

メンバー3人への感謝をつづった曲

──そんな4人の歌い手が集まってグループを結成することになるわけですが、それはどういう経緯で?

しゃけみー 始まりはスタンガンからですね。

スタンガン ネット上では、歌い手のコミュニティが自然とできていくんですよ。Twitter(現X)とか、当時だとSkypeでつながることが多かったんですけど、そこでまるぐりとは以前からバカみたいな話をよくしていたんです(笑)。そのコミュニティが広がっていく中で、「すごい歌を歌う人がいるなあ」とフォローしたのがしゃけみー、友達の友達経由で知り合ったのがしるばーなで。そこからいろいろ関わるようになっていって、「4人のコラボで“歌ってみた”動画を上げよう」と声をかけたのが最初です。最初はあれだよね、浦島坂田船さん。

しゃけみー そうそう。

スタンガン 浦島坂田船さんもちょうど4人組なので、4人でカバーしてみようよって。

しゃけみー だから最初はグループを組むという話じゃなくて、単に「仲のいい4人で“歌ってみた”動画を撮ろうよ」という感じで。

スタンガン 今でこそたくさんの歌い手グループがいますけど、当時はあまりグループを組んで活動する文化がなかったんです。

──そこから「名前を付けて明確にグループとして活動していこう」となったのはどういう流れで?

スタンガン 僕が1人ひとりに熱烈アプローチしまして(笑)。それまでも4人の名前を取って「しるぐりしゃけんがん」と名乗ったりはしていたんですけど……。

まるぐり 4人での動画を発表するのはだいたい年1本くらいのペースだったよね。

しゃけみー その当時は各々、ほかに力を入れている活動があったんですよ。それが2019年くらいのタイミングで、ちょうど4人ともやっていたことが落ち着く時期がありまして。そこで心機一転というような形で……。

スタンガン グループ名をちゃんと決めて、本腰入れてやっていくのもいいんじゃないかと。

──ちなみにクレノアという名前はどうやって決めたんですか?

スタンガン しゃけみーが考えてくれたよね。

しゃけみー そうですね。造語なんですけど、4人組なので四つ葉のクローバーをモチーフにしようということで。「クレ」はクローバーから取って、「ノア」は人。“エゴサーチで被らない言葉”というのも念頭にはあったので、少なくとも界隈で使われていない名前がいいなと思って造語にしました。

クレノアのロゴ。

クレノアのロゴ。

──実際にグループ名が決まると、皆さんの意識にも何かしら変化があったんじゃないでしょうか。

しゃけみー 自分の中での第一優先事項がクレノアに変わりましたね。個人で何かをするうえでも、常にクレノアのためになるかどうかを判断基準にするようになったというか。やっぱりグループを組んだからにはクレノアとして上まで行ってやろうという野心があるので。

まるぐり たぶん、一番意識が変わったのは僕だと思います。僕から見ると3人はすでに歌い手としての活動に本腰を入れている印象があったんですけど、それに対して僕は仕事一筋みたいな感じで、もう歌い手界隈を離れようかとすら思っていたんですよ。そこをスタンガンから熱烈アプローチしてもらって(笑)、「じゃあやってみよう」と。

しるばーな 僕もちょっとそれに近いものがありましたね。もう歌い手はやめて裏方に回ろうと思っていた時期があったんですけど、それを止めてくれたのがスタンガンだったんですよ。どちらかというと裏にこもって何かを作るほうが向いていると思ってたんです。でもみんなが、このグループに演者として必要だと言ってくれた。クレノアというグループ名が付いたことで「自分も演者としてやっていくぞ」という気持ちが固まった、進むべき方向が定まった感じでしたね。

──全部いい話ですね。

しゃけみー 全部いい話ですよねえ。

しるばーな (笑)。グループを組んでから初めて書いたのが「約束のウィンクルム」という曲で、これは完全に僕からメンバー3人への感謝をつづった曲なんです。それが今や必ずライブの最後に歌うような、クレノアを代表する曲になって……いたらいいなって感じなんですけど(笑)。