飯田瑞規(cinema staff)×清水エイスケ(Age Factory)×井上竜馬(SHE'S)×エンドウアンリ(PELICAN FANCLUB)|鳴らしたい音楽を貫く純粋さ「シネマのキネマ」座談会

1曲だけで語ってほしくないし、語れない

──Age Factory、SHE'S、PELICAN FANCLUBは以前から交流があるんですよね?

井上 そうですね。Age Factoryとはエイスケが高校生のときに対バンしてます。

清水 高2のときかな。関西でちょくちょく対バンしているし、付き合いが一番長いのはSHE'Sですね。PELICAN FANCLUBとは今年の2月にパノラマパナマタウンと3組でツアーを回って。

──今回の4組はどれもロックシーンにおいて本流というよりは、カウンターを当てにいっているバンドでもあるのかなと。

飯田 そうですね。自分たちの鳴らしたい音楽を純粋に貫いてるバンドだと思います。こういうバンドがどんどん増えていけばもっとバンドシーンが面白くなるんじゃないかと感じていて。cinema staffのファンにこの3バンドを気に入ってもらえると思うし、3バンドのファンにもcinema staffの音楽に反応してもらえるはずです。

──それぞれがバンドとして一番に貫いているのはどんなことですか?

清水エイスケ(Age Factory)

清水 まず、流されないということ。自分たちがやりたい音楽だけをずっと鳴らし続けたいし、そのためにすべき努力があると思います。1枚の作品を作るときも邪念を自分たちの中から取り除いて、今何を表現したいかを明確にしています。それは活動のあり方もそうだし、対バン相手を選ぶときもそうですね。

飯田 サウンドだけではなく、どのバンドと対バンするかでバンドのスタンスがわかりますよね。cinema staffもそこを大事にしたいなと思ってます。

──SHE'Sはどうでしょう?

井上 メンバー全員の共通認識として、ピアノのサウンドを尊重しながらも、ピアノロックという枠にとらわれたくないというのが一番大きいです。矛盾してると思われるかもしれないけど、インディーズのときからピアノがセンターでありながらもアコギを取り入れた曲を作っていて。飯田さんがさっき例に挙げたピアノロックバンドはもちろん大好きだしルーツではあるので、ピアノロックバンド特有の美しさを提示したいと思いつつ、年齢を重ねるほど好きな音楽が多様になってきていて、今ルーツの異なるメンバーが4人集まって多面的な音楽を作ろうとしているのがすごく楽しいですね。最近はよりピアノロックにとらわれないようになってきてます。

飯田 第1回の「シネマのキネマ」でIvy to Fraudulent Gameのライブを観て思ったんですけど、今の若いお客さんにはポストロックやマスロック的なサウンドが新鮮に聴こえるんじゃないかな。それはSHE'Sのようにピアノロックがベースにありつつ、いろんなジャンルの要素を取り入れようとしているバンドのライブにも同じことが言えると思います。

──なるほど。PELICAN FANCLUBはライブで大事にしていることはありますか?

エンドウ 一番は日頃僕が感じている喜怒哀楽を歌で伝えることですね。例えば普段自分だけが何かに対して怒っている感情があったとして、それをライブで表現したときにお客さんの感情も揺さぶられて同じ気持ちになったり、バンドが見ている風景を一緒に見れるのが理想だと思っていて。そうやってステージとフロアで感情をぶつけ合うために音楽があることがライブのだいご味だと考えています。だから、一番大事にしたいのは歌ってる僕自身、そして一緒に演奏しているメンバーでもあります。

飯田 PELICAN FANCLUBもcinema staffも1曲だけだと魅力が伝わらないバンドなんじゃないかな。1曲だけで語ってほしくないし、語れないバンドだと思ってます。

4バンドとも大好きになって帰ってほしい

──今回はかなりバチバチしたイベントになりそうですね。

飯田 うん、今回は前回よりもバチバチしそうな気がします。

──実際、Age Factoryにはリベンジしようと思ってるわけですし。

飯田 そうですね、次は勝ちます。

エンドウ 彼(清水)はうなずくだけという(笑)。

清水 いやいや、ここで何か言ったら俺が上から目線みたいになるじゃないですか(笑)。でも、ライブは勝ち負けじゃないですからね。内心「自分たちが勝ったな」って満足感を全バンドが得られるくらいのライブができるのがベストだと思います。

