ナタリー PowerPush - Chicago Poodle
感涙バラードで勝負へ それぞれの“タカラモノ”を語る
「タカラモノ」は長く歌い続けられる曲になる
──それだけファンの感情を揺さぶる「タカラモノ」は、ライブで育っていった面も大きいと思うんです。そのへんはいかがですか?
花沢 この曲はいつも最後にやってたんですけど、例えばボーカルが前に出るところはドラムを抑え気味にするとか、回を重ねるごとに歌や楽器の押し引きがよりよいものになっていったのかなって。あえてリズムをもたつかせてグッとくる箇所を作ったり、そういうライブならではの挑戦を経て、どんどん進化していったと思います。
山口 何度もやるうちに「ここはもっと感情的にいったほうがいい」とか1曲の中で起伏を付けられるようになってきて。「タカラモノ」は1番のサビのあとにCメロがあったり、後半にEメロがあったり、メロの数が多くて構成もトリッキー。難しさはあるんですが、そのぶん表現のアイデアは膨らむので、バンドとしては成長の幅が広がる曲でしたね。
──そうやってライブで地道に曲を育てた一方で、自分たちの手から離れた曲とPVはネットを通してどんどん広がって。ついに今回のシングルカットも決定したわけですが、そこに関してはどんな気持ちですか? 今って先行シングルは多いけど、アルバムからのリカットシングルはめったになくて。それってよっぽど曲に力がないと実現しないことなのかなと思うんです。
花沢 おっしゃる通り僕らもリカットシングルは初めてで、なんだか不思議な気分といいますか。でもメガネのタナカさんからのお話も含め、いろんな縁とタイミングが重なって、たくさんの人に聴いてもらうべく生まれた曲なのかなという気もしています。あと今の音楽シーンって、シングルが3カ月おきとか1曲の旬が短いじゃないですか。昔の演歌じゃないけど、僕ら的には長く歌い続けられる1曲があったら素敵だと思うし、まさに「タカラモノ」がそういう曲になっていくんじゃないかなって。
3人が語る自分の“タカラモノ”
──タイトルにちなんで、皆さんの“タカラモノ”も聞かせてください。音楽にまつわるものでもプライベートなものでもOKです。
辻本 MDやカセットテープで録音してた時代のバンド音源ですね。今は全部パソコンに取り込んであるんですが、たまに聴くと当時の初期衝動みたいなものが思い起こされるんですよ。例えば前回のツアー音源を聴くとただの反省会みたいな感じになっちゃうけど、10年くらい前のものだと逆に新鮮だったりして。「こういうのも意外とありやな」って発見もあるし、僕にとってはすごく大事なものですね。
──でも、中には聴いて恥ずかしくなっちゃうような音源もあるんじゃないですか?
辻本 ありますねー、衝撃的だったことが。たぶん僕が加入して初のライブだったと思うんですが、KYOTO MUSEで「夢」という曲を初披露したとき、歌詞がまだできてなかったんですよ。だから全部デタラメ英語で歌ってて(笑)。
花沢 スケッチ状態のままライブに下ろすっていうな(笑)。
山口 当時はそれでもやりたかったんやろうな(笑)。でも絶対やったらあかんことやで。
辻本 今ではあり得ないですけどね。でもそういう、いずれ変わっていく初期のバンドのグルーヴみたいなものは、やっぱり忘れたくないなって思います。
山口 僕も少し似てますけど、音楽の素晴らしさを教えてくれたすべてのルーツミュージックですね。LED ZEPPELIN、レッチリ、イエモン、Hi-STANDARD……その時々で聴いた曲だから年代はバラバラなんですが、全部が僕の根底に流れているもので。たまに聴き返して「やっぱいいなあ」って思ったり、何かうまくいかないことがあったときにはパワーをもらいます。
──花沢さんは?
花沢 中学生のとき、親父が買ってくれたグランドピアノですね。親父は音楽の夢をあきらめて家の会社を継いだけど、息子にはのびのび好きなことをやらせたいって思いがあったらしくて。僕が「ピアノが欲しい」と言ったらすぐ買ってくれたことはすごく感謝してます。今は古くなってピアノ線も切れまくってるんですけど、それでいろんな曲を作ったし、今の僕が音楽を続けてられるのもそのピアノのおかげやなって。
──ピアノはもちろん、当時はお父さんの心意気もうれしかったんでしょうね。
花沢 はい。親父はバンドの活動もずっと応援してくれて、たまに「なんでそこにラッパ入れへんねん?」とか「サビを2回繰り返すな」って、音楽的なことも言ってくるんですよ。昔は親父も音楽をやってたんで、参加したいんでしょうね(笑)。
辻本 けっこういろんな意見をくれはるよな。
花沢 ライブにもよく来てて、ファンの方に気付かれると調子に乗って握手までしてますね(笑)。
- ニューシングル「タカラモノ / 君の笑顔がなによりも好きだった」/ 2013年8月28日発売 / GIZA
- 初回限定盤[CD+DVD] 1680円 / GZCA-7169
- 通常盤[CD] 1050円 / GZCA-7171
- 名探偵コナン盤[CD] 1200円 / GZCA-7170
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初回限定盤
CD
- タカラモノ
- 君の笑顔がなによりも好きだった
- タカラモノ -Voiceless Ver.-
- 君の笑顔がなによりも好きだった -Voiceless Ver.-
DVD
- 「タカラモノ」 Music Clip(Wedding篇)
- 「タカラモノ」 Music Clip(家族愛篇)
- 「君の笑顔がなによりも好きだった」Music Clip
通常盤
CD
- タカラモノ
- 君の笑顔がなによりも好きだった
- タカラモノ -Piano Arrange Ver.-
- タカラモノ -Voiceless Ver.-
- 君の笑顔がなによりも好きだった -Voiceless Ver.-
名探偵コナン盤 ※初回限定生産
CD
- 君の笑顔がなによりも好きだった
- タカラモノ
- 君の笑顔がなによりも好きだった -TV SIZE Ver.-
- 君の笑顔がなによりも好きだった -Voiceless Ver.-
- タカラモノ -Voiceless Ver.-
- 「名探偵コナン」描き下ろしオリジナルジャケット仕様
- 「名探偵コナン」オリジナルステッカー封入
Chicago Poodle(しかごぷーどる)
花沢耕太(Vo, Piano)、山口教仁(Dr)、辻本健司(B)の3人編成バンド。花沢が作曲、作詞を山口と辻本が手がける制作スタイル。1980年代の洋楽ポップスのエッセンスが感じられる懐かしくも切ないメロディと、リズム隊が織りなす都会的なアンサンブルで注目を集める。2009年3月にデビューシングル「ODYSSEY」、同年11月に1stアルバム「僕旅」をリリース。その後もコンスタントに作品を発表し、2011年11月には活動の集大成となるベストアルバム「HISTORY I」をリリースした。2013年4月、約2年半ぶりのオリジナルアルバム「3.0」を発売。8月28日には「3.0」からのシングルカットとなる「タカラモノ」とテレビアニメ「名探偵コナン」エンディングテーマ「君の笑顔がなによりも好きだった」を両A面シングルとしてリリースする。