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「進撃の巨人」諫山創と同世代対談

cinema staffのニューシングル「great escape」がリリースされた。表題曲は話題のテレビアニメ「進撃の巨人」の後期エンディングテーマとしてオンエア中。エモーショナルで疾走感のあるcinemaサウンドと、「進撃の巨人」が持つ独特の世界観が見事にマッチしており、アニメファンをはじめ幅広い層から好評を博している。

ナタリーでは本作の発売を記念して、「進撃の巨人」の原作者・諫山創とcinema staffの対談を企画。メールでのやり取りはあったものの、実際に対面するのは今回が初めてという2組は最初こそ緊張した表情を見せたが、お互いの共通点を見い出すにつれて、同年代らしいリラックスした会話を交わしていった。

取材・文 / 岸野恵加 撮影 / 佐藤類

cinema staff×諫山創 対談

諫山先生は長友と同じ、僕たち世代のスター(三島)

──cinema staffと諫山さんが顔をあわせるのは、これが初めてということで。

左から久野洋平(Dr)、飯田瑞規(Vo, G)、三島想平(B)、辻友貴(G)、諫山創。

久野洋平(Dr) そうなんです。すごく緊張してます。

飯田瑞規(Vo, G) 諫山先生の出てる映像を、YouTubeで片っ端から観てシミュレーションしてきました(笑)。

諫山創 同世代のバンドマンとこうしてお話するのは初めてなので、僕もとても新鮮です。

──皆さん同世代ですよね。諫山さんが1986年生まれで、cinema staffの4人が1987年。

三島想平(B) はい。言ってみたら僕たちの世代のスターなんですよ、諫山先生は。

諫山 ええっ?

三島 本当に。(サッカー選手の)長友(佑都)とかと同じレベルだと思ってます。

諫山 いやいや……長友や本田(圭佑)とかって、同い年って聞いて「えっ!?」ってなりますよね。

飯田 先生に対してもみんなそう思ってますよ。

久野 今日ここに来る前に改めて先生のことを調べたら、「(年齢が)1個しか違わないんだ!」って衝撃でした。

諫山 いやいやいや……(笑)。

三島 先生みたいにやりたいことを貫き通して生きてる人ってすごくカッコいいですよ。自分もそうありたいって思います。

キリギリスになりたかった(諫山)

諫山 最近はあんまりなんですけど、15歳ぐらいのときは、僕もバンド系をちょっと聴いてました。ハイスタ(Hi-STANDARD)にハマってまして。

久野 僕も大好きです。ハイスタに憧れてバンドを始めたので。

諫山 そうなんですか。ほかにはどんな音楽がルーツなんですか?

三島想平(B)

三島 それぞれ微妙に違うんですけど。僕はもともとはJ-POPというか、ゆずですね。その後NUMBER GIRLを知って。

飯田 そこから洋楽も含めてオルタナティブロックにハマっていきました。

辻友貴(G) 久野以外の3人は同じ高校だったので、ひたすらCDを貸し合う毎日でした。逆に諫山先生は、どんなマンガがルーツなんですか?

諫山 「地獄先生ぬ~べ~」の影響は大きいですね。あとは「ジョジョ(の奇妙な冒険)」「ARMS」「ベルセルク」。

三島 最初はジャンプっ子だった感じですか?

諫山 そうですね。小学生の頃からジャンプでした。

久野 僕らもジャンプっ子でした。「ジョジョ」は大好きですね。

諫山 小学生の頃、周りが「ジョジョ」のことを「こんなの気持ち悪い」って言ってるんだけど、なんでこのよさがわからないんだよって思ってました(笑)。

久野 確かにジャンプの中ではだいぶ異色でしたもんね(笑)。マンガ家になろうと思ったのは、どれぐらいの時期なんですか?

諫山 明確にこのときから、というのはないんですけど、授業中に教科書の余白は落書きで全部埋めるっていうのが自分の基本になっていたんです。その延長でノートに落書きするようになって、コマを割って、話を考えるようになって……って流れでいつの間にか描いてましたね。これで生活できたら、働かずして食えるんじゃないかって。やっぱりこう、(「アリとキリギリス」でいえば)キリギリスになりたいというか……。

三島 僕らもそうですよ(笑)。まずは楽しく生きていきたいっていうところからですね。

cinema staffニューシングル「great escape」/ 2013年8月21日発売 / 1300円 / ポニーキャニオン / PCCA-03900
[CD] 1300円 / PCCA-03900
収録曲
  1. great escape
  2. cinema staff【僕たちの秘法】tour Final@2013.07.11 渋谷CLUB QUATTRO
    (望郷 / 世紀の発見 / into the green / 革命の翌日 / 西南西の虹 / 溶けない氷)
cinema staff(しねますたっふ)

飯田瑞規(Vo, G)、辻友貴(G)、三島想平(B)、久野洋平(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に飯田、三島、辻が前身バンドを結成し、2006年に久野が加入して現在の編成となる。愛知、岐阜を拠点にしたライブ活動を経て、2008年11月に1stミニアルバム「document」を残響recordからリリース。アグレッシブなギターサウンドを前面に打ち出したバンドアンサンブルと、繊細かつメロディアスなボーカルで着実に人気を高めていく。2012年6月にポニーキャニオン移籍第1弾作品となる「into the green」を、同年9月にメジャー第2弾となる4thミニアルバム「SALVAGE YOU」を発表。2013年5月にメジャー1stフルアルバム「望郷」を発売し、同月末から7月にかけて全19公演にわたる全国ツアー「cinema staff『僕たちの秘法』tour」を実施した。同年7月、テレビアニメ「進撃の巨人」の後期エンディングテーマに新曲「great escape」を提供。8月には同曲を含むニューシングル「great escape」をリリースした。

諫山創(いさやまはじめ)

1986年生まれ、大分県出身。2006年、週刊少年マガジン(講談社)のMGP(マガジングランプリ)にて「進撃の巨人」で佳作受賞。2008年、同誌の新人マンガ賞にて「orz」で入選、同作にてデビューを果たす。2009年、別冊少年マガジン(講談社)にて「進撃の巨人」の連載を開始。同作は2011年に第35回講談社漫画賞少年部門を受賞。2013年4月からはテレビアニメ化され、大ヒットを記録している。なお、同年8月9日には「進撃の巨人」11巻を発売。累計発行部数は2300万部を突破している。


2013年8月23日更新