飯田 勝ち負けではないかもしれないと思ってる一方、勝ち負けでもあると僕は思っています。いいライブって演奏がうまくできて当然で、そこに加えてその日にしかない熱量を出せるかどうかだと思うんですが、僕がAge Factoryの対バンで負けたと感じたのはその部分ですね。

エンドウアンリ(PELICAN FANCLUB)

エンドウ 数年前の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」でcinema staffを観てたら、ギターのアルペジオと歌でライブが始まったんですね。そのときによくわらない感情になるくらい感動して、そんで声出すくらい笑っちゃって。

飯田 めちゃくちゃうれしいね。

エンドウ その感覚はAge FactoryとSHE'Sのライブを観ていてもあるんですよ。Age Factoryとは最近よく対バンするんですけど、爆笑しちゃう。この人(清水)、ステージ上でめちゃくちゃキレてるんですよ。

清水 何回も言ってるけど、俺はキレてないって(笑)。「なんであんなブチギレてたん?」って言ってくるんですよ。俺は楽しくライブをやってるだけなのに。とにかく無心で楽しくライブをやってるのが逆にキレてるように見えたのかもしれないですね。

エンドウ SHE'Sは竜馬くんがこんなに甘いルックスなのに曲を聴いたらすごく熱いし、ステージ上ではめっちゃ汗をかいてて、そのギャップに憧れる。

飯田 そうなんだよね。

エンドウ あのギャップは狙ってるでしょ?

井上 狙ってないよ(笑)。

清水 竜馬くんは出会ったときからギャップのプロですよ。

井上 面白いことが好きというのが根底にあるから、MCでしゃべることに関しては見た目とギャップがあるかもしれないけど、汗をかくのは生理現象やん。暑いから汗かくねん(笑)。ただ、熱量がすべてじゃないという思いがありつつも、ライブは心が震える瞬間にしか生まれない熱量に満ちた場所だと思うので。そこは大事にしたいですよね。

──最後に「シネマのキネマ」当日に向けた思いの丈をそれぞれひと言ずつください。

エンドウ 感情的に、そして全力で演奏できたらいいなって思います。自分たちも我慢しないので、お客さんも我慢しないで音楽に感情をぶつけてほしいですね。

井上竜馬(SHE'S)

井上 今回のメンツを聞いたときからどういうライブをしようか考えてたんですけど、音楽的には僕らが一際明るいところで鳴っていると感じていて。メロディ的にもJ-POPに近い部分があるし、正直ライブで音の砲弾を飛ばす爆発力はほかの3バンドには勝てへんと思うんですよね。だから、エンタテインメント性というところでほかの3バンドを出し抜きたいです。

飯田 それはそれでズルいですよね(笑)。そうやって戦おうとしているのが驚異的だし、カッコいいと思う。

清水 僕はいつも通りその場を壊していくようなライブをしたいと思います。ライブはそれぞれのバンドが最高だと思っていることを貫けば絶対にいいイベントになるので。あとは当然、打ち上げも壊していきたいです。

井上 それが一番怖いわ(笑)。

飯田 この22歳め(笑)。僕らもいつも通りその日にしかできないライブをするのはもちろん、前の3バンドのライブをガッツリ観て臨みたいと思いますね。来てくれるお客さんには4バンドとも大好きになって帰ってほしいという気持ちが強いです。

cinema staff 自主企画「シネマのキネマ」

2017年5月19日(金)東京都 東京キネマ倶楽部

<出演者>
cinema staff / Age Factory / SHE'S / PELICAN FANCLUB

cinema staff「熱源」
2017年5月17日発売 / ポニーキャニオン
cinema staff「熱源」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4104円 / PCCA-04537

