音楽ナタリー Power Push - 茅原実里
16編の物語でつむぐみのりんの恋愛観
等身大のナチュラルな茅原実里が出せた
──収まりきらない感情があるというのは、本作は恋愛をテーマにして、そこに茅原さんの思いを落とし込んでいるけれど、これですべてを言い尽くしたわけじゃない、ということですよね?
はい。このアルバムは、1枚を通して1つの恋の物語を描いていますけど、実はこの物語の結末がどうなってしまうのかはわからないように作ってあるんです。恋愛をしている過程では楽しかったり幸せだったり不安や嫉妬の感情も芽生えるけど、決定的な結末は描いてないんです。だから別離も訪れない。なので、別れの歌は作っていないんです。でも恋愛に別れは付きものだし、私は悲恋の歌も好きなので、そういうものも歌いたいな……なんて思いました。
──恋についてまだ歌いたいことがある。
自分自身の経験はもちろん、家族や身近な友達の体験談もあれば、ドラマや映画、マンガのようなフィクションの世界にもあふれているわけで、それら全部を通して、恋愛にはいろいろな形があることを、年を重ねるほどに知っていく。なので、恋愛の楽しさや難しさを改めて噛み締めながら、そして「みんな幸せになればいいのに!」って思いながら歌ってましたね(笑)。
──それこそ人の数だけ恋愛模様はありますからね。
そう、ずっとこのテーマで歌っていられるんだなって思いました。というより、終わってほしくなかったですね。
──今回のレコーディングが?
レコーディングはもちろん、楽曲もジャケット撮影なども含めたアルバム制作自体が。もう、楽しすぎて。等身大の自分でもあり、物語の主人公を演じている面白さもあったりしたので。
──先ほど少し触れましたけど、ジャケットもこれまでの作品とは違ってガーリーで柔らかい雰囲気ですね。フォトブックも拝見したんですけど、おっしゃる通り、超楽しそうですね。
初めての海外ロケで、1月にシンガポールに行って3日間みっちり撮影してきたんです。しかも、決められたシチュエーションの中で撮るだけの撮影ではなくて、とにかくいろんな場所へ行ってアドリブで撮っていくような感じで。
──なんか、でかい鳥と闘ってる写真があるんですけど?
はっはっは!(笑) それオフショットですね。野生のイグアナもいて。野生ですよ! そのイグアナを追いかけて遊んだり……あとリスもいたし! もともと私は暑いところが好きなんですけど、シンガポールは1月でも毎日30℃以上あって、それもあってはしゃいでしまって。最終的には楽しすぎて「帰りたくない!」って空港で泣くっていう(笑)。
──子供みたい(笑)。本作は、そうした諸々も込みで思い出深いアルバムに?
なりましたね。うん、なりました。やっぱり、今の自分だからこそ作れたアルバムですね。何より、デビュー10周年を迎えたあとの最初のオリジナルアルバムになるので、曲も歌も、ビジュアルも全部含めて、等身大のナチュラルな自分で臨めたことが本当にうれしくて。このアルバムを聴いて、「恋っていいものだな」って感じてもらえたら幸いです。
いざ、2年ぶりの全国ツアーへ
──最後に、6月から7月にかけて、2年ぶりの全国ツアーが決定していますが、その意気込……。
すごいありますよ! 意気込み!
──はい(笑)。このアルバムにも、ライブ映えしそうな曲がたくさんありますしね。
はい。特に「Dancin' 世界がこわれても」は、レコーディングのときから早くライブで披露したいと思っていたんです。それで、この間ファンクラブイベントで初めて歌ったところ、想像以上の盛り上がりだったので、これはツアーでもっと育てていけるなと。
──サビ終わりの「ヘイ!」っていう掛け声とか、絶対大合唱になりますね。
そうですね。過去のアルバムは勇ましかったり熱く攻めていくような楽曲も多かったのですが、「Innocent Age」は全体的にとても温かいアルバムになっているので、この恋の物語を生かした、ドラマチックなステージにしたいと思って、今アレコレ考えてます。
──ただ、アルバムの中にここまでしっかり流れができていると、そこに既存曲をどうやって挿入するか、悩むところじゃないですか?
そうなんですよねー。やっぱりアルバムの曲の流れを崩したくないという思いもあり。でも、その中でどうやったら皆さんの期待をいい方向に裏切れるのかじっくり考えながら、心から楽しんでもらえるようなプログラムを組んでいきたいと思っていますのでお楽しみに!
──地方を回るのはお好きですか?
