ナタリー PowerPush - Chicago Poodle
11年間の集大成ベストアルバム 音楽への思いを詰め込んだ「HISTORY I」
バンド合宿は後にも先にも1回きり
──そうして決定した収録曲について、改めて発見した楽曲の魅力などはありましたか?
山口 まずは、それぞれの曲に対しての制作エピソードを思い出しました。例えばDISC 1の15曲目「Slow river」はリズムが打ち込みなんですが、僕は当時、それがすごい嫌で(笑)。「何が打ち込みや!?」みたいな。
辻本 あははは! ドラマーとしてはな。
山口 でも今思うと、この打ち込みの無機質な感じが「Slow river」には合ってたんやなって。そういう大きな視点で見れるようになったことが、ミュージシャンとしての成長でもあるんかなと。
花沢 僕はインディーズデビュー前に作った自主制作盤「CHICAGO BULLDOG」に収録した「オーレオ」に思い出があります。これを聴いていると声質がちょっと変わったなって思うし、当時は結構喉を潰してた時期だったから、ちょっとしゃがれてるなーと。あと、この曲は、バンドで最初で最後の合宿をしたときに作ったんです。
辻本 ほんまやなあ(笑)。あとにも先にもその1回。
山口 場所は、三重県にあるスタジオ付きの施設で。
花沢 そう。その後なぜか合宿は続かんかったけど(笑)、すごく楽しかったんですよ。
山口 みんなで音楽漬けの日々を過ごして。そうやって思い返していくといろいろ懐かしいですね。
歌謡曲や演歌をよく聴いている
──Chicago Poodleは、リズム隊の山口さんと辻本さんが主に作詞を担当し、ボーカルの花沢さんが作曲というスタイルをとっています。この11年で、曲作りの面で何か変化はありましたか?
山口 昔の歌詞を見返すと、やっぱり全然違うなって。今ならこういう表現はせえへんっていうのがあったり、テクニック的な部分だけじゃない何かがあったり。今見ると、それがまた新鮮に感じられて、これからもたくさんのことを経験しながらいろんな歌詞を書きたいなって思いにさせてくれました。
──以前インタビューしたとき、作詞担当のおふたりが「花沢さんの作るメロディはリズムが裏打ちだったり、言葉の乗せ方が難しいものが多い」っておっしゃってて。その辺りも、この11年で変わりました?
辻本 昔はそこまで難しくなかったんですけどね(笑)。
山口 そうそう。
辻本 花沢の中にある“一番いいメロディ”っていうのは、そのときどきで変わっているものなので。昔は複雑な曲が多かったとしても、今は逆にシンプルに戻りつつあるのかもしれないし。それはもう、逐一対応していくしかないよな?
山口 うん。
花沢 “対応”って(笑)。
辻本 でも最近は花沢が歌詞を書いてみたり、詞先でやりたいって言ったり、新しい欲求も生まれてるみたいなんです。
山口 多分それも、今作で自分たちの歴史を振り返ったことによるのかなって。
──花沢さん、いかがですか?
花沢 そうですね。実は今回の収録曲は全て曲先なんですが、この11年間で気付けたことがあって。初めの頃は作曲に重きを置いてやっていたけど、やっぱり歌を歌うってことは詞を伝えることだから、そこが一番大事なんやなって思い始めたんです。だから今後は僕も伝えたいことを書き留めたり、言葉を大事にしながら、詞先で曲を作っていく可能性もあると思います。あと最近、演歌をよく聴いてるんですが、驚いたり、発見することが多くて。演歌ってコードのバリエーションが少ない中で偉大な作曲家さんたちが「これや」っていうメロディをつけてるんですが、それがすごく勉強になって。改めて自分たちの音楽を見つめ直す中で、歌謡曲や演歌からいいメロディを追求するのもええなと思ったんです。「とにかくいい曲を」というバンドの芯は絶対ブレないし、その中でもっともっとパワーアップした姿を見せたいと思うので、より良い曲を求めるために今後もいろんなアプローチに挑戦したいと思います。
DISC 1 収録曲
- ODYSSEY
- Hello
- 流星
- No Regret
- Fly ~風が吹き抜けていく~
- さよならベイベー
- Listen to my heart
- ナツメロ
- Twinkle Little Stars ~星が降る町~
- 愛燦燦
- ネガポジ
- one
- If
- Ebony & Ivory
- Slow river
- 旅人
- Love & free peace forever
DISC 2 収録曲
- ハレルヤ
- 夢
- Is This LOVE?
- ネオン
- 桜色
- アイノタネ
- PEACE!!
- フワリ
- 京の小雪路
- Cry
- ブルームーン
- Wondering
- Baby my “Jenny”
- one more time, I say “Love you”
- オーレオ(自主制作盤オリジナル音源)
- 太陽は知っている(新曲)
初回限定盤DVD収録内容
ビデオクリップ集
- Hello
- ネオン
- 愛燦燦
- かくれんぼ
- ODYSSEY
- ナツメロ
- さよならベイベー
- Fly ~風が吹き抜けていく~
- Is This LOVE?
- 桜色
LIVEダイジェスト映像
「犬(one)フェス2011 in OSAKA ~僕らをつなぐもの~」@大阪/森ノ宮ピロティホール
犬(one)フェスX'mas 2011
~僕らが向かう場所~
2011年12月17日(土)
大阪府 堂島リバーフォーラム
OPEN 16:30 / START 17:30
料金:4500円(全席指定)
*会場限定スペシャルX'mas CD販売あり
*3歳未満入場不可 / 3歳以上有料
Chicago Poodle(しかごぷーどる)
花沢耕太(Vo, Piano)、山口教仁(Dr)、辻本健司(B)の3人編成バンド。全曲を花沢が作曲、作詞を山口と辻本が手がける制作スタイル。1980年代の洋楽ポップスのエッセンスが感じられる、懐かしくも切ないメロディと、リズム隊が織りなす都会的なアンサンブルで注目を集める。2009年3月にデビューシングル「ODYSSEY」をリリース。その後7月に2ndシングル「ナツメロ」、10月に3rdシングル「さよならベイベー」、11月に1stアルバム「僕旅」と精力的に作品を発表。あわせてライブも積極的に展開し、着実に支持を高めている。2010年10月には2ndアルバム「GTBT」を発売。2011年3月には5thシングル「桜色」を、11月にこれまでの活動の集大成となるベストアルバム「HISTORY I」をリリースする。