Amazon.co.jp

cinema staff「熱源」通常盤

通常盤 [CD]
2808円 / PCCA-04538

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CD収録曲
  1. 熱源
  2. 返して
  3. pulse
  4. souvenir
  5. メーヴェの帰還
  6. 波動
  7. el golazo
  8. diggin'
  9. エゴ
  10. 僕たち
初回限定盤DVD収録内容
  • 前衛懐古主義 part1 東京編@2016.10.17 LIQUIDROOM
  • 「エゴ」Music Video
  • 「返して」Music Video
  • 「ビハインド」Music Video
  • 「pulse」Music Video Document
cinema staff(シネマスタッフ)
cinema staff
飯田瑞規(Vo, G)、辻友貴(G)、三島想平(B)、久野洋平(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に飯田、三島、辻が前身バンドを結成し、2006年に久野が加入して現在の編成となる。愛知、岐阜を拠点にしたライブ活動を経て、2008年11月に1stミニアルバム「document」をリリース。アグレッシブなギターサウンドを前面に打ち出したバンドアンサンブルと、繊細かつメロディアスなボーカルで着実に人気を高めていく。2012年6月にメジャーデビュー作「into the green」を、2013年5月にメジャー1stフルアルバム「望郷」を発表した。同年8月、テレビアニメ「進撃の巨人」の後期エンディングテーマに提供した「great escape」がスマッシュヒットを記録。同曲を含むニューアルバム「Drums,Bass,2(to)Guitars」を2014年4月にリリースした。2016年5月にはプロデューサーに江口亮を迎えた5thアルバム「eve」を発売。同年11月に新作音源「Vektor E.P.」を発表し、自主企画イベント「シネマのキネマ」の第1回公演を開催した。2017年5月に6thアルバム「熱源」をリリースする。
Age Factory(エイジファクトリー)
Age Factory
清水エイスケ(Vo, G)、西口直人(B)、増子央人(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。2010年4月の結成以来、地元の奈良を中心に全国で年間100本近くのライブを重ねてきた。2014年12月にデビューミニアルバム「手を振る」、2015年9月に「NOHARA」を発売。2016年10月に、LOSTAGEの五味岳久をプロデューサーに迎え1stフルアルバム「LOVE」を発表した。2017年1月には初のワンマンツアー「MY WAR」、4月には自主企画ライブ「EGUMI」を開催。7月に新作ミニアルバム「RIVER」をリリースする。
SHE'S(シーズ)
SHE'S
2011年に結成された、井上竜馬(Vo, Key, G)、服部栞汰(G)、広瀬臣吾(B)、木村雅人(Dr)からなる大阪発の4人組ピアノロックバンド。全作品のソングライティングを担う井上が奏でるピアノをセンターに据え、エモーショナルなロックサウンドからバラードソングまで壮大なスケール感を生み出す。2012年に「閃光ライオット2012」でファイナリストに選出され注目を集めた。インディーズ時代に3枚のミニアルバムを発表したのち、2016年6月にメジャーデビュー作「Morning Glow」でiTunes総合アルバムチャート1位を獲得。2017年1月には初のフルアルバム「プルーストと花束」をリリースしApple Music「今週のNEW ARTIST」に選出されたほか、本作の発売に伴い開催したワンマンツアーではファイナルの東京・赤坂BLITZ公演を含む全10公演を完売させた。6月に新作ミニアルバム「Awakening」をリリースし、今秋にはストリングスを従えた初のホールツアーを開催する。
PELICAN FANCLUB(ペリカンファンクラブ)
PELICAN FANCLUB
2012年に結成された4人組ロックバンド。現在はエンドウアンリ(Vo, G)、カミヤマリョウタツ(B)、クルマダヤスフミ(G)、シミズヒロフミ(Dr)で活動している。2014年10月にタワーレコード限定で100円シングル「Capsule Hotel」をリリースし、耳の早い音楽ファンから大きな話題を集めた。2015年1月に1stミニアルバム「ANALOG」を発表。8月にUK.PROJECT内のレーベルDAIZAWA RECORDSよりアルバム「PELICAN FANCLUB」をリリースし、同作の発売を記念した全国ツアーのファイナル公演を11月に東京・WWWにて行った。2017年2月にはAge Factory、パノラマパナマタウンと共に「GREAT TRIANGLE TOUR 2017」を行い、全国6カ所を回る。5月に1stフルアルバム「Home Electronics」を発表し、6月から東名阪でのワンマンライブを含む全国ツアー「PELICAN FANCLUB TOUR 2017 "Electronic Store"」を開催する。