好きですー! おいしいものも食べられますし。
──あれ? こちらとしては「遠方のファンに会えるから」的な答えを期待したんですけど(笑)。
そう、もちろんそうです! そのうえでおいしいものも、ね(笑)。今回のツアーでは、実に4年ぶりに仙台と福岡に行けるんです。ひさびさにお会いできるファンの方々もきっといらっしゃるので、私もすごく、すごく楽しみです!
- ニューアルバム「Innocent Age」 / 2016年4月6日発売 / Lantis
- Blu-ray付初回限定盤 [CD+Blu-ray] 6264円 / LACA-35550
- DVD付初回限定盤 [CD+DVD] 5184円 / LACA-35551
- 通常盤 [CD] 3240円 / LACA-15550
CD収録曲
- いつかのわたしへ
[作詞:畑亜貴 / 作曲:黒須克彦 / 編曲:須藤賢一] - Awakening the World
[作詞:こだまさおり / 作・編曲:堀江晶太] - 視線の行方
[作詞:こだまさおり / 作曲:田代智一 / 編曲:菊池達也] - きみのせいだよ
[作詞・作曲:楠瀬拓哉 / 編曲:多田彰文] - あなたの声が聴きたくて
[作詞:松井洋平 / 作曲:俊龍 / 編曲:藤田淳平 (Elements Garden)] - 恋
[作詞:茅原実里 / 作・編曲:堀江晶太] - 月の様に浮かんでる
[作詞:松井洋平 / 作・編曲:藤末 樹] - 春風千里
[作詞:茅原実里 / 作・編曲:山元祐介] - ラストカード
[作詞・作曲:楠瀬拓哉 / 編曲:中土智博] - Love Blossom
[作詞:茅原実里 / 作・編曲:黒須克彦] - Dancin' 世界がこわれても
[作詞:畑亜貴 / 作・編曲:山下洋介] - カタチナイモノ
[作詞:茅原実里 / 作・編曲:藤末樹] - ふたり
[作詞:茅原実里 / 作・編曲:黒須克彦] - ありがとう、だいすき
[作詞:畑亜貴 / 作曲:rino / 編曲:Evan Call(Elements Garden)] - 会いたかった空
[作詞:畑亜貴 / 作曲:菊田大介(Elements Garden)/ 編曲:藤田淳平(Elements Garden)] - はるかのわたしへ
[作詞:畑亜貴 / 作曲:黒須克彦 / 編曲:須藤賢一]
Blu-ray / DVD収録内容
- 「Love Blossom」MV
- 「恋」MV
- 「Minori Chihara Xmas Party 2013」ライブ映像
Minori Chihara Live Tour 2016 ~Innocent Age~
- 2016年6月18日(土)
- 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2016年6月25日(土)
- 宮城県 イズミティ21 大ホール
- 2016年7月10日(日)
- 福岡県 福岡国際会議場 メインホール
- 2016年7月17日(日)
- 大阪府 大阪国際会議場 メインホール
- 2016年7月18日(月・祝)
- 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
料金:全席指定 7020円(全公演共通)
一般発売:2016年4月23日(土)10:00~
茅原実里 ニューアルバム「Innocent Age」発売記念イベント
- 2016年4月6日(水)
- 東京都 ダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場
OPEN 18:00 / START 18:30
内容:トーク&ミニライブ / 特典お渡し会
観覧無料(優先エリアあり)
※「優先エリア券」および「特典お渡し会参加券」は東京・TOWERminiダイバーシティ東京 プラザ店でのアルバム予約購入者(全額前金)、もしくは当日イベント会場内特設ブースでのアルバム購入者に先着で配布。
茅原実里(チハラミノリ)
2004年4月にテレビアニメ「天上天下」棗亜夜役で声優としての活動を始め、同年12月にはアルバム「HEROINE」で歌手デビュー。2006年4月より放送されたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門有希役で一躍注目を浴び、平野綾、後藤邑子と共に歌った同アニメのエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」は大ヒットによりゴールドディスクに認定された。2007年1月にLantisより発売されたシングル「純白サンクチュアリィ」を契機に、本人名義による音楽活動を再開。以降、アニメソングを中心とした楽曲を数多く発表し、声優アーティストとして高い評価を集める。2010年5月には初の日本武道館ワンマンライブを大成功に収め、2011年3月には「第5回声優アワード」歌唱賞を受賞した。2014年9月にはデビュー10周年を記念したベストアルバム「SANCTUARY ~Minori Chihara Best Album~」を発表。同年11月には2度目の日本武道館公演を行った。2016年4月にはおよそ2年半ぶりとなるオリジナルアルバム「Innocent Age」をリリース。