CHiCO「エース」インタビュー|憧れのDECO*27とのタッグでカッコよさを追求

今年4月にCHiCO with HoneyWorks(チコハニ)としての活動を休止し、ソロプロジェクトをスタートさせたCHiCOが、初のフィジカル作品となるニューシングル「エース」をリリースした。

テレビアニメ「シャングリラ・フロンティア」のエンディングテーマとしてオンエア中の表題曲「エース」は、CHiCOが憧れだと公言してきたDECO*27が作詞作曲を手がけたアグレッシブなロックチューン。シングルのカップリングには「真夜中エスケープ」「寄り道」というタイプの異なるサウンドスケープを持つ2曲が収録されている。

来年2月には待望のソロワンマンライブを開催するCHiCOに、ソロプロジェクト始動後に感じている手応えとシングルの制作エピソードを聞いた。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 星野耕作

まだバレてないみたい(笑)

──CHiCOさんのソロプロジェクトが始動してから半年ほどが経ちました。7月には「光のありか」、8月には「TRUE BLUE SKY」という2曲が配信リリースされましたが、現段階でのソロ活動の手応えはどう感じていますか?

「光のありか」と「TRUE BLUE SKY」は自分で作詞をしたこともあって、ファンのみんなに感じてほしいことがしっかり伝わっている実感がありますね。「光のありか」に関してはCHiCO with HoneyWorksとしての活動を踏まえたワードをちりばめたことにちゃんと気付いてくれている人が多くて。「あ、チコハニのことも考えたうえでのソロなんだな」と理解してくれた。また、その後の「TRUE BLUE SKY」に関しては、ソロとして見せていきたい世界観を感じ取ってくれたうえで、「CHiCOちゃんのワードセンスが好きです!」っていう声をくれたりもして。私がソロとしてどんな表現をしていきたいのか、それをみんなが楽しみにしてくれていることを感じられてすごくうれしかったんですよね。

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──理想的な状況ですね。

ホントにそう思います。顔出ししたことについても、「チコハニとは違った雰囲気なんだね」「ソロではちょっと大人っぽいんだね」といううれしい反応をいただけていますし。ビジュアル面を楽しみにしてくれているのも本当にうれしいです。

──普段の生活では何か変化はありましたか?

生活で言うと、自分から率先して音楽制作ソフトを触るようになりましたね。以前はチコハニの世界観を歌でどう届けるかにフォーカスしていた感じでしたけど、ソロではどんな世界観を持つか、どんな楽曲を届けたいかということまで自分自身でも考えなければいけないので、いろんな楽曲のイメージを日頃から膨らませておく必要があるんです。歌詞に関しても同じで、日頃から思ったことをしっかりメモしておくようにはしていますね。最近、占いに行って言われたことなんですけど、私の場合は感情的にすぐ動くのではなく、自分の中で一度整理する時間を作ったほうがいいみたいなんですよ。だから、自分で思ったことはもちろん、誰かとのコミュニケーションで感じたことも、一度自分の中で噛み砕き、整理するようにしていて。それは歌詞を書くうえでも大事になってくるような気がします。いろんなことにしっかり向き合う姿勢がソロ活動の中では増えていますね。

──ちなみに街での顔バレは経験しました?

まだないんですよ! マスクしてなくても全然。この前、ディズニーランドに行ったんですけど、誰1人気付いてくれませんでした。まだバレてないみたいです(笑)。

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温かい反応に安堵……初のソロステージ

──9月2、3日に幕張メッセで開催された「アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE LIVE」には、CHiCOとして出演されましたね。

はい、CHiCO名義での初ライブでした。「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニング主題歌「我武者羅」をソロとして披露したほか、CHiCOのソロ楽曲も歌わせていただきました。CHiCOのことを知らない方がたくさんいらっしゃるであろうイベントだったので、どういった反応があるのか、すごくドキドキして臨んだ2日間でしたね。ライブが終わったあとのSNSでは皆さんすごく温かい反応をくださって。だいぶホッとしました(笑)。

──初ステージを踏んだことで、ソロとしてのライブスタイルがご自身なりに見えたところもあったんじゃないですか?

