こういうピュアな一面もあるんだよ
──続いてカップリング曲の話も聞かせてください。まず「ドキドキ ドキドキ」という曲について。これも恋愛ソングですが、「LOVEイヤイヤ期」とは違って初々しさが感じられます。
坂井 まだ何にも染まってない、ピュアな女の子のイメージですね。初めて恋に落ちたときのドキドキ感が詰まっていて、私は曲を聴いて中高生の恋を連想しました。
杏 ホントの自分の気持ちに気付けていない、困惑しちゃってる感じが歌詞から伝わってきます。「近づいてヒヤヒヤ 話すなんてビクビク」という歌詞があるように、相手に近付く前の女の子の気持ちを歌っていて。とき宣は圧が強めの恋の曲を歌うことが多いですけど、こういうピュアな一面もあるんだよってアピールしたいですね(笑)。「ドキドキ ドキドキ」はいろんな人に刺さる曲だと思うんですよ。初めて恋をする、小学生ぐらいの歳の女の子にも共感してもらえるだろうし、たくさん恋をしてる大人の方には「こんなふうに感じてたときもあったな」と思ってもらえるんじゃないかな。
吉川 歌詞に言葉がたくさん詰まっていて、スピード感があるのも特徴ですね。「ドキドキ」っていう心臓の鼓動を表したフレーズから、曲の主人公の物語が進んでることが感じられます。
坂井 途中に早口で畳みかけるところがあって。レコーディングは難しかったですが、聴いてるとクセになります。
杏 話し言葉みたいな歌詞がいっぱい入ってるのもかわいいんです。
辻野 私は「『生きてるってコレなー』って気持ちになるよ」という歌詞が特に好きです。歌詞に出てくる子が生き生きと恋愛を楽しんでるのが伝わってくるというか。私の場合はステージに立ってるときに「生きてる!」って感じるんですけど、そのときの気持ちとリンクしてるんです。
吉川 歌っていて、「私たち、アイドルやってる!」と実感できる曲ですね。
小泉 ライブ中に感じる感情が私たちにとっての「ドキドキ」なんです。サビの「『スキ』の気持ちが『スキスキ』に変わって『スキスキスキ』になっちゃうよ どんどん」は、好きすぎて語彙力がなくなっちゃった人のイメージで。レコーディングでは子供っぽく明るく歌うことを意識しました。明るく歌ってると気持ちがノッてくるし、楽しい気持ちで感情移入して歌えるんです。
ウイスパーボイスで魅了する大人のセリフ
──もう1つの新曲「ひらり ひらひら」も恋愛ソングですが、かなりクールなサウンドと歌声ですね。
坂井 これはタイトルとのギャップがある曲です。シングルの発売が春だから「Springood!」のような春の歌だと思ってたんですけど、音源を聴いてみたらガチガチにカッコいい曲で。
吉川 イントロからいきなりカッコいいよね。
坂井 私はこういう曲調が大好きなんですけど、レコーディングはすっごい難しかったです。特にここの部分が、みたいな話ではなく、曲全体が難しいんです。音程もリズムも言葉を区切る場所も、すべてにおいて苦労しました。
辻野 いつもレコーディングするにあたって、歌詞が書かれた紙に「裏から入る」「ここで切る」「ここは伸ばす」とか、歌ううえでの注意点をメモするんですけど、「ひらり ひらひら」はその紙がごちゃごちゃになるくらい書き込むことが多かったです。でもその分、聴き応えがあって楽しめる曲になったんじゃないかと思います。
菅田 これもセリフパートが3つあって、私が「ねぇ 夢中になってほしい」、かなみんが「ねぇ 私を彼女にして」、ジュリアちゃんが「君も、私じゃなきゃダメでしょ?」と言っているんですけど、ウイスパーっぽい、声を低めにささやく感じになっていて。「彼女にして!」と明るく伝えるんじゃなく、もっと落ち着いていて、セクシーで大人っぽいんです。
辻野 ライブではさらに大人っぽいイメージで言いたいですね。
吉川 「彼女にして」とはっきり伝えてるところも、大人っぽいポイントなのかなと思います。例えば「LOVEイヤイヤ期」の「好きって言って!」というセリフとは全然雰囲気が違って。
杏 「私じゃなきゃダメでしょ?」にも、大人の余裕や自信が表れてるよね。こっちから求めてるというより、「待ってるから来なさいよ」みたいなイメージ(笑)。1つのシングルに「LOVEイヤイヤ期」「ドキドキ ドキドキ」「ひらり ひらひら」という全然タイプの違う恋愛ソングが入っていて、今回は特に振り幅が大きいなと思いました。
──でも「ひらり ひらひら」は完全に大人になりきっているというより、ちょっと背伸びしてる雰囲気がありますよね。
辻野 「サナギから蝶へと羽化していく私」という歌詞がそのことを表してますね。「ひらり ひらひら」というタイトルは、桜の花びらではなく、蝶が舞うイメージです。だんだんと大人になってきた今の私たちを等身大で描いている曲でもあります。
──曲の終盤の坂井さんが「ひらひら」と早口で繰り返す部分は、しっかり発音するのが大変そうです。先ほど写真の撮影中も、ずっと口ずさんで練習していましたが。
菅田 でも、レコーディングではメンバーみんなちゃんと歌えててすごかったです。
坂井 意外と一発でいけたよね。ただライブで歌うときに、果たしてちゃんと口が回るのだろうかという不安はあります。せっかくのカッコいい曲なのに、最後に噛んだら台無しになっちゃう。6月からのツアーに向けて、ボイトレの先生と相談しながら練習します!
辻野 ちゃんと歌いきったら、絶対にカッコいいよね。
吉川 ひとかがどんな表情で歌うのかも楽しみです(笑)。
──坂井さんは、特にクールな曲だと何かが憑依したかのようにその世界観に入り込んでパフォーマンスしている印象です。
坂井 カッコいい女性になりたいという思いが自分にあるからなのか、クールな曲のほうが表情を作るのが楽しいんですよね。
切なさに全振り
──シングルには、1月にEPとして配信リリースされたウインターバラード「ゼッタイだよ」も収められます。
吉川 「ゼッタイだよ」は、切なさに全振りしている曲ですね。
小泉 プライベートで一番聴くとき宣の曲です。「ゲレンデで聴きたい」ってメンバーとよく話してます。私はバラードとか、切ない系の曲が好きなんです。喜怒哀楽で言うと「哀」。「ゼッタイだよ」はもうイントロから好きだし、「急に空いたスケジュールは 何をして埋め合わせればいいのかな」とか、歌詞の言葉選びがすごくきれいなんですよね。この曲のような経験をしたことがあるわけではないけど、共感できるフレーズがたくさん入っていて感情移入できます。
坂井 この曲の“Performance Video”をYouTubeで公開したんですけど、撮影した場所が結婚式場っぽくて、曲を聴いていて勝手に悲しくなってきちゃったんですよ。音楽だけでこんなに人を悲しくさせられるってすごいなと思いました。歌詞を通して、相手のことをどれだけ好きだったのかが読み取れるし、ホントの愛を知ってしまったものの、その恋が叶わなかった切なさが伝わってきて胸がえぐられます。
吉川 今はもうそばにいない相手に向けて「ゼッタイだよ」と言っている、その思いの強さがすごいです。作詞したMUTEKI DEAD SNAKEさんがいったいどういう恋愛をしてきたのか気になります(笑)。
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横アリ完売は叶わない夢じゃない