ナタリー PowerPush - 茅原実里

みのりん伝説徹底検証「D-Formation」への道のり

アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門有希役で一躍脚光を浴び、声優アーティストして躍進し続ける茅原実里。通称みのりん。2010年には日本武道館ライブを大成功に収めるなど、もはや日本のアニメソングシーンを代表するシンガーのひとりとして、世界にもその名を轟かせている。

そんなみのりんが2月29日、およそ2年ぶりとなるフルアルバム「D-Formation」を発表した。春にはこのアルバムを携えた全国ツアー「アニメロミックス Presents Minori Chihara Live Tour 2012 ~D-Formation~ supported by JOYSOUND×UGA」の開催を控える彼女に、ナタリーではロングインタビューを敢行。初めて彼女の作品を耳にする人にもその魅力を伝えるべく、新作やツアーの話題はもちろん、多くのファンに愛される独特なキャラクターから過去の伝説的エピソードに至るまで詳しく話を訊き、「声優アーティスト・茅原実里」の実像に迫った。

取材・文 / 臼杵成晃

子供の頃は好奇心旺盛な野生児

──子供の頃の一番古い記憶を教えてもらえますか?

インタビュー写真

一番古い記憶……どれになるだろうなあ。ひいおじいちゃんの自転車の後ろに乗ってて、私の足が絡まったとき。おじいちゃん耳が遠いから、全然気付いてくれなくて(笑)。それか、玄関でお母さんを突き落として泣かしたこと。あとは、トイレの中で遊ぶのが流行ってて、水があふれておじいちゃんにすごく怒られたことですかね。

──トイレで遊ぶのが流行ってた?

トイレのタンクの中がどうなってるのかすごく気になって、あれをいじくって遊んでたんです(笑)。

──どういう子供でしたか?

好奇心旺盛で元気な子だったと思います。

──家にこもっているよりは、野に山にと駆け回っているような。

はい。野生児でしたね。「何時までに帰ってきなさい」って言われても、外で遊ぶのが楽しかったので、家の鍵を閉められても遊んでました。

──学校ではどうでしたか?

活発なんですけどすごく恥ずかしがり屋で、人と一緒に遊んだりするのは苦手でした。同じクラスの子が気を遣って「茅原さん一緒に遊ぼう」って誘ってくれても、「ひとりで遊んでるから大丈夫」って断ったり。

──ひとりなのにアグレッシブ(笑)。

アハハハ。友達と遊ぶとしても少人数でした。大勢の中に入っていくのが苦手で。自己主張が全くできなくなるんです。

──今はその恥ずかしがり屋な性格ではなくなった?

こういうお仕事をやっていると自分から発信していかなきゃいけないから、がんばるようにはしてるんですけど、根本には残ってると思いますね。人に注目されるのが苦手で、授業中も挙手とかできなかったし、学芸会でもセリフをしゃべったりする役ではなく、木を押さえてたりする役を選んでました(笑)。でも内心は主役がやりたかったんですよ、実は。

──ではその頃、歌はどうでしたか? 堂々と歌える子でしたか?

全然ダメでした。人前で歌うなんてとんでもない。歌うことは大好きでしたけど。

ソフトボールとマンガとシノヅカ君

──団体行動が苦手だった茅原さんですが、学生時代はソフトボールをかなり本格的にやられてたんですよね。

お父さんが少年野球のコーチをやっていたので、週末はキャッチボールやティーバッティングをやらされたり、誕生日プレゼントがグローブだったりしました(笑)。中学校でも自然とソフト部に入って。でもすごく内気なので、満塁で自分の打席が回ってくると最悪の気分でした。テンションだだ下がりで(笑)。普通だったら「ここで打ってやる!」って思うんでしょうけど、「こんな場面で三振しようものなら……」みたいな。

──かなりガチで打ち込んでたんですね。

インタビュー写真

ガチでしたねー。でも本当はマンガ家になりたかったから、家ではずっとマンガを書いてました。中学のときはソフトボールとマンガと初恋の相手のシノヅカ君(笑)、この3つで全部でした。

──マンガは何がきっかけだったんですか?

小学生の頃から、勉強は苦手だったけど図工や音楽は得意で、絵を描くのがすごく好きだったんです。絵画コンクールで賞状をもらったり。

──憧れていたマンガ家は誰ですか?

尾崎南さん、桂正和さんですね。大好きで、ファンレターも書いてました。

──ソフトボールとマンガ、すなわち体育会系と文化系を両立していたわけですよね。自分の中でどういうバランスを保っていたのでしょうか。

バランスよくやってました。ひたすら体を動かして、帰ってきたら机にへばりついて夜中の2時3時までマンガを書いて。性格的には絶対マンガを描いてるほうが向いてたと思うんです。やっぱり団体行動が苦手だったから。ペットボトルの回し飲みとか苦手なんですよ。

──あ、そういうところが引っかかるんですね(笑)。

別に潔癖性ってわけではないんですけど(笑)。100本ノックとか、ひとりで打ち込める練習は大好きなんですよ。

ニューアルバム「D-Formation」/ 2012年2月29日発売 / Lantis/GloryHeaven

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  • DVD Formation [CD+DVD] / 3800円(税込)/ LASA-35117~8
  • 通常盤
  • 通常盤[CD] / 3000円(税込)/ LASA-5115
CD収録曲
  1. D-FORMATION
    [作詞:松井洋平 / 作・編曲:A-bee]
  2. Dream Wonder Formation
    [作詞:松井洋平 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)/ Additional Sound Editing by A-bee]
  3. 嘘ツキParADox
    [作詞:奥井雅美 / 作・編曲:高瀬一矢]
  4. Metamorphosing Door
    [作詞:こだまさおり / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
  5. Planet patrol
    [作詞:畑亜貴 / 作・編曲:渡辺和紀]
  6. KEY FOR LIFE
    [作詞:こだまさおり / 作曲:藤末樹、YUMIKO / 編曲:藤末樹]
  7. この世界のモノでこの世界の者でない
    [作詞:石川智晶 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
  8. X-DAY
    [作詞:茅原実里 / 作曲:Tatsh / 編曲:藤田淳平(Elements Garden)]
  9. Defection
    [作詞:奥井雅美 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
  10. 暁月夜(あかつきづくよ)
    [作詞:茅原実里 / 作曲:俊龍 / 編曲:藤田淳平(Elements Garden)/ Strings Arrange:室屋光一郎]
  11. TERMINATED
    [作詞:畑亜貴 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
  12. アイノウタ
    [作詞:茅原実里 / 作曲:中沢伴行 / 編曲:中沢伴行・尾崎武士]
  13. 夢のmirage
    [作詞:茅原実里 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
  14. Freedom Dreamer
    [作詞:茅原実里 / 作・編曲:菊田大介(Elements Garden)]
Special Live Disc(Blu-ray Disc / DVD共通)
「Minori Chihara Acoustic Live 2011」(2011.11.20収録)
  1. 純白サンクチュアリィ
  2. MC-1
  3. Say you?
  4. KEY FOR LIFE
  5. TERMINATED
  6. MC-2 ~メンバー紹介~
  7. 巡り逢い~かげがえのないもの~
  8. PRECIOUS ONE
  9. Fragment ~Shooting star of the origin~
  10. MC-3
  11. 君がくれたあの日
  12. 詩人の旅
  13. ふたりのリフレクション
  14. MC-4
  15. Sing for you

[ENCORE]

  1. MC-5 ~Band呼び込み~
  2. 一等星
  3. ENDING
茅原実里(ちはらみのり)

2004年4月にテレビアニメ「天上天下」棗亜夜役で声優としての活動を始め、同年12月にはアルバム「HEROINE」で歌手デビュー。2006年4月より放送されたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門有希役で一躍注目を浴び、平野綾、後藤邑子と共に歌った同アニメのエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」は大ヒットによりゴールドディスクに認定された。2007年1月にはLantisより発売されたシングル「純白サンクチュアリィ」を契機に、本人名義による音楽活動を再開。以降、アニメソングを中心とした楽曲を数多く発表し、声優アーティストとして高い評価を集める。2010年5月30日には初の日本武道館ワンマンライブを大成功に収め、2011年3月には「第5回声優アワード」歌唱賞を受賞。2012年2月29日にはニューアルバム「D-Formation」をリリースする。2004年にオープンしたオフィシャルブログ「minorhythm(ミノリズム)」は、現在までほぼ休むことなく毎日更新中。