そうですね。チコハニに関しては、チコハニバンドのメンバーと一緒にライブをしていたので、メンバーと絡む瞬間があったりとか、けっこうわちゃわちゃしてる感じだったと思うんですよ。常に感情が動いているライブをすることが多かったというか。でも、ソロでのライブは、もちろんバックにCHiCOバンドの方々がいらっしゃいますけど、パフォーマンス面では私がメインになるので、そこでどう見せていくかが大事だなということはすごく感じました。ソロではこれからもいろんな曲を歌っていこうと思っているので、感情が揺れ動くような力強いシーンがあったり、逆にリラックスして横揺れしてもらうようなシーンがあったり、曲ごとにいろんなシーンが作れるんじゃないかなと思っていて。そこがCHiCOとしてのライブの1つのスタイルになっていったらいいなと思っていますね。

CHiCO

──ステージ上にチコハニバンドの面々がいないことに寂しさを感じる瞬間はなかったですか?

寂しさはMCのときに強く感じました(笑)。CHiCOバンドの皆さんもうなずいたりはしてくれますけど、基本的に全責任が自分にのしかかってくるところがチコハニでのライブとは大きく違うところで。パフォーマンス面では1人でできることを追求していく楽しみがありますけど、MCはもう不安要素でしかないです(笑)。

──そこも場数を踏んでいけば、ね。

でも私、今年でキャリア9年なんですけどねえ(笑)。もっとがんばらないとな。

「もう本当に幸せです!!」憧れのDECO*27と初タッグ

──11月8日にCHiCOさんにとって初のフィジカルシングル「エース」がリリースされました。DECO*27さんが作詞作曲を手がけた表題曲は、放送中のテレビアニメ「シャングリラ・フロンティア」のエンディングテーマとなっています。

エンディングテーマのお話が来た段階で「シャングリラ・フロンティア」のコミックを読ませていただいて。私自身ゲームが大好きなので、ゲームの世界を舞台にした作品に音楽で関われることを本当にうれしく思いましたね。そこから「シャングリラ・フロンティア」のエンディングテーマとして、そしてCHiCOの初めての円盤としてどういった曲にしようかなっていうのをみんなで考えていった感じです。

──そこで、前回のインタビューで憧れの人であるとおっしゃっていたDECO*27さんに楽曲を依頼したのはどんな流れだったんでしょう?

「1発目のCDシングルはDECOさんで行けたらいいよね」っていう提案をマネージャーからもらったんですよ。私としてはもちろん、そんなことが実現するのであればうれしすぎるわけですけど(笑)、ものすごくお忙しい方だっていうのは知っているし、難しいんじゃないかなとも思っていて。で、ダメ元で依頼をしたところ、「CHiCOさんのためだったらやりますよ!」と言ってくださったんですよね。もう本当に幸せです!!

──楽曲の方向性に関しては細かくオーダーを投げたんですか?

はい。エンディングテーマだけどアップテンポでもいいというお話だったので、これはもうカッコいい曲でいくしかないと思ったんです。そこでDECOさんの楽曲から自分の好きなもの、自分なりのイメージに近いものをいくつかリファレンスとして提示させてもらって。「ここの雰囲気が好きです!」「このノリがいいです!」みたいなのを細かくまとめてお渡ししました。メジャーキーで行くか、マイナーキーでいくかでけっこう迷ったんですけど、自分が選んだ曲はマイナーのものが多かったので、マイナー感が感じられるような曲調でお願いしました。DECOさんご自身の曲がリファレンスだったのでわかりやすい部分もあったとは思うんですけど、私が挙げた曲とは違ったものにしなきゃいけないわけなので、けっこう難しいお願いの仕方をしちゃったかもしれないですね。

──結果、めちゃくちゃカッコいい曲を上げてくれましたね。

そうなんです! デモを聴いた瞬間、めちゃくちゃカッコよくて感動しました。とにかく勢いがすごいし、私としてはEDM的な雰囲気というか、電子音が入っているところがすごく好きで。そういった私の嗜好については事前にお伝えしていなかったので、予期せぬところで自分好みの音になっていたのもうれしかったですね。ギターを含め、いろんな楽器の音がめちゃくちゃ動いたりもしているので、ライブでもすごく映えそう。どんなふうにパフォーマンスしようかなと想像が一気に膨らみました。

CHiCO

──アレンジャーとしてtepeさんが参加されていますが、曲はデモからけっこう変化したんですか?

いや、デモと比べてそこまで大きく変わったわけではなくて。DECOさんが作ってくれたサウンドを生かしつつ、そこにtepeさん節が加わったことで、楽曲により深みが出た感じになりました。曲が持っている強さがより強調された感じですね。