いざ音源を聴いてみると、仕上がっていたのは「望郷」の曲だった

──そして今回、「great escape」のカップリングにツアーファイナルとなった渋谷CLUB QUATTRO公演のライブ音源が収録されます。ライブを行ってから1カ月ちょっとで音源化ってすごいことですよね。

三島　これはもうスタッフの努力の賜物ですね。エンジニアさんとディレクターさんがずっと徹夜で作業してくれて、シングル発売までになんとか間に合わせてくれた。そこはすごく感謝してます。

──シングルには6曲のライブ音源が収録されてますけども、当日のライブの流れをうまく凝縮した選曲、構成になっています。例えばライブ開始からの盛り上げ、終盤に向けての攻める感じ、アンコールでゲストを迎えて演奏した「溶けない氷」と、記録としてもすごくいいものを残すことができましたね。

三島　ありがとうございます。ライブのポイントとなるこの6曲の出来がよかったのも大きいですね。

──6曲中5曲が「望郷」からの楽曲ですが、それはこのアルバムのツアーというのもあって？

三島　まあ「望郷」からの曲を中心に入れたいとは言ってたんですけど、出来がよければほかの曲も入れたいとは思ってたんです。でもいざライブ音源を聴いてみると、仕上がってたのは「望郷」の曲だったんですよ。自信を持って勧められる仕上がりですね、特にこれらの曲に関しては。

──6曲で33分というボリュームも、カップリングとしては破格ですよね。

三島　いやいやいや、もっと入れてるバンドもいますからね、1時間とか（笑）。

飯田　お得感が大きいので、気軽に買ってもらえたらうれしいですね。

──でもこのシングルは、「great escape」という曲でcinema staffに興味を持った人には、バンドの多面性を知ってもらうという意味で打ってつけの内容だと思いますよ。

三島　そうですね。今回は特にアニメファン、「進撃の巨人」ファンの方がシングルを手にする機会が多いと思うんです。これを聴けば僕らみたいなバンドのライブに来たことがない人にも雰囲気は伝わるかな。

普段と違う層のお客さんの前でライブをするのも大事だと実感

──cinema staffはLinked Horizonのイベント（Linked Horizon トーク＆ライブイベント「自由への進撃」）にも出演しましたけど、お客さんのリアクションは自分たちのお客さんを前にしたときと違いを感じましたか？

三島　全然違いましたよ。

飯田　最初は不安もあったんですけど、皆さん温かく迎えてくれて。ちゃんと演奏を聴いてくれてましたし、ノッてくれてる方もたくさんいました。

三島　リアクションが早いんですよ。イベント全体を楽しみに来てるというか、最初から最後まで全部楽しもうっていうスタンスで観てくれてたのがすごくよかったんじゃないかな。アイドルのイベントにも通じるものがありますよね。

飯田　前にでんぱ組.incやBiSと一緒にライブをやらせてもらったとき（今年4月7日、東京・日比谷野外大音楽堂で行われたイベント「カオスフェス 2013」）も、彼女たちのお客さんは僕らの曲にもすぐに振りを付けてくれましたからね。しかもほんの一瞬で。

──それって純粋に「いい」と思ったものに対するリアクションなんでしょうね。

三島　そうだと思います。

久野　お客さんのリアクションがいいと、ライブの物販でCDがすごく売れて。僕たちの音楽をちゃんと吸収しようとしてくれる感じがダイレクトに伝わりますね。普段と違う層のお客さんの前でライブをするのも大事なんだなって実感したし、まだ僕らの音楽を待っていてくれる人がどこかにいるんだ、ほかにも求められている場所があるんだって思いました。

──「進撃の巨人」効果もあって、「great escape」がリリースされたらその“求めてくれる人”の層はさらに広がると思うんです。ライブ音源を聴いて興味を持った人も、実際にライブに足を運んでくれるかもしれないですし。

三島　そう思わせたいですよね。

飯田　絶対にそうであってほしい。

──この夏はさまざまなロックフェスやイベントに出演しますが、そういう場で「great escape」を演奏することも今後につながる大きな一歩になると思いますよ。

飯田　そうですね。絶対に毎回演奏しますんで。「great escape」はこの先相当演奏することになると思うし、ずっとやっていきたいと思えるいい曲になったんで本当によかったなと思ってます。