ナタリー PowerPush - 鎮座DOPENESS

観ろ! 僕たちの「だいぶ気持ちいい」生き様を

鎮座DOPENESSが約3年半ぶりとなる新作「だいぶ気持ちいいね」をリリースした。この作品はツアーバンドDOPING BANDとともに制作したアルバムで、ライブを思わせる躍動感あふれる楽曲たちをノンストップ形式で収録した作品に仕上がっている。

ナタリーでは、このアルバムのリリースを記念して、鎮座DOPENESSとDOPING BANDのバンドマスターであるIZPONへのインタビューを実施。アルバム制作のエピソードを中心に、DOPING BAND結成の経緯や、謎多きラッパー鎮座DOPENESSの活動について訊いた。

取材・文 / 宮崎敬太

普通じゃないことをやろう

──鎮座DOPENESS & DOPING BANDが結成された経緯を教えてください。

インタビュー写真

IZPON(Per) 鎮くん(鎮座DOPENESS)が1stアルバム「100%RAP」をリリースしたあとにツアーをやることになって、僕のところに「バンドを作ろうか」という話が来たんですよ。僕は以前犬式(a.k.a.Dogggystyle)というバンドをやってて、今もKINGDOM★AFROCKSをやってるから、バンドマンの知り合いが多くて。それで、どういう人と鎮くんを組み合わせたら面白いかなー、と試行錯誤した結果メンバーがほとんど犬式になってしまいました(笑)。

鎮座DOPENESS(Rap) IZPONに「バンドできたよー」って連絡を受けて、スタジオ行ったら三宅(洋平)さんを除いた犬式のメンバー全員がいてびっくりした(笑)。

IZPON 実は今のメンバーになるまで、鎮くんを交えていろんな人たちと何回かセッションしたんだけどしっくりこなくて。でもこのメンバーだったら、かなり面白いことができそうだな、と。

──今回のアルバム「だいぶ気持ちいいね」には、「100%RAP」の収録曲をリアレンジした楽曲が多数収録されていますね。

IZPON 「100%RAP」で打ち込みだった部分をそのまま生演奏に差し替えても面白くないから、みんなでセッションしながら作っていきました。だから今回のアルバムは、「100%RAP」のリミックスアルバムみたいな感じかもしれないですね。

──途中で宣伝が入ったりして、ラジオのような構成になっているのも興味深いです。

鎮座DOPENESS 昔、三木道三が出してた「MIKI-FM1997ヘルス」っていうミックステープの影響ですね。制作中にみんなで聴いてて「こんな感じいいね」って。

IZPON でも最初に思い描いてたものとは、全然違うアルバムになったよね。もちろんいい意味で。1曲1曲の個性が強烈で、かなり実験的な作品になったと思います。

──確かにかなり幅広い音楽性を持ったアルバムですよね。

IZPON ラッパーと一緒にやるバンドだから、ヒップホップというキーワードは当然出てきたんだけど、いわゆる「ヒップホップバンド」みたいなのはほかにもいるので、このバンドでは普通じゃないことをやろうというのはありました。

──それはなぜですか?

インタビュー写真

IZPON 鎮くんの存在ですね。とにかくラッパーとしての対応力がすごいんですよ。だから、「これ、ヒップホップじゃなくねえ?」みたいなサウンドも試すことができて。結果的に面白いものになれば、なんでもいいみたいな。

鎮座DOPENESS うん。DOPING BANDでは、ヒップホップをそんなに意識してないですね。今後、よりヒップホップっぽくなっていく可能性は否定しないけど、今はこういう感じ。

──バンドとして制作する上で苦労したことは?

鎮座DOPENESS 7人という大所帯だけに、ミュージシャン全員がどんなイメージでプレイしてるのかをつかむのに苦労しましたね。

IZPON しかも、週1でコンスタントに集まって作業とかできないんですよ。みんないろんなバンドをかけ持ちしてるから。長いときだと、半年くらい間が空いちゃうこともあったかな(笑)。

お客さんがYouTubeの向こう側にいる感じ

──今回のアルバムには配信リリースされた「モード」のリアレンジバージョンが収録されてますね。この曲はリリックが非常に哲学的なんですが、これは具体的な何かに向けたものですか?

鎮座DOPENESS この「言ってんのか / 言わされてんのか? / やってんのか / やらされてんのか?」ってのは自問自答です。「自分はどうなんだ?」っていう。例えば、自分の環境にグチを言ってしまうこととかあるじゃないですか。でもそれは“やらされてる”からだと思うんですよね、僕は。その環境が嫌なら、楽しくなるために自分で何かを“やれ”ばいい。シンプルなことだと思うんですけどね。

IZPON 正直、今の時代、バンドなんて時間も手間もかかるわりになかなか金になんない。でも、せっかく手間のかかることやるんだったら、なんか面白いことが起きないとやってる意味がないと思うんだよね。だから、僕ら、DOPING BANDをめちゃくちゃ楽しんでる(笑)。多分やってる僕らが一番楽しいんじゃないかなってくらい。

インタビュー写真

鎮座DOPENESS うん。僕ら、DOPING BANDの活動をリアルに楽しんでますね。ライブでも作品でもそこを見せたい。

IZPON 別に変わったことじゃないと思うんですよ。僕らはバンドで超楽しんでるけど、みんなはみんなのやり方でそれぞれの人生を超楽しめると思うんです。僕らのライブや作品が、楽しみ方を見つけるきっかけになればいいですね。

鎮座DOPENESS アーティストだから、僕らが特別に楽しんでるってわけじゃないと思うんです。とにかく僕は実際にみんなと会って、一緒に踊りたいんですよね。YouTubeの向こう側で観てるより、そのほうが絶対楽しめると思うから!

ニューアルバム「だいぶ気持ちいいね」/ 2012年3月7日発売 / 2500円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-23038

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CD収録曲
  1. INTRO
  2. カンパイ
  3. 朝起きて君は
  4. のうてんき野郎
  5. JUST A 友達
  6. OS
  7. もぐもぐ feat.Leyona & BUN BUN THE MC
  8. 鍋 feat.イルリメ & SABO from KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'S
  9. はっする LIVE!!!!
  10. ヒップ ホップ IS ...
  11. モード -DOPING BAND VERSION-
  12. わかってないのに
  13. OUTRO
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鎮座DOPENESS(ちんざどーぷねす)

1981年生まれ、東京出身のラッパー。独特な声質と巧みなスキルを駆使したラップで、フリースタイルMCバトルのシーンから頭角を現す。2004年にはカトマイラ、サボとともにKOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'Sを結成し、2008年にアルバム「HAGULIFE」をリリースした。ソロとしての1stアルバムは2009年発表の「100%RAP」。同年には、日本最高峰のフリースタイルMCバトルのトーナメント「ULTIMATE MC BATTLE GRAND CHAMPION SHIP」で優勝を果たす。2010年にはDOPING BANDを率いて「SUMMER SONIC 2010」に出演。そして、2012年3月に鎮座DOPENESS & DOPING BANDによるアルバム「だいぶ気持ちいいね」を発表した。また、環ROYとのユニットKAKATOやKOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'S×近所のメンバー、鎮座DOPENESS & DJ UPPERCUTにも